リアクション
「まったくもう、遊ぶならもっと他の人に迷惑をかけない遊び方をしなさい!だいたい今時の宇宙人はもっとこう……くどくどくどくど」
数十人のポータラカ人を並べてお説教を続けるさゆり。
銀色の宇宙人のような姿が大量に、しかも牧草の生える地面に正座で座らされている光景に通りかかった者たちは一様にぎょっとした表情で足を止める。
すでに時間は一時間近く経とうとしていた。
「さゆみ〜」
そんな彼女の元へ、アデリーヌはアイスクリームを両手に持ってやってきた。
「あ、お帰りなさいアデリーヌ。ありがとうね」
「……まだお説教の途中でしたか?」
不安そうに銀色の集団を見つめながら、彼女はさゆみに問いかけた。
さゆみは「ううん」と首を横に振る。
「せっかくの休日なのに、ごめんねアデリーヌ。どうしてもこの宇宙人もどきが許せなくて……もう少しで終るから」
「わかりましたわ」
アデリーヌはその言葉に、軽くはにかんでみせた。
一方ポータラカ人達はというと……、
「オ〜ワッ〜ッタ〜ノ〜カ〜?」
「ジャ〜ア〜マ〜タ〜ツ〜ヅ〜キ〜ス〜ル〜?」
まったく悪びれる様子も無く立ち上がろうとするのであった。
「……ごめんアデリーヌ。もうちょっと待ってて。あなたたち、もう一時間お説教よ!」
「「ナ、ナンダッテー!」」
ポータラカ人達の息の合った悲鳴が轟くなか、今回のUFOを対処してくれた人々は揃って牧場にある家屋に集まっていた。
「まったく……本当に今日は酷い目に遭ったわ……」
そういってぐったりする雅羅。
そんな彼女に対してアキラ・セイルーンは「あーっはっはっは!」と笑いかけた。
「おめーいつもこんなことに巻き込まれているのか?大変だなぁ。ここまでくるともう笑うっきゃねーよなぁあーっはっはっはっはっは!」
「……言ってくれるわねぇ。私だって好きでこんな騒動に巻き込まれてるわけじゃないだからね!」
まるで他人事のように笑うアキラを雅羅はきっ、と睨みつける。
しかし彼はぱくり、とアイスを口に入れると再び笑い続けるのであった。
「まぁまぁ雅羅ちゃん。こうして無事だったんだからよかったじゃない。ゼーさんもお疲れさまー」
そう言ってなななはアイスを隣に座るシャウラ・エピゼシーに手渡した。
「お疲れさんななな。大丈夫だったか?」
「うん。火星人も何とか追い払えたよ。ゼーさんは怪我は無かった?」
「何ともないぜ。これでもし攫われたのがなななだったら、全機撃墜したところだぞ」
「わー、それは頼もしいね」
「また何かあれば呼んでくれよ。同じ宇宙刑事としてすぐに駆けつけてやる」
「ありがとー。でも、今は地球の平和が守れて一安心だね」
なななはミルクアイスをぱくり、と口にした。
そして、
「あ、それと雅羅ちゃんのち……」
「もうそれ以上言わないでいいから!」
……を守れてよかったね!
と言おうとしたところで雅羅に口を塞がれ、なななは「もごもご」とくぐもった声をあげるのみであった。
「今日は災難だったね雅羅」
そう言って雅羅の隣にルカルカ・ルーは座った。
「まったくよ……みんな何かと言えば口をそろえて……乳、乳って……ぶつぶつぶつぶつ」
「あはは、アイスでも食べて忘れようよ雅羅。ほら、おいしいよ?」
そう言ってルカルカ・ルーはアイスクリームをスプーンで掬い上げた。
それを口に運ぶと「んー」と体を震わす。
「アイスうまー。おいしー♪冬を愛す(アイス)なんちゃって」
暖かいはずの室内に、冷たい風が吹いた。
「……それ、笑わないと駄目か?」
コードは淡々と言い放った。
ルカルカは頬を膨らませて「なによもー」と文句を言う。
「ふんだっ!そんなこと言うコードは、とっとと牛の乳搾りに行きなさいよー」
「うむ……そうしたい所だが……」
彼は冷たい金属で作られた両手を見つめる。
これでは牛がびっくりしてしまうのではないか……。
「ふっふーん。そう思ってちゃんと準備しといたわよ。はい」
そう言ってルカルカはポケットから何かを取り出すとそれをコードに手渡す。
それは毛糸でできた手袋であった。
「これならひんやりしないでしょ」
「……」
しばしの無言。
何を言っていいのかわからずに戸惑う彼に、
「ほら、行ってきなさいコード」
ルカルカは優しく語りかけた。
「……ありがとう」
「あ、なななも乳搾り行くー」
なななは元気良く立ち上がった。
そして、
「せっかくこれだけ集まったんだし、みんなも一緒に乳搾り行こうよ!だって……」
彼女は今日、この牧場に集まった者達を引き連れて建物の外へ飛び出す。
「雅羅ちゃんたちを今日呼んだ目的はこれなんだもん。そのあと、またアイスクリームを食べよう!」
こうしてこの後、ななな主導のもとに今回の件に関わった者達全員で牛の乳搾り、そしてアイスクリームを食べるということになったのであった。
ユウガタノクマです。クマーです。
「謎の宇宙人襲来!?」にご参加いただきまして、まことにありがとうございました。
今回は宇宙人、という名のポータラカ人を相手しながら雅羅を助ける(いじめる?)シナリオでした。
シナリオの狙いとしては宇宙人の真似事をして遊ぶポータラカ人達を追い払いながら、みなさんがそれに悪乗りできる内容のシナリオをという所にあります。
ということで少々コメディタッチで書いてみましたが、いかがだったでしょうか?
ちなみに今回の話のラストは、全員でなななや雅羅と一緒にアイスクリームを食べるという結末にしています。
またクマーのシナリオにご参加頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。