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立ち上がれ、僕らのヒーロー!!

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立ち上がれ、僕らのヒーロー!!

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第二章 出撃、戦場はデパート屋上!!

 ショー開演の少し前。

 御神楽 陽太(みかぐら・ようた)のパートナーノーン・クリスタリア(のーん・くりすたりあ)は、スカイレンジャーのヒーローショーを聞きつけて観客としてやって来た。
 両手には屋上の店で買ったばかりのジュースとポップコーンがあった。

「わっ、すごく迫力があるヒーローショーだよ!」

 たくさんの怪人達にきょろきょろしながらショー開演前の時間を楽しんでいる。
 そんなノーンの右の席には

「ブルーとか二人いるけど、格好いいから気にならないぜ。な、姉ちゃん」
 空京少女誘拐事件で知り合ったヴァルキリーの少年がいた。今日は母親とデパートに来たのだが、あまりにも母親の服選びが長いためショーを見に行くと言って飛び出して来たのだ。

「そうだね、ウルトちゃん」
 ジュースを飲み、ポップコーンを食べながらウルトに頷き、一緒にわくわくドキドキして開演を心待ちにする二人。

「あ、始まったよ!!」
 忙しく動いていたノーンの視線は舞台に注目した。

 いよいよヒーローショー開演。
 カンナの音楽と共に最初に舞台上に出て来たのは、四人の司会達。

「みんなーこんにちはー」
 まず最初に登場した春美が定番の挨拶から始めた。
 観客達、特に子供達がばらばらと大きな声で挨拶を返す。

 場を盛り上げるためにもう一度、

「声がちいさいよーもう一回、こんにちはー」

「こんにちはー!!」

 先ほどよりも大きな挨拶を返す子供達やノーン。

「ヒーローショーへようこそ!!」
 春美は、にっこりとこの騒ぎはいかにもショーの演出というように気にせず進行する。

「だけど、右も左も悪者さんがいっぱい。でも大丈夫、今日は頼りになるヒーローがいるからね☆」
 大げさに慌ててみせたかと思うとウインクをして元気なお姉さんを演出する春美。

「誰にも負けないみんなのヒーローですわ」
 アデリーヌも加わり、子供達を焦らせて登場を盛り上げる。

「さて準備はよいかのう」
 うずうずしている子供達の様子を見て、頃合いを見計らったルファンの問いかけ。

 それに答える子供達の中には、

「もちろんだよ!!」
「いいぜ!!」

 ノーンやウルトもいた。

 ウォーレンがヒーロー登場に合図を出すため舞台の手前に立ち、派手な音楽と共に呼びかけた。

「じゃぁ、良い子の皆も悪い子の皆も一緒に呼ぼうぜ! せーの!」

「スカイレンジャー!!」

 子供達だけではなく司会者達も一緒に叫んだ。

「レオング将軍、おまえの探しているスカイレンジャーはここだぜ。出て来い!!」

 予定通り康之はスカイレッドとしてマイクパフォーマンスを始めた。
 パフォーマンスが終わるなりすぐに登場の準備に入る。

『スカイレンジャーはどこだ』

 声と共に突然、レオング将軍が舞台上に現れた。

「レオング将軍の登場じゃ。最初に登場するのは……」

 ルファンの司会のタイミングを計り、

「スカイレッド参上!!」

 康之は【Free Sky】にのって大空から登場し、軽やかに舞台に降り立ち、名乗り、ポーズを取った。

「スカイブルー、参上!!」

 続いて某が強化光翼で空から舞台に降り立ち、名乗りポーズを決める。

「探していたスカイレンジャーはここだぜ」
「珍しく仲間を助けにでも来たか」
 康之は闘志燃えたぎるレッドを演じ、某は怪人の性格を知りつつ皮肉を口にするクールなブルーを演じた。

『はっ、おふざけが好きだな。貴様らの力がふざけていなか確かめてやる』

「来い!!」
 康之は挑発し、カンナのギターが派手に唸る中、向かって来るレオング将軍に猪突猛進に突っ込んで行った。

「レッド、考え無しに突っ込むな」
 某はきっちりと熱血レッドに呆れるクールなブルーを演じる。番組を見ている子供達がガッカリしないように気を遣う二人。
「考えていたらオレ達の世界もこっちの世界も守れないぜ」
 レオング将軍の剣を受け止める康之。攻撃スキルを使えばこんな怪人など容易く倒すことは出来るが、今はショーの最中なので『武術』だけで何とかしていくつもりだ。当然、某もだ。

『まだまだだな』

「くっ、くそぉ」
 接近戦で押されているようにみせる康之。

「……全く世話が焼けるリーダーだ」
 某は呆れながらもレッドを助けに行くブルーを演じた。

「助かったぜ」
 レオング将軍から離れ、一息つく。

「みんな応援だよ。せーの!」

「負けるな!!」
「頑張れ!! 反撃だよ、レッド、ブルー!!」

 春美の呼びかけに元気よく答える観客達に混じってノーンもジュースを持つ手を振り上げながら力強く応援。

「負けないぜ!!」
 みんなの声援を受けた康之は、強力な蹴りを一発をレオン将軍に与えた。

『ぐぅぅぅ、我は消えぬぞ、消えぬぞぉ』

 強力な攻撃を受けたレオング将軍のよろける足元から紫の炎が溢れ出し、全身を包み込んだと思ったら消えてしまった。

 残ったのは

『力を得た我は消えぬぞ。今回はただの力試しだ。次回は容赦はしないぞ』

 どこからともなく聞こえるレオング将軍の声だった。

「く、将軍め」
「次こそは慎重に行くぞ。今度こそは倒さなければならないからな」
 悔しそうな康之に励ましではなく厳しい言葉の某。まさにレッドとブルー。

「む、助けを呼ぶ声だ。行くぞ、ブルー」
 落ち込んでいた様子は、怪人に捕まった沙織の声によって吹き飛ばされた。
 二人は現場に急いだ。

 沙織はヒーロー全員を見送ってしばらくしてから他の観客に騒ぎを悟らせないようにするために観客に混じることにした。

 観客席に向かう途中、突然背後から爬虫類系の怪人に捕まってしまった。

「きゃぁぁ、悪人に捕まったよ〜」

 ここはショーを盛り上げるために一役買う。
 沙織の叫び声で一斉に観客の視線が集まる。

『叫んでも無駄だ。このナバンヌ様のためにスカイレンジャーを呼ぶ人質になって貰う』

「スカイレンジャー、助けてー!」
 もう一度、大声で叫ぶ。

「スカイレンジャー、早く早く!! ほら、みんなも呼んで」
 沙織の盛り上げにノリノリで司会をする春美。

 しかし、ヒーローが向かう前にちょっとしたアクシデントが発生した。

「ちょ、どこ触ってるのよ、えっち」
 怪人の手が少し体に触れた途端、沙織は思わず相手の急所を膝で蹴り上げて倒してしまった。

「って、しまった。か弱い観客なのに、つい。どうしよう、みんな見てるよー」
 我に返るも怪人はすっかり消えて注目が集まってしまう。

「と、とにかく」
 こそこそと小さくなって沙織は観客の中に混じった。

「……なかなかの強者だぜ。仲間に欲しいぐらいだぜ」
「レッド、まだ怪人はいる。急ぐぞ」
 助けに来たものの無用になってしまった康之と某は、ほんの少しフォローを入れてから他の怪人の元に急いだ。