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波乱万丈勉強会

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波乱万丈勉強会

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◆プロローグ「波乱の幕開け?」

「勉強会は明日だ。準備はいいか?」
 そう声を発したのは山葉 聡(やまは・さとし)。周囲に集まっているOBKのメンバーたちは、緊張した面持ちで頷いている。
「あら? あれは聡くん?」
 火村 加夜(ひむら・かや)がそんな様子を見かけて首をかしげた。知らぬ間柄ではない。加夜は近づいて話しかけた。
「こんにちは聡くん。何をしているんですか?」
「どぅわぁっ」
 声をかけられて驚いた聡は手にしていたノートを落とした。勉強会を邪魔する計画が書かれたノートを。
 聡は慌てて拾い上げようとするが、その前に加夜が拾ってしまった。万事休す!
「ごめんなさい……これは」
 ちょうど開いていたノートを見た加夜。顔が真っ青になる聡。だが、なぜか加夜はくすくすと笑い出した。
「明日の勉強会、みなさんを楽しませようとしているんですね」
 ミラクルな誤解が起きていた。わけがわからない聡だが、加夜はノートに書かれた落書きを指差し、
「ヒーローショーですか? 緊張している方もいるでしょうし、きっとこれで楽しんでくれるはずです」
 計画書といったところで所詮オバカさんの集まり。絵で計画を描いていたのが、彼女には楽しそうなものに見えたらしい。ラッキーである。
「私にも手伝わせてください」
「あ、ああ、もちろんさ!」
 会議は、加夜が的確なアドバイスをくれるおかげでとんとん拍子に進んだ。
「よしっこれで世界は平和になる。勉強会をOBKが征服するんだ!」
「おー!」
「(征服? ああ、そういう設定なんですね)」
 気合の入るOBKたち……その会話を聞いて衝撃を受けたものがいた。
「何ッ世界を征服できる勉強会だとっ?」
 メガネをかけた男、ドクター・ハデス(どくたー・はです)だ。
 今の話のどこをどう解釈したのかは謎だが、彼は勉強会に参加するだけで世界が征服できると思った。
「世界征服を目指す悪の秘密結社オリュンポスの大幹部、天才科学者ドクター・ハデス(どくたー・はです)としては参加するしかあるまい!」
 いや、そもそも追試を逃れるための勉強会ですよ?
 という言葉は彼には届かない。
「さて、そうなると準備が必要だな」
 気合十分な顔で去っていくハデス。その後ろから姿を現す別の人物がいた。茂手乃 乙女(もてない・おとめ)である。
 彼女は『勉強してきゃっきゃうふふ』な展開をどうにか阻止するため、1人考えていたのだが。
「OBKとやら、私も協力しようではないか。そしておバカさんと非モテを増やすのだ!」
 キランっと乙女の目が光る。その手に握られているのはお手製の仮面(紙製)だ。
「ふっふっふ! ついに、ついに『怪人モテナイ仮面』の出番と言うわけだな! 待ってろリア充め!」
 波乱の幕開けである。