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リアクション
第七章 フィールドの外では悪魔の会談
「真綾の、ごっ本はぁ〜、どーこかしら〜♪」
適当に節をつけて歌いながら歩いてきたのは、百千万億・真綾(つもい・まあや)だった。
本日の衣装は、白猫お耳の和ロリメイドである。
スカートの裾を翻し、ひらひらと揺らして歩いていく。行き先は運動場だった。
先日アーデルハイト様から頼まれたお届けものの中に、真綾の本が入ってしまったのである。
タシガンの美術館から少し離れたカフェで待ち合わせをし、お届け物を渡してから、その本は見つからなくなった。
なかなか見つからない一品ゆえに、それは真綾の宝物だった。
今日は幸いにして、薔薇学の対抗試合。一番遠い運動場なら、真綾でも入ることができる。真綾は自分の本を取り返しに運動場へとやってきたのだ。
「マジでやってたのですかにゅ〜」
真綾は試合を眺めつつ、例の本を持ってやってきたサラディハールに近付いていった。
「こんにちはー、ですにゅ」
「こんにちは、真綾。面白いものをお借りできて、嬉しく思いますよ」
「知らないにゅ。真綾は貸した覚えなんかないですにゅ〜」
「まあ、そう言うことにしておきましょう。でも、それの調合指示表の表記は間違っていますよ」
サラディハールは真綾に見せた。
「ん〜〜〜〜? こんなの問題ないですにゅ」
「え?」
「真綾、知ってるですぉ?」
「……」
一番凶悪なのは、こいつなのかもしれない。
サラディハールは思った。
「くすくすくすっ☆ 真綾の必殺、魔法のアイテムで覗き見してたですぉ。ビデオ、真綾にも見せてくださいデスにゅ♪」
「まぁ、いいでしょう。他の人間に見せたら、殺しますよ?」
「あ、それって面白そうですにゅ。真綾、頑張りますぉ〜」
真綾はファイティングポーズをとった。
それでも、やはり可愛らしい。
サラディハールは溜息を吐いた。
「じゃぁ、真綾は帰るです……にゅぅ?」
二人覆おう影が大きく動き、真綾はそちらを見る。
サラディハールも振り返った。
イオマンテだ。
「あー、座りすぎて、ケツが痛いじゃー」
イオマンテは言った。
「着ぐるみって、痛いですかにゅ?」
「私はゆる族のことはわかりませんね。特にあんな巨大なものは」
「ですにゅ〜」
ずっと座っていたイオマンテは、座りなおそうと動く。
真っ黒な影が、グラリと揺れた。
巨大な尻がひょいと上がり、座り心地のいいところを探す。
だが、18mの巨体では手加減できない。
「トイレは近いぞー!」
遠くでそんな声が聞こえた。
「うおお、走れ! ボールを追え!」
熱き肉の戦いはまだ続くかに思えた。そして、絶頂を向かえ……
トイレが巨体に負け、
崩壊した。
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