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タケノコノキノコノ

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タケノコノキノコノ

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2.裏で蠢く者たち

「待ちなさい! そこにいるのはキノコ党ね! タケノコ狩りを邪魔しようったってそうはいかないんだから!」
「ふふふふふ……タケノコ党、覚悟っ!」
 襲い掛かって来たキノコ党の攻撃を受け止めるタケノコ党。
 がしり。
 重い音が響く。
「はっ!」
「えっ!」
 そして、二人は気づいてしまった。
 相手のキノコ党が。タケノコ党が。
 互いの愛する人物であるということに。
「……セレン?」
「セレアナなの!?」
 キノコ党のセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)とタケノコ党のセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)
 それは、悲しい再会だった。

(どうして!? なんでこんなことに……っ)
 セレンフィリティは自らの記憶を振り返る。
 そう、あたしはたしか、タケノコ狩りに来ていた筈。
「きゃっ、な、何ぃっ!?」
 ふいに何者かの襲撃を受けたセレンフィリティは全身を掻痒感に包まれた。
「や、あんっ、くすぐったい……っ! くやしい、でも……っ」
 こんな、こんな目にあたしだけが合うなんて許せない!
 他の皆も、主にセレアナを同じ目に合せてやるーっ!
 そして彼女はキノコ党員になった。

 セレアナの方も同じく、タケノコ党の攻撃を受け体の一部が巨大化してしまった。
「な……何よこれ!?」
 そしていつの間にかタケノコ党員として、キノコ党との戦いを強いられることになった。

 そんな二人が出会ってしまった。
「セレン……もう争いは回避できないのね」
「諦めてセレアナ!」
 セレアナの巨大化した体の一部を掴むセレンフィリティ。
「もう……こんなにも大きくしちゃって、仕方ないわねえ」
 はむ。
「ひうっ!」
「ほおら、あたしのキノコで昇天なさい」
「あ、ああっ」
「うふふふふふふ……」
「はぁあああんっ……!」
 結局いつもの様に熱い熱いコミュニケーションを取ることになる二人だった。

 そして戦いの終わった二人は。
「ふう……いい戦いだったわね」
「そ、そうかしら?」
「さあ、気持ちを入れ替えてタケノコ狩りの続きでもしようかしら? ああいえそれよりも、タケノコと言ったらタケノコ料理よね!」
「待って、待ってセレン……っ!」
 すっきりした表情で腕捲りするセレンフィリティを、セレアナは慌てて追いかけて行った。

   ◇◇◇

 掘りたてのタケノコが山のように積まれたとある場所。
 そう、ここはタケノコ党本部。
「売れるタケノコは自分の物、売れないタケノコは皆の物……」
 せっせと大量のタケノコの分別に勤しんでいるのは葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)
 そこに、イングラハム・カニンガム(いんぐらはむ・かにんがむ)が声をかける。
「吹雪よ。そろそろ襲撃の時間なのだよ」
「もうそんな時間でありますか。キノコ党に、目に物を見せてやるであります!」
 そう言うと、吹雪は懐から強力タケノコ剤を取り出す。
「ほい」
 ひょいぱく。
 吹雪はそれを、迷うことなくイングラハムの口へ。
「む……?」
「ついでに、ほい」
「えっ……?」
 運の悪い事に、その場にいた雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)の口にも。
 ぐむむむむむむ……
「むむ?」
 みょみょみょみょみょ……
「ええっ、何これ!?」
「ふむ、二人ともいい感じで大きくなったでありますな。このまま、キノコ党を殲滅させるでありますよ!」
「うむ、タケノコ党一番の小者である我の実力を見るがいい!」
「ちょっと……大丈夫なの」
 体のある部分が大きくなったイングラハムと雅羅。
 そして傍観者を決め込むつもりの吹雪。
 非常に頼りない三人組が出来上がった。
「ああもう、あなた達にだけ任せてはおけないわ!」
 そこに更に、雨宮 七日(あめみや・なのか)が加わった。
「この強力タケノコ剤があれば……うふふふふ」
 ひょいぱく。
 迷わず摂取する七日。
 むにょにょにょにょ……
「うふふふふ……あはははは! 素晴らしい、素晴らしいわタケノコ!」
 七日の胸が巨大化した!
「いえもちろん、小さい方が、ちっぱいの方が魅力的だって分かってます! でも、この一瞬、今この時だけは、夢を見たいの……」
 うっとりと呟く七日だった。

「儚い夢だね……ぐうう」
 その頃、七日に置いて行かれて一人留守番でふて寝していた日比谷 皐月(ひびや・さつき)は、何の天啓を受けたか寝言でそんな突っ込みをするのだった。