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太古の昔に埋没した魔列車…エリザベート&静香 2

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太古の昔に埋没した魔列車…エリザベート&静香 2

リアクション


第15章 不眠不休の工事…修繕だけじゃなく内装もね

「車両の修復と内装工事を両方行っているようだな」
 各客車の作業の進行度合いを和輝がチェックして歩く。
「(それにしても、アニスと話したことがある女の子が見当たらないな…)」
 アニスを少しでも他人と話せるようにしようとするが、ノーンやエリシアはこの現場にきていないようだ。
「溶かしたそれを、担当者に渡さなきゃいけないだろう?」
「うぅ、でもでも!まだあまりお話したことがない人ばかりだよぅーっ」
「あの優しそうな人なら平気じゃないのか?」
 大人しそうな雰囲気のベアトリーチェを見つけ、アニスと手をつないで連れて行く。
「何でしょうか?」
「アニスが溶解したアダマンタイトを渡しにきたんだが…」
「あの、どこにいますか?」
「顔くらい出してくれ」
 デジャブのような光景にふぅと肩をすくめつつ、ちょっとくらい顔を見せたらどうだ?と言う。
 しかし、彼女は白衣の中に隠れたまま、出てこようとしない。
「ほら、早く出てこないと炉で遊べなくなるぞ」
「うぅ…分かった」
 そっと白衣の中から出てきた少女は、熱されて淡い青色になっている金属をコテにつけ、ベアトリーチェにおそるおそる渡す。
「アニスさん、ありがとう」
「なくなったら…言ってね」
「その時は、私から声をかけますね」
「(やれやれ、やっと少しは話せえるようになってきたか)」
 瞳の色からまだ怯えた雰囲気は消えていないが、白衣から出てきくれたことにほっと息をついた。



「にーちゃん、椅子の土台の色、ぬってくれたー?」
「もう乾いてると思うから、客車の中へ運ぶよ」
 修理が終わった通常車両にタイルを敷き終えた蒼が、空きっぱなしのドアから顔を覗かせる。
「人が通るところはうすいーグレーにして、席があるところはー、こいーグレーにしておいたよー」
 真が考えた色味通りに、せっせと工事を行っている。
「この壁紙はうすーいベージュだね?」
「うん、床の色を暗めにして、壁や天井は薄い色じゃないと重く感じるんだよ。ベージュ系だけじゃ、なんだから他のところは色彩のトーンを合わせたりね」
 土台を運びながらカラーについて教える。
「へーーー!!そうなんだー?」
「次は何をすればいい?」
「んーとね、シートを敷くの手伝って!」
 新品の床を汚さないようにシートの端を持ち、バサッと床の上へ被せる。
 工具箱をシートの上へ置き、ネジなどを並べる。
「ナットをぎゅーってしめなきゃっ」
 パワーアシストアームによって補強された力で、めいっぱい締める。
 1両分の席を設置しても疲れた様子を見せず、今度こそモニターをつけようとおやつの時間も忘れ、脚立によじのぼり夢中で作業を続ける。
「にーちゃんモニターを持っててー。うわぁん、下に傾いてるよー!」
「このくらい?」
「そー!動かさないでねー」
 壁側とモニターの裏側の配線にはんだをつけてつなぎ、金具にもはんだをつけ接着する。
「わーいせっちかんりょー!」
「蒼、窓もはめなきゃね」
「わすれてたー!今やるぅーっ」
 小さなわんこが頑張ってる頃、寝台車の工事を行っている大人たちはというと…。
「そろそろ眠気がやばいかも」
「諦めたらそこでお終いだぞ、弥十郎」
 不眠不休で働き続けている。
「そういえばメシエさんは?」
 枕をベッドに配置していたはずの彼の姿がない。
「ヴァイシャリーの別邸で眠ってしまってますよ…」
 エオリアはカーテンレールにカーテンをつけながら、彼の居場所を教える。
「えぇ!?」
「頼もうと思ったら1人だけ戻ってしまって、まったく困った人ですよ」
 どうしたらよいものかエオリアは深いため息をつく。
 結局、メシエが起きたのは翌朝だった…。
 ようやく全ての車両の工事が終わり、各車両はアキラたちによってレールの上へ移動され、残るは連結作業だけとなった。
 セレアナがタグをつけてくれたおかげで、その作業もスムーズに進む。
「このフックをかければ完成ね!」
「お疲れ様でした、美羽さん!」
「んー…しばらくヴァイシャリーの別邸で仮眠させてもらうわ」
 そう言うと美羽はたっぷり睡眠をとらせてもらおうとヴァイシャリーの別邸へ向かい、朝食をもらうと寝室に行き、ベッドへ倒れ込んだ。
「次回に持ち越しかと思ったが、なんとか終わったようだな。―…リオンとアニスはいったい何をしようとしてるんだ」
 工事が終わった瞬間、自由人となっている2人を見る。
 アダマンタイドではなく他の金属を合成してみようと、炉で遊んでいるようだ。
 御神楽夫妻は魔列車を眺め、互いに感想を述べている。
「随分とキレイになりましたね」
「えぇ、席もゆったりスペースがあるようだから、長旅もしやすいわね。これも皆が頑張ってくれたおかげよ」
 いくつもの重労働に苦情もなく進み、何度感謝しても足りないくらいだ。
「モニターのどーさちぇっくぅー」
 列車の電源を入れて蒼が動作チェックする。
「わぁーい、ちゃんと映っているぅう!!」
 前に撮った映像もきちんと流れている。
「大きなモニターがあるわね?これなら今まで撮ったものを流せそうかしら」
「月夜ねーちゃん、モニターになにを映したいの?」
「今まで撮った作業の様子よ」
「うん、たのしみーっ!!」
「これから編集を始めるからパーティーに、間に合うかもね。魔列車の前で皆とならんだ様子も撮影して、パネルにようと考えてるの」
「駅舎のどこかにおけるといいねー?」
「そうね。塗装も終えてからのほうがいいと思うから。その後になるわ」
 これから皆の夢を乗せて走る魔列車のパネル制作は、また別の機会ですることとなった。

担当マスターより

▼担当マスター

按条境一

▼マスターコメント

皆様、お疲れ様です。
魔列車がラズィーヤ好みのゴージャスな雰囲気となりましたね。

【進行度合い】

・アダマンタイトの加工(溶解)完了。

・魔列車の発掘・引き上げ・掃除・内装:完了。


【次回の進行】

決まり次第、マスターページに書き込みます。


1部の方に称号をお送りさせていただきました。
それではまた次回、シナリオでお会いできる日を楽しみにお待ちしております。


2012.02.27
・リアクションを一部、修正いたしました。