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【猫の日】ねこねこ草とねこ村

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【猫の日】ねこねこ草とねこ村

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開会式は男の娘アイドルの演奏で

 右を見ても左を見てもねこ耳、しっぽの人で溢れかえっている広場。
 ねこ村とにゃんこ村それぞれで応援合戦が繰り広げられている。

「想詠夢悠です! 男の娘アイドルやってます! よろしくお願いしますにゃ!」

 ねこ村の応援団のリーダーは、化粧を施された男の娘アイドルな想詠 夢悠(おもなが・ゆめちか)
 彼はヒミツの補正下着を履いた上から女性用のバレーボールの女性用ユニフォームのような、ノースリーブのシャツと短パンとソックスを、ねこ耳・尻尾と一緒の灰色縞なサバトラ模様で統一された服を着た姿である。
 名声を使いそう言うと、ギターを取り出し陽気なメロディーを奏で始める。
 そのメロディーに合わせて、ウィンクや少し甘えた態度など細かい仕草で可愛らしくねこ村の住民を誘惑していく。


「ファイトだ! ねこ村! 強いぞ! ねこ村! 掴むぞ! 優勝! 
ウィー・アー・ねこ村!!」



 誘惑も合わさり、ねこ村住人たちのボルテージを上げていった。


 対するにゃんこ村も白のチア服にピンクのポンポンの百合園カラーのチアコスチューム姿に、猫耳と猫しっぽをつけた桜月 綾乃(さくらづき・あやの)が他のねこ娘と共にチアリーディングを披露している。


「フレー、フレー、にゃんこ村! ファイト、ファイト、にゃんこ村!!」


 応援合戦とは別の場所では風向きを調べている杜守 柚(ともり・ゆず)杜守 三月(ともり・みつき)を筆頭に運営チームが玉入れと応援席のセッティングをしていた。
 二人は白猫と黒猫のねこ耳しっぽを付けている。

「風下はこっちだね」
「そうですね。皆さん、ここをメイン席にして、風向きが変わった時用にさっき言ってた場所に応援席を設置して下さい」



◇          ◇          ◇




 全ての準備を終え、二つの玉籠の下にはねこ村チームαとノーン・クリスタリア(のーん・くりすたりあ)率いるにゃんこ村が立っている。

「みなさん、準備は良いですか? それでは、ヨーイ!」

―――パァン!

 柚のスタートガンの合図でスタートされる第一試合・第一回戦。
 三個の玉を持つ白いネコ耳とネコ手、ネコ尻尾姿のノーン。
 幸運のおまじないの運も呼びこみ、着実なスローインで籠に入れていく。

「向こうも着実に入れていくけど、勝つのはワタシたちだもん!」

 ノーンの呼びこむ幸運は、にゃんこ村にも渡ったのかαよりも早く玉を入れ着ることに成功した。

―――パパン!

「ノーンさんたちにゃんこ村の勝利! 速やかに二回戦の準備に移行して下さい」

 柚に呼ばれ出てくる、あの男の娘アイドルこと夢悠率いるねこ村チーム。
 応援席からも野太い声が聴こえてくる。

「夢悠たーん!」
「頑張れー!!」
「お前ら負けるんじゃねーぞ!!!」
「ありがとー! 頑張るから、応援よろしくにゃ!」

 応援してくるねこ村に手を振る夢悠。

「みなさん、準備は良いですか? それでは、ヨーイ!」

―――パァン!

 震える魂で士気を上げた状態で玉を慎重に入れていくねこ村チーム。

「勢いにのまれちゃダメ!」
「この熱気熱すぎだにゃん……」

 妨害も夢悠親衛隊の熱気やらオーラやらで歯が立たない。

―――パパン!

「あー結局妨害らしい妨害が出来ずに終わっちゃったにゃー」
「みんな、この調子で第二試合も頑張ろうね!」

 夢悠が親衛隊たちによって作られた特等席に座った。

「三回戦、ねこ村チームβ対雅羅さん率いるにゃんこ村。準備は良いですか?」

―――パァン!

「みんな、頑張るんだにゃー!」

 夢悠のエールを受けて俄然やる気を出すねこ村チームβ。
 対する雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)率いるにゃんこ村も気合十分。

 持ち玉を慎重に玉を入れていくにゃんこ村。

「何度も持ってちゃ酔いが回るのも早いハズよね。一回でしっかり入れてかないと」

 雅羅はあえて風下で持っている玉を一個ずつ入れていった。

「うぉぉおおお!」
「いくにゃああああ!」
「な、なに!?」

 突如ねこ村からの雄叫びに驚く雅羅。
 チームβはやたら筋肉質な、見るからに熱い男ですといった見た目の虎ねこたちが玉籠を囲んでいる。
 そのねこ達は雄叫びをあげながら玉を剛速球で投げていく。

「またですか」
「相変わらず声だけはうるさいですわね」
「耳がきーんとするにゃ……」
「はぁ……なんで姉さんはあんな奴に嫁いでったんだろ」

 雅羅のチームメイトは慣れているのか、ため息一つで自分の玉籠に集中する。

「雅羅、あんな奴ら気にしてても無駄。今はこっちに集中」
「そ、そうね。これで最後!」

 雅羅の投げ入れた玉でこの勝負、にゃんこ村が次の段階へコマを進めるのだった。