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温泉を巡る攻防!

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温泉を巡る攻防!

リアクション

 休憩スペース。ティー・ティー(てぃー・てぃー)の竪琴から奏でられる静かな曲が響く中、秀幸、パッフェル、源 鉄心(みなもと・てっしん)小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)コハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)。そして、モンスターの代表格としてメデューサとリザードマン達が顔を合わせていた。
「さて、わざわざ私達が呼ばれた訳だけれど……。話は分かっているわ」
 メデューサが切り出す。
「移動してほしいって、話だったわよね?」
「はい。理解が早くて助かります」
「まぁ、移動するのは構わないけれど。まだ、入っている子達はどうするのかしら?」
 温泉には、まだのんびりと湯につかっているモンスター達がいる。
「すぐにというわけではないようだし、全員が出てくるまでは待てるのではないだろうか? 小暮少尉。その辺りはどうなっていますか?」
 鉄心の言葉に頷く秀幸。
「急かす事は一切しません。皆さんが満足するまではこちらも待つことが出来ますので」
「ゆっくり、していって……。それから、移動、してくれれば……良いから」
「そう。なら、その辺りの問題は解決ね。後は、モンスター達の要望かしら?」
「物資とかでしょうか?」
「そうね。一応、移動して欲しいとお願いしてきているのはそちらでしょう? その辺りの要望は聞いてくれても良いでしょう?」
「用意出来るものはこちらで準備出来てるよ」
「こちらで輸送する準備も出来ています。ある程度は叶えられると思いますが……何か必要なものがありますか?」
「物というよりは、場所の方が多いかしら。美容効果があって薔薇の花の香りのする温泉。後は、お酒にハーブティ。おつまみかしら?」
「サケ、ツマミ。ユックリデキルバショ。ソレデジュウブンダ」
「なるほど……。すぐに準備させましょう」
「まぁ、そんなところかしら?」
「ソウダナ」
「あ、あの……」
 話が大体終わったところで、おずおずとイコナ・ユア・クックブック(いこな・ゆあくっくぶっく)が声をかける。
「みつ豆を作ったのですけれど……食べませんか?」
「あら、せっかくだから頂こうかしら」
「モラウ」
 二人の言葉を聞いて、笑顔になるイコナ。
「じゃあ、持ってきますわ! みんなの分もありますの!」
「あ、じゃあ。運ぶの手伝うよ」
 コハクが運ぶのを手伝い、みつ豆を全員で頂く。
「ふむ……。まぁまぁかしら」
「ワルクナイ」
「そ、それは良かったですわ……」
 口に運んだモンスター二人の感想を聞いて一安心するイコナ。
「皆さんゆっくりしているところ失礼しますね」
 竪琴を奏でるのを一旦中断したティーがやってきた。後ろには、アルラウネとコボルトを連れていた。
「……ホシイ」
「サケ、タリナイ」
「えっと、アルラウネさんも、みつ豆がほしいそうです。それからコボルトさんが、浴場の方のお酒がなくなったので用意してほしいということらしいです」
 ティーがインファイトプレイヤーでアルラウネの意思を汲み取りみんなに伝える。
「みつ豆は……。イコナ、まだあるのかい?」
「もちろんですわ。すぐ持ってきますわ!」
「お酒は、準備しますので少しお待ちいただいてもよろしいですか?」
「はい、分かりました。少々お待ちください……」
 ティーがアルラウネとコボルトと視線を交わし、言葉を伝える。それから少しして二人は頷いて離れていった。
「分かりました。と仰っていました」
「良かった。では、用意してきます」
「……っと、そうだったわ」
 メデューサが何かを思い出したようにみつ豆の入ったお皿を置く。
「移動はわかるのだけれど、場所は何処なのかしら?」
「案内……、つけるから、大丈夫」
「そこには私とコハクが連れて行くから大丈夫だよ♪」
「そう……なら、大丈夫ね」
 そういうと再びみつ豆を食べ始めたメデューサだった。


 ――それから少しして。モンスター達が全員湯から出たのを確認して、美羽とコハクがモンスター達を連れて人里はなれた温泉へと案内した。
「ふぅ……極楽だね〜」
 そして、美羽はそのままモンスター達と一緒に温泉に入っていた。
「至高です〜……」
「中々、良い場所ね。わざわざ準備してくれただけはあるわ」
「あ、そうだ! アイスとかいかが?」
 美羽が、秀幸に頼んで用意してもらったアイスクリームを取り出す。
「いただきますね」
「私もいただくわ」
「あたしもー!」
「沢山あるからね〜♪」
 みんな、美羽からアイスクリームをもらい、食べ始める。
「ん〜♪ やっぱり温泉で食べるアイスは最高だよね!」
「ちょっと、溶けやすいですが、美味しいですね」
「気に入ってもらえてよかった♪ まだまだあるからね♪」

「はい、どうぞ」
 一方のコハクも、休憩スペースでモンスター達にアイスを配りながら一緒にアイスを食べていた。
「チョウダイ!」
「はい、落とさないようにね」
「〜♪」
「隣、座ってもいいかな?」
「スキニシロ」
 一通り配り終えたコハクもリザードマンの隣に座りアイスを食べ始める。
「どう、美味しい?」
「ワルクナイ」
「良かった。不味いといわれたらどうしようかと思ったよ」
「タベタコトナイモノ、シンセンダ」
「あ、こういうものは食べたことなかったんだ。なら、堪能するまで食べて行ってね。沢山用意してかるから」
「ソウサセテモラウ」


「……これにて、任務完了ですね」
 モンスター達を見送った秀幸がイスに座る。
「お疲れ様です。小暮少尉」
「……おつかれ」
 お猪口片手の鉄心とティーカップを持つパッフェルが秀幸を労う。
「普段も、このように交渉だけで済めば楽なのでしょうけどね……」
「なかなか無理な話ですね」
「……温泉、の力は……偉大」
「そうですね。何か不思議な力があるのでしょうか?」
「寒いときに温まりたいのは人間もモンスターも一緒、ということでしょうね」
「そう、だね……」
「さてと……。確か、成功した暁には、そのまま温泉で一泊できるんでしたね?」
 鉄心がお酒を持って立ち上がる。
「そうですね」
「せっかくですし、温泉に入りませんか? 小暮少尉」
「……そうですね。せっかくですしゆっくりするのも良いでしょう」
「私も……、円と、約束……してる」
「じゃあ、行きましょうか」
 
 こうして、温泉の平和(?)は無事守られたのだった……。


担当マスターより

▼担当マスター

瓜生和希

▼マスターコメント

皆さん、遅ればせながら……。

明けましておめでとうございます!

今年、初シナリオを担当させていただきました瓜生和希です。
自分の使うパソコンが壊れかけたり、色々と忙しかったりしてだいぶ月日が空いてしまってからのシナリオ……。満足いただけましたでしょうか?
色々と不安ですが、一生懸命かかせていただきました!
人数も少ないから、一つ一つ長く長く……。っと、思いながらあれやこれやと書いていたら意図せずして長くなっていました。とにかく、少しでも喜んでいただければと思い、頑張って書かせていただきました!

今回の内容は温泉! モンスターと温泉を巡る攻防……というよりは、モンスターと一緒に入って楽しもう! という感じで書かせていただきました。
都合上、一部、アクションどおりでは方がいらっしゃいます。申し訳ありません……。

そして、今回。モンスター側のゲストとして以前、自分が担当したシナリオ『友達が欲しいメデューサ』より、メデューサの『ユリシア』ちゃんが登場いたしました。
アクションをかけてくれた方、覚えていてくれていた方ありがとうございます! 嬉しい限りです! 
分からない方にも簡単ですが『ユリシア』について説明させていただきます。

・ユリシアについて
シャンバラ貴族の別荘跡の遺跡にいた一人ぼっちのメデューサです。
『友達が欲しいメデューサ』のシナリオにて、皆さんと出会い、友達になりました。ユリシアという名前もその時につけられました。
不思議な力により別荘跡の遺跡の一定範囲外に出ると、遺跡に戻されてしまいますが、今回はリーダー格のメデューサの力によって、条件付きではありますが、外に出る事が出来ました。
人見知りしない元気な女の子で、誰とでも仲良くなろうとします。
普通は、目を見ると石化してしまいますが、『友達が欲しいメデューサ』のシナリオで見つけた特殊なコンタクトレンズをつけているので、コンタクトを外されたりしない限り石化はしません。


という感じになります。ユリシアに関してだけですが、『メデューサとお友達』の称号をつけていた方は、すでにユリシアと顔見知りであるという形でシナリオを書かせていただきました。
もっと、詳しく知りたいという方は『友達が欲しいメデューサ』を読んでいただければ。より、理解できるかと思います。

長々と書いてしまいましたが、皆様に楽しんでいただければ幸いです。それと一部の方には称号の方を贈らせていただこうと思います。

以上、瓜生和希でした!