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リアクション
★ ★ ★
「メリー・クリスマスですら!」
「メリー・クリスマス!」
綺麗なクリスマス飾りに彩られた宿り樹に果実で、キネコ・マネー(きねこ・まねー)が乾杯の音頭をとりました。それに合わせて、テーブルに着いた大神 御嶽(おおがみ・うたき)と天城 紗理華(あまぎ・さりか)、アリアス・ジェイリル(ありあす・じぇいりる)たちが乾杯します。
「めりめり、くりくり!?」
一緒にいたメイちゃんたちも、よく分からないままにジュースのコップを持ちあげました。
「いいかげん、この子たちのマスターの封印を解く方法を見つけださないとねー」
キネコ・マネーにボコボコと挨拶をしているコンちゃんたちを見て、天城紗理華が大神御嶽にささやきました。
「とは言っても、簡単には見つからないんですよね」
「前に、陰陽師あたりに可能性がとかなんとか言ってたじゃない」
「言ってたからといって、闇雲に動いてどうなるものでもありませんし……。もう少し調べてみます」
そう言うと、大神御嶽はランちゃんたちの方を振りむきました。
「メリー・クリスマス! えいっ!」
ゴツンと、何かまずい音が宿り樹に果実のあちこちから聞こえてきました。
どうやら、メイちゃんたちは、また一つ新しい挨拶の方法を見つけだしたようです。
★ ★ ★
「こばー♪」
「あら、小ババ様……」
ピューと通路を走り去っている小ババ様を見て、ミリア・アンドレッティ(みりあ・あんどれってぃ)が声をかけようとしましたが、あっという間に走り去って行ってしまいました。
「あわただしいなあ……」
とりつく島もないと、ミリア・アンドレッティが寮の部屋に戻ってきたときでした。何やらごそごそと物音がします。もしかして、行ってしまったと思った小ババ様が、部屋の中に入り込んでいるのでしょうか。
音は、なぜかティナ・ファインタック(てぃな・ふぁいんたっく)の部屋から聞こえてきます。
ミリア・アンドレッティは、そっと中をのぞいてみました。
「ねるねるねる……。もぐもぐもぐ……」
「あーっ、さくらったら、何してるのよ!?」
「えっ……」
突然ミリア・アンドレッティに声をかけられて、稲荷 さくら(いなり・さくら)が、驚いて振り返りました。
小さな口の周りはお菓子の粉でべたべたです。その手には、実験お菓子用の棒と、粉の入ったお皿がありました。
「だ、だって、美味しそうな匂いがしたから……」
「袋に入ってたんだから、匂いがするわけないでしょう」
ミリア・アンドレッティにちょこんと襟首を掴まれて捕まった稲荷さくらが、ジタバタと暴れながら言い訳をしました。
「どうしたの、騒がしいなあ」
シャワーを浴びていたのか、Tシャツ姿のティナ・ファインタックが、髪をタオルで拭きながら現れました。
「あー、これは、な、何!?」
普段からきちんと片づけている部屋の中が粉だらけです。
「私の、おいしいねるねが……」
もちろん、粉をぶちまけた犯人は稲荷さくらに違いありません。
「現行犯逮捕したわ」
稲荷さくらを掴んだまま、ミリア・アンドレッティが言いました。
「ありがとう、ミリア。さあ、さくら、ちょっとそこに座りなさい」
クッションの上に正座させると、ティナ・ファインタックが膝突き合わせて稲荷さくらを見つめました。
「いったい、なんで、こんなことをしたの?」
ティナ・ファインタックが問い質しました。
「えっとお、美味しそう匂いがしたからあ!」
元気よく、稲荷さくらが答えました。ティナ・ファインタックの膝の上に乗っていたわたげうさぎが、ちょっとびっくりしたように稲荷さくらを見あげます。
「したからじゃあないわよ。まったく、さくらときたら、お菓子に対しては、欲望のおもむくままなんだから。以前だって……」
「ひーん、ごめんなさ〜い」
その後、たっぷり二時間、ティナ・ファインタックのお説教は続いたそうです。
その結果、心を入れ替えた稲荷さくらは、翌日はちゃんと見つからないようにお菓子の盗み食いを敢行したのでした。
けれども、またあっさりとミリア・アンドレッティに見つかってしまい、今度は三時間みっちりとティナ・ファインタックにお説教されてしまいました。
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