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【メルメルがんばる!】老夫婦の小さな店を守ろう!

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【メルメルがんばる!】老夫婦の小さな店を守ろう!

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 数日後。一体のヌイグルミがイコンをバラバラにしたというニュースはキマク商店街はおろか、その周辺にまで轟いていた。風馬 弾(ふうま・だん)ノエル・ニムラヴス(のえる・にむらゔす)と肩を並べて、老夫婦の店を見下ろしていた。昨日までの混乱はどこ吹く風と、キマク商店街の店主たちは逞しくも商売に勤しんでいた。岡を撫でるように吹いていく風がピンクのリボンを運んできた。
「このリボン……」
 手に取った風馬は、メルメルのものか?と確認するが、例のリボンはメルメルが髪に結ったままであったことを思い出す。
「メルヴィア少佐。行ってしまいましたね」
 ノエルが呟く。
 軍人モードを解くことなく、メルヴィアはヌイグルミの姿のまま荒野を後にした。おそらく今頃は魔法も解け、人の体を取り戻して新たな任務に取りかかっていることだろう。
「くまのヌイグルミを手放さなきゃいけなかったから。だから、軍人モードのまま立ち去ったんだと思うよ」
 風馬は天を見上げた。
 老婦人の店舗の庭先ではバーベキューの煙が、「作戦成功」の狼煙のように立ち上っている。仲間たちがにぎやかに互いの労をねぎらったり、口喧嘩をしたりしている。その中には店舗の主人が魔法を解いた老夫婦の一族の姿もあった。
「あの方たちがヌイグルミだったなんて……」
「……助けたいって思ってみても、実際は助けられることの方が多いみたいだ」
「弾さん」
「いや。拗ねているわけじゃなくてね。僕が誰かを助けたいと思うのと同じくらい、僕を助けたいと思ってくれている人がいるんだなってことを、忘れちゃいけないなって、そう思ったんだよ」
 ノエルは明るくほほ笑む風馬の横顔を見つめていた。
「すいませーん!こっちにリボンが飛んできませんでした?」
 少女が二人に声を掛けてきた。岡を一気に駆けあがってきたのだろう。息が切れている様子である。
「もしかして、このリボン?」
 風馬はさきほどのピンクのリボンを手渡した。
「これです!ありがとうございます!」
「結んであげようか?」
 ノエルが少女に向かって屈みこんだ。
「ありがとう!」
少女はくるりと半回転して、背中に背負った修繕だらけのヌイグルミを向けた。
「この子は?」
 ノエルが尋ねる。
「わたしのおにいちゃんなんです……夢の中でわたしをたくさん守ってくれたから、今度はわたしが守ってあげようと思って」
 ノエルは黙ったまま、少女の黒髪を掬いピンクのリボンで結いあげた。
 ふと、宴の場から熾月 瑛菜(しづき・えいな)の歌声が聞こえてきた。その歌声は高らかに高らかに、晴天の冬空を抜けて響いていった。



担当マスターより

▼担当マスター

ナカジマドライブ

▼マスターコメント

 はじめまして。お久しぶりです。ナカジマドライブです。
 初めてのバトルモノでのリアクション執筆でしたが皆さんのアクションのおかげで、楽しい時間を過ご
すことができました。
 年末の執筆ということで新年に向けてなるべく景気のいいい物語にしようと張り切っていたのですがw物語の核になる部分は少しだけ切ない感じになってしまいました。
 「誰かを助ける」という事に関しては、そこに「執念」みたいなものが見え隠れするものだと思っていて、それがあるからこそ、物語は物語めいていくように感じました。皆さん各々の「執念」が描けていれば幸いです。
 今年はどうもありがとうございました!来年もどこかで一緒に遊んでください♪

▼マスター個別コメント