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めざめた!

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めざめた!

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「神下ろしができるようになったですって?」
 パートナーのユーリカ・アスゲージ(ゆーりか・あすげーじ)アルティア・シールアム(あるてぃあ・しーるあむ)に相談されて、非不未予異無亡病 近遠(ひふみよいむなや・このとお)が聞き返した。
「以前、修行で近遠が感じたというあれですか?」
 イグナ・スプリント(いぐな・すぷりんと)が、非不未予異無亡病近遠に訊ねた。
「そういうことなのかい?」
 あらためて、非不未予異無亡病近遠も二人に訊ねてみる。
「うーん、神様が落ちてきたというか、取り憑かれたっていう感じではないですわね」
「そうでございますね。なんというか、細ーい糸が繋がったというような感じでございますか」
 ユーリカ・アスゲージとアルティア・シールアムが顔を見合わせて、そう言った。
「もしかして、ボクからパートナーのみんなに伝播したとか、そういうことなのかなあ」
 なんだかいきなり拉致されて無理矢理修行をさせられた暗い過去が甦るが、恩恵がこうしてあるのならまあよかったかと思う非不未予異無亡病近遠であった。
「なんというか、国家神のような神様ではなくって、もっと漠然とした理(ことわり)のような物を感じとっているのでございます。しいて言えば、自然の歌のような物でございましょうか」
「あたしは、もっと世界の黄金律からの反響のような……そんな感じですわ」
 アルティア・シールアムとユーリカ・アスゲージが、二人で違った感覚を口にする。
「個人差があるということかな。やはり、理論通りにはいきませんね
 そういう非不未予異無亡病近遠自身、何かの存在の波動のような物を感じている。
「パラミタで言う神ではなく、日本の神道やアミニズムか、汎神論的な意味での神との、何かのチャンネルを開く様な、そんな感じですかねぇ〜? 求めているのは知識であって、力ではないので、安易に手をのばそうとは思いませんけれど。宇宙の一部として、常に傍らにそんな力が在るということに、いまさらに気づいたような……」
 うまくまとめきれずに、非不未予異無亡病近遠が思ったことを口にしてみた。
「何か……、力が湧き上がってくるような、不思議な感覚ですわよね」
「そうですわね。でも、この力は、確実にアルティアたちの力の一部になってくれると思うのでございます」
 その力が下りてくる経緯は分からないが、大切なのはそれをどう使うかだ。
「それが、目覚めた者の義務なのかもしれないね」
 非不未予異無亡病近遠が、そうパートナーたちに言った。
 
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「ああ、やっぱり大きい風呂って言うのはいいもんだなあ」
 世界樹地下にある大浴場の大風呂にゆっくりと浸かりながら、緋桜 ケイ(ひおう・けい)がほうっと大きく息を吐いた。
 世界樹が空を飛んだりなにやらしたりで、この大浴場も一時は無茶苦茶になってしまっていたようだが、二度目の改装で、前にも増して豪華になったようだ。
「こんなに凄いお風呂があるのに、どうしてこれまであまり利用してこなかったんだろう……不思議だ」
 イルミンスールの公式女子水着を着た緋桜ケイは、今日はお風呂に目覚めて、できる限りの種類を回ろうと決めていた。とはいえ、ジャングル風呂と化したこの大浴場は、はたしていくつのお風呂が存在するのかも定かではなくなってきている。
 脱衣所こそ男女別ではあるが、そこを出るとすぐに男女一緒になる。そのため、普通は水着着用と言うことになっている。だが、それを知らない他の学校の生徒たちや、身体に自信のある猛者たちは、よくタオル一本で入っていてたまに騒ぎになっている。まあ、それもまた、この大浴場の楽しみだ。
 入り口近くはリラクゼーションホールにもなっていて、休憩できる椅子やテーブルやマッサージ台や縁台があり、飲み物もオーダーできるようになっている。
 全体の構造は、奧にプールのような大風呂があり、噴水から熱いお湯が迸っている。世界樹の樹液が混じっているとも言われるこのお湯は、お肌にいいと女生徒には大人気である。
 大風呂からは流れる風呂が川のように出ており、くねくねと曲がりながら、大浴場を一周してまた大風呂に戻ってきている。
 この流れる風呂の近くに、様々な風呂が点在しているので、それを見つけだして楽しむのが基本となっていた。
「どれ、どんな風呂があるか探検だ」
 流れる風呂沿いに歩きだしながら、緋桜ケイが言った。ふと、流れる風呂に視線を落とすと、何かが流れて行く。ザンスカールの森の精 ざんすか(ざんすかーるのもりのせい・ざんすか)だ。一瞬水死体かと思ってぎょっとしてしまうが、本人いわく、お湯に顔をつけているだけなのだそうである。本当なのだろうか。
「ハーブ風呂か、これはいいなあ」
 最初に見つけたちょっと青みがかったお湯の風呂に緋桜ケイは入ってみた。布袋の中に世界樹の葉や各種のハーブが詰められていて、それが湯船に浮かんでいる。疲れた身体には最高で、気分もよくなった。
 ハーブ湯を出て歩いて行くと、次に見つけたの釜風呂だ。はたして、これのちゃんとした入り方の分かる者がどれだけいるのだろう。
 檜風呂は、香りもよく気持ちいい。
 古めかしい風呂ばかりではなく、電気風呂や、超音波風呂や、全身シャワーなどもちゃんとある。
 サウナは、ちゃんとした焼き石に水をかける方式だ。ちゃんとヴィヒタもおいてある。
 いろいろなお風呂を楽しんでいくと、打たせ湯の所で胡座をかいて、なんだか修行のようにお湯にあたっているココ・カンパーニュ(ここ・かんぱーにゅ)に出会った。普段まとめている髪は解いているので、ちょっといつもと感じが違う。さすがに、以前のようにすっぽんぽんで入ってはおらず、下の方の開いたマイクロタンクトップ型の真っ赤なブラジャーと、スカートのついたパンツの水着を着ている。それにしても、相変わらず脱ぐと敵を作りそうなたっゆんな胸と逞しい身体つきだ。
「一人だなんて、珍しいね」
「いや、ほんとは一人じゃないんだけどさあ」
 緋桜ケイが声をかけると、ココ・カンパーニュが、少し離れた所にある真珠風呂をスッと顎で指し示した。
 そこでは、アラザルク・ミトゥナと、白いパラ実の公式水着を着たアルディミアク・ミトゥナ(あるでぃみあく・みとぅな)が、キャッキャウフフとお風呂に浸かっていた。
「邪魔したくはないんだけど、なんか、こう、ちょっとうらやましいというか、悔しいというか……」
 なんとも複雑な面持ちで、ココ・カンパーニュが言った。少しは、乙女チックな感情に目覚めたのだろうか。
「まあ、いろいろと大変だなあ」
 なんだか同情するように、緋桜ケイが言った。
「やっぱり、ここは御飯奢ってくれて、送り迎えしてくれて、プレゼントをたくさんくれる、イケメンで逞しい彼氏をゲットしてだなあ……」
「いや、それは……」
 彼氏と呼べないのではという言葉を、緋桜ケイはなんとか呑み込んだ。
 これ以上話を聞いていてもややこそうなので、緋桜ケイはココ・カンパーニュに別れを告げて、気になっていたコーヒー風呂を探しに行った。
 途中で、なんだか泡だらけになっているリン・ダージとチャイ・セイロンを見つける。全身泡だらけなので、水着を着ているのかどうかも分からない。
「まったく、なんでカレー風呂なんて物があるのよ。カレー落としに来たのに、カレーに入る馬鹿なんていないわよ!」
「まあまあまあ」
 ぷんすか怒っているリン・ダージをなだめながら、チャイ・セイロンがボディソープでカレーを洗い落としていた。
 さて、肝心のコーヒー風呂だが、なんともアメリカンという感じだった。もっとも、エスプレッソやカフェオレでもどうかとは思うが。
 結局、香りがきついので、それを落とすために他の風呂に入らなければならないらしい。
「さて、次はどこに行くかな」
 そう言った緋桜ケイの前を、ザンスカールの森の精ざんすかが流れて行った。
 
 

目覚めた?

 
 
「ふぁーあ、また目が覚めた?」
 ベッドの上で、志方綾乃が再び目を覚ます。
「なんだか、いろいろな夢を見た気も……するけどいいや。お休みなさい……」
 そして、再び夢見ることに目覚める志方綾乃であった……。
 
 

担当マスターより

▼担当マスター

篠崎砂美

▼マスターコメント

 
 なんだか、目覚めが悪いマスターです。
 睡眠不足だろうか。
 いろいろとイベントや他の仕事と重なって、ヒーヒー言いながら完成させています。
 にしても、目覚めたお話なのに、なんだか休日みたいなアクションが多かったです。なんでだろう?
 でも、面白いねたがたくさんだったので、結構楽しんで書いています。それにしても、乱数の女神様は気紛れですね。