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第二章 



 美緒達が遺跡に行ってしばらくしてパッフェル・シャウラ(ぱっふぇる・しゃうら)より『心霊スポット巡り』の案内が出された。
「ここが掲示板で書かれていた場所だな」
 それを見て遺跡へとやってきた国頭 武尊(くにがみ・たける)
「うぅ……やっぱりやめようよぉ……」
「大丈夫だって」
 そして、遺跡を見て腰が引けているミルディア・ディスティン(みるでぃあ・でぃすてぃん)とわくわくしているイシュタン・ルンクァークォン(いしゅたん・るんかーこん)
「それになんで……」
 ミルディアが横目でチラリと武尊を見る。その視線に気づいた武尊。
「ん? なんだ?」
 心霊スポット巡りであるはずなのにホッケーマスクをかぶりスプラッタ殺人鬼の格好をしている武尊。
「ひぅ……! なんでもないです!」
 サッと視線を逸らすミルディア。
「まぁ、しょうがないよ。それよりも、みんなより先に着いちゃったけど……どうする?」
「どうせだから先に行ってみようぜ」
「えぇ……!」
「……良いね。行こうよミルディア!」
「み、みんな来てからにしようよぉ!」
「よし! 行くぜ」
 涙目で訴えるミルディアなどお構いなしに遺跡へと入っていく武尊。
「ほら、行くよ♪」
「ふえぇぇぇぇ……!」
 イシュタンに引っ張られるようにミルディアも遺跡へと入っていく。
「うぅ……」
「ミルディア、そんなにくっついたら歩きにくいよー」
 武尊を先頭に歩いていく三人。
「どこだ……きっとどこかにいるはずだ」
 武尊はキョロキョロと周囲を見ながら歩いていく。
「あの、武尊さん。誰か探してるのかな?」
「ん? あぁ、俺が思うに今回の心霊スポット巡りは百合園生が隠れて後から来たオレ達を驚かせようとしてると思うんだよ。だからそれを見つけて逆に驚かせようと思ってな!」
 格好に似合わず質問にはしっかり答えてくれる武尊だった。
「だからそんな格好なんだね……」
「そういうこと……ん?」
「どうしたの?」
「物音がした……。あっちだな!」
 武尊は物音のしたとされる方へと走っていってしまう。
「えっ!? ちょ、ちょっと待ってー! 置いていかないでー!」
「あ! ミルディア! 待ってよー!」
 慌てて武尊の後を追いかけるミルディア。そしてそのミルディアを追いかけるイシュタン。

「……確かこっちだよな」
 武尊は警戒しながら音を立てないように進んでいく。
「この角の向こうか……?」
 武尊が覗くと道の先に黒い影がちょこちょこと動いているのが見えた。
「いたな……百合園生!」
 黒い影はゆっくりとこちらへと動いてくる。
「これはチャンス!」
 武尊はスキル『光学迷彩』で姿を消す。そして、持ってきた『血煙爪雷降』を起動。爆音が遺跡内に響く。
「ふぇっ!? なになに!?」
 影も音にびっくりしてあたりをきょろきょろと見回す。
「なんなのぉ……」
「今だな……!」
 姿を消したまま角から出て『ダークビジョン』をのおかげで明かりを必要としないため黒い影に気づかれず移動。『冥界の瘴気』で禍々しい瘴気を纏い雰囲気を作り上げる。その瘴気にまぎれて影の後ろへ。そこで姿を現して相手が気づくように足音を立てる。
「だれ……?」
 そして音に気づき影が武尊の方へと振り返る。待ってましたと武尊はマスク越しに『紅の魔眼』で目を紅く光らせ、『血煙爪雷降』を振り上げる。
「うおぉぉぉぉぉ!!」
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
 遺跡内に可愛らしい女の子の悲鳴が響き渡った。

「武尊さーん、どこー……?」
 そして、武尊を追いかけたミルディア達は途中で見失い遺跡内を彷徨っていた。
「どんどん奥に行っちゃってるけど、大丈夫ミルディア?」
「大丈夫じゃないけど……、武尊さん探さないと――」
 と、ミルディアが言いかけたところで爆音が鳴り響く。
「ひゃっ! 何の音!?」
「これは……武尊の持っていた血煙爪……?」
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
 そして、聞こえてくる女の子の悲鳴。
「きゃぁ!?」
 それにびっくりするミルディア。
「悲鳴……? 武尊が誰か見つけて驚かせてるのかな」
「……! 行ってみよ、イシュタン」
 二人は音を頼りに音源へと向かって行った。
「この角の先あた――」
 と、ミルディアが曲がった先にいたのは石化した武尊だった。
「――っ!!!」
 血煙爪を振り上げたまま石になっている武尊はまさにホラー映画のワンシーンを切り取ったような状態で、ミルディアは恐怖のあまり固まっていた。
「ミルディア……っと、これは武尊じゃないの……なんで石に」
「ひくっ……うぅ……誰……?」
 武尊の後ろの方からすすり泣きが聞こえてくる。
「誰かいるの?」
 硬直しているミルディアの後ろから武尊の後ろを覗く。何かがミルディア達の前にゆっくりと姿を現した。
「え……あなたは……!」