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Case:5(三船 敬一)



『――尚、捕まったブラッディサンタは「リア充爆発しろ!」と連行される最中も叫んでいたようです』


 夜も更け、帰路につく車の中でニュースが告げるのに、敬一は苦笑気味に肩を竦めた。
 続くニュースも、良いものも悪いものも、小さい事件も大きい事件も区別なく流れて行き、最後にデビュー一周年を迎えた歌手の特集に切り替わった。新曲らしいバラードの静かな音楽を聞き流しながら、敬一はサイドミラー越しに空を見やった。
 このあたりはまだ、地上側に殆ど光が無いため、散らばる星が美しく輝いているのが良く見える。普段はこんな風にのんびりと空を見ることも無いだけに、妙に新鮮な心地で敬一は目を細めた。
「たまには、こういうのも悪くないな」
 魚は全て川へ返したため、持ち帰る釣果もないが、釣りは楽しめたし、一人きりの静かな時間を堪能できた。
 それで十分だ。
「今度休みが取れたら……あいつらも誘ってやるか」
 呟いた敬一は、僅かに口元を緩ませた。
 今度は皆で、のんびりと過ごすのも良いだろう。本当にのんびり出来るかどうか判らないのが困ったところかもしれないが。
 そんな風に思いながら、運転する敬一の車を月の光が照らし、深い夜の闇の中を、ラジオから優しい音色が流れていく。


『それでは最後はこの曲でお別れです。皆さん、おやすみなさい――……』