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インフラ整備も楽じゃない!

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第一章 学園集合

 学園の校庭にとある一団が集められていた。
 パンパンと手が叩かれる。
「皆さん、良く集まってくれました」
 脚立の上に一人の少女が立っていた。全員の注目が自然と少女に集まる。
 クロカス家令嬢、レティーシア・クロカス(れてぃーしあ・くろかす)は脚立の上から全員を見渡していた。多くの人員が集まった事に満足している様だ。
「皆さんに集まって貰った理由は分かっていると思います。最近、我がクロカス家で推し進めているインフラ整備中の現場にて、小型飛空挺等の盗難が相次いでいます。地元の人達も街道が逸早く整備される事を望んでいます。街道整備を行う為に皆さんの協力を御願い致しますわ。作戦はスタンダードに囮を使いますわ。敢えて整備中の現場を襲わせて撃退し、逃げるところをセイニィとコントラクターが追撃してゴブリンの正体を確かめる、という流れですわ」
「何で脚立の上なんでちゅか?」
 アネイリンは素朴な疑問を口にしていた。
「さ、さあ。俺にも分からん」
 牙竜は次の事で頭が一杯の様で、頭が働いていない様だった。
「セイニィ」
 武神 牙竜(たけがみ・がりゅう)がレティーシアと一緒に行こうとするセイニィ・アルギエバ(せいにぃ・あるぎえば)を呼び止めた。
「な、何よ?」
 意識をしているのか、敢えて素っ気無い態度でセイニィは振り返る。
「――これを」
 牙竜は銃型HCをセィニィに手渡した。
「銃型HCだ。使い方は分かってるだろ?」
「あ、ありがと……」
 セイニィの降ろそうとする手を、牙竜は身体事引き寄せる。
「な、にゃ――」
 牙竜はセイニィの耳元でそっと囁く。
「セイニィの背中は俺が守って見せる。必ずな」
「う、うん……」
 恥ずかしそうにセイニィは目線を斜め下に外した。
「セイニィさん、先に行きますわよ!」
 遠くの校舎の方からレティーシアの声が聞こえてくる。
「直ぐ行く!」
 セイニィは慌てて牙竜から離れると、レティーシアが居る方へ走っていった。