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リアクション
第4章 ヨッパロイヤルスタート
「ほらほら、どんどん飲みなさい〜こんなタダで飲めることは滅多にないわよ!」
「ありがとー、そうよね〜。今のうちにどんどん飲むよ〜」
リーラ・タイルヒュン(りーら・たいるひゅん)は緋王 輝夜(ひおう・かぐや)にグラスをもたせ、どんどんワインを飲ませていった。
一方でフレリア・アルカトル(ふれりあ・あるかとる)とヴェルリア・アルカトル(う゛ぇるりあ・あるかとる)が小さなワイン風呂につかっていた。
日頃はエッツェル・アザトース(えっつぇる・あざとーす)をとめるために、生活費・軍事費を稼ぐ生活をしていた輝夜達。
だが、今日はそれらの疲れを癒すためにお風呂へときていた。
「きれいな肌をしてるわね〜」
「そんな〜、私なんかよりリーラさんのほうこそ美貌だよ〜」
リーラは輝夜の手を腕をみながらほめた。
輝夜は後ろ髪をかきながら、照れてみせる。
「いつも、肌に気とかつかってるのかしら?」
「もー、なんにもやってないですよ〜」
輝夜がリーラの背中をポンっと何度か叩きながら笑った。
かとおもと、輝夜はリーラのおなかを触り始めた。
「リーラさんはおなかに余分な筋肉ついてないから、見た目きれい……」
「あっ、ふふふっ、こ、こしょばゆいから、やめて〜」
「ここ? ここがいいの〜?」
その後、しばらく輝夜は酔いに身を任せリーラとの話に花を咲かせていた。
「フレリアお姉ちゃん、どうぞ」
「ヴェルリア、もしかしてこれはお酒?」
「未成年でも飲める日本酒ですよ」
透明な日本酒を渡され、少し口につけてみる。
「なかなか……おいしいわね」
「おい、あまり飲み過ぎるなよ。おまえ達の介抱するのが大変なんだからな」
隣で柊 真司(ひいらぎ・しんじ)が止めようとしたが、すでにフレリアは顔が少し赤くなっているようだった。
「ふわあ? 飲み過ぎたらにゃんだっていうのかしら〜ほら、真司も飲みなさいよほらほら〜」
「あら、おもしろそうなことをしてるじゃないの。ほらほらいくらでもお酒はあるわよ?」
「お、おいやめろ、飲めねえよ!?」
リーラに無理矢理飲まされそうになるお酒を真司は必死で逃げて行ってしまう。
「残念ねえ……あら、飲む?」
リーラは端から物欲しそうにしているネームレス・ミスト(ねーむれす・みすと)を見つけると、ワインボトルを一本渡した。
「ワイ……ン?」
ボトルに書かれたラベルを読みあげた後、ネームレスはそれを一口だけ飲んでみた。
「……おいしい」
ネームレスはそういうと、ワインを飲み干した。
1杯ではなく1本を。
「良い飲みっぷりねえ。にしてもよくみると、可愛い子ね〜小さくてなんだか人形みたい〜」
リーラはそういうと、ネームレスの髪の毛を頭から毛先へとゆっくりと何度もなでる。
「う……やめてく……ださい」
「そう言われるともったやりたくなるわ! それえっ」
「ふっ……やめっふふ」
神だけではなく体を、上半身を女児用の水着の上から何度もなで回した。
そのこそばゆさに、ネームレスは笑いをこらえるので必死のようだった。
端から見ると、子供にいたずらをしてじゃれる姉のようだった。
「ふう、すっきりしたわ〜。」
「……うう……」
リーラはもうこれでもかという位の笑顔を浮かべて満足していた。
ちょっと涙を浮かべてるようにもみえたネームレスだったが、お風呂のワインをすくいあげるとネームレスはそれを一気に飲み干した。
「!」
「え、同じワインなのかって? さあ〜どうだろ〜。でも飲めるみたいよそれ」
「……」
リーラが答えるとネームレスは小さく頷き、お風呂に潜った。
小さな気泡がワイン風呂の表面に浮かび上がってくる。
「お疲れだろ、胸をもませ……っと、ちがった、エステしてやるぜ!」
「あなたはまた!?」
端のいたるところが破れている短パンに、肩ガードをつけたモヒカンの男、ゲブー・オブイン(げぶー・おぶいん)。
手を構え、じりじりと目の前に迫ってくるゲブーに泉 美緒はゆっくり離れる。
「ただ揉むだけだぜ、それ以外なにもしねえぜ!」
「どこを揉む気ですの!?」
「そりゃあもう、胸と胸と……いや体全体を――」
「余計だめですわ!」
「逃がさねえぜ!」
振り返って逃げようとする美緒をゲブーは追いかけ押し倒した。
床に倒れる美緒、そしてゲブーはその手にやわらかくあたたかい感触を確かに感じた。
「やっ……どいてくださ……あっ」
わきわきと手を動かすゲブーに美緒は色っぽい声をあげた。
美緒は何とか逃げようと立ち上がろうとすると、別の人の足が見えた。
「あ……やあ……たす……けてくださりませんか?」
「いいよ〜?」
「あ? そんなところに突っ立ってどうしたんだ――ぎゃふんっ!?」
ゲブーがその人物に気が付くと、ゲブーはパワードアームによって、ワイン風呂へと吹き飛んだ。
「た、たすかりまし……」
「じーっ」
「……たわ?」
助けてくれた笹奈 紅鵡(ささな・こうむ)は、なぜか美緒の体を上から下までなめるように見てきていた。
よく見れば、紅鵡の体はふらふらと左右に揺れていた。
「あの……どうされましたの?」
「お酒、一緒に飲もう?」
そういうと、紅鵡はワインボトルをどこからか取り出すと、口に含んだ。
「失礼します」
「え!? な、なんですの!?」
突然アインス・シュラーク(あいんす・しゅらーく)によって、美緒は手足を拘束されてしまう。
「ふふふ、怖がらなくても大丈夫だよ?」
「ちょ、なにをんんっ――」
美緒の口が紅鵡の口によってふさがれる。
その口からはワインが移されていた。
「ぷはっ……」
数秒のち、美緒の口から紅鵡の口が離れた。
息苦しさと生ぬるさがアルコールをさらに加速させたのか。
美緒は頭がぼーっとし、心ここにあらずというように地面に座り込んでしまった。
「あれ、紅鵡様。ワイン風呂からワインがなくなりましたよ?」
アインスが少し驚いたように言った。
「……えっと……」
リーラも目の前で起きたことに絶句していた。
「すごいわね〜まさか、ワイン風呂のお酒全部飲んでしまうなんて〜」
目の前の空になったお風呂にはネームレスが座り込んでいた。
「な、何があったんだこれ〜」
酔っているためにふらふらしながらも、輝夜はネームレスの元へやってきた。
「えっ!? 全部のんだの?」
ネームレスは静かに頷いた。
「ふ〜ん、でもどうするんだろうこれ……お風呂の補充とか――うわっ!?」
突然背中から、謎の手が輝夜を抱き上げられた。
「うふふ〜、どうしたの〜?」
「ちょっと、やめて〜……うー、はんげきっ!」
後ろから抱きついてきた、紅鵡に輝夜は抱きつき返した。
アインスはすかさず、無言で輝夜の手を押さえる。
「えっ、な、なにをするの!?」
「ふふふ〜、キスだよ〜」
口にワインを含ませ再び紅鵡が、輝夜に迫る。
「んんっ!!」
が、先にキスしてきたのは輝夜自身だった。
二人とも酔っぱらっていたこともあって、その行動は過激なものだった。
が、止めてくれる人はいなかった。
「で、この空になったワインお酒どうするんでしょうか……」
アインスが空になったワイン風呂をみながらぽつりとつぶやいた。
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