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火炎の能力者

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第三章 戦闘継続
 
 「吹っ飛ばしてやるよ!」
 花火は『リトル・バン』をアスタに向かって空中に撒き散らした。無数の爆弾がアスタへと飛来する。
「邪魔をっ!」
 アスタが青い瞳を空中へと巡らせる。火炎が渦を巻き、爆弾を飲み込み爆発させていく。
「花火さん」
「よう、援護に来てやったぜ。あいつはあたしに任せな!」
 アスタは柚達が避難させている人々を見た。まだ、多くの人々が柚達の周りにはいる。人々を護っている三月と海はかなり消耗しているようだった。
 周りは火炎の余波が残り、炎が燻ぶっている。
「へへ、火災なんて爆風で簡単に消化できるぜ!ここは爆発の出番だな!」
「いや、それはちょっと……」
 柚が遠慮がちに答えると、
「まだまだ、だなっ!」
 花火から『ビッグバンスイーツ』、『イコチョコ【爆弾パック仕様】』が放り投げられた。
「そんなもの」
 アスタは更に爆弾を焼き払う。爆弾は炸裂し、無数の菓子類が周辺に撒き散らされる。
「な……」
 バラバラと落ちてくる御菓子類にアスタは呆気に取られた。が直ぐに、表情を怒気に染めた。
「僕を馬鹿にしてるのか」 
「やーい、バーカバーカ!」
 花火が煽る様に口を開く。少しは考えて喋っているのだろうか。
「へへーん、こっちまでおいで!」
 狭い路地裏へと逃げ込んでいく。
「逃がさない!」
 花火を追い、アスタがそれに追随する。

 「来たぜ!」
 パリッと電光が空を走る。花火の『ヘルスパーク』が『トラッパー』でゴミ箱などに巧妙に仕掛けられた『シリンダーボム』を引火させ、ドンッと空気が震えた。
「よっしゃああ!」
 ビルの外壁等を派手に巻き込み、爆弾が爆発した。衝撃で他のビルのガラスが割れた。
 傍から見れば、どちらがやったのか見分けがつかない。

 「確認、確認っと」
 『リトル・バン』を指で弾くが、『ヘルスパーク』が届く寸前で爆発した。
「へ?」
 爆風で煙を吹き散らす筈だった。勝手に爆発した爆弾の爆風で煙が晴れていく。
「危なかったね」
 花火が煙の奥を見ると、アスタがしっかりと立っていた。頬には霜が張り付いている。
「よくもやってくれたね……」
「ま、マジ?くっ!」
 即座に『マジカルファイアワークス』を空へと打ち上げた。
 ビルの屋上側面に仕掛けたトラップが焼き切れ、爆弾が落下してくる。
 花火の『ヘルスパーク』がそれに着火させる。
「『アブソリュート・ゼロ』」
 凍結音が鳴り、大気中の水分が瞬間的に凍りついた。氷壁がアスタへと割って入り、アスタの身を守る。
 「僕に攻撃は効かないよ」

 「ま、十分役にたったじゃねえか」
「!」
 振り返るアスタが見たのは、ルカとキロスだった。


 「援護するわ!行くわよ、香菜」
「ハイ!」
 『バーストダッシュ』、力強く踏み入れた美羽の身体が地面すれすれを加速していく。
「『百獣拳』」
 加速された拳が標的ドッジを叩く。
「ャアアア!」
 香菜の追撃がそれに続く。
「もう一度よ!」
 壁に向かい、再加速。壁を蹴り、再度加速。
「「だぁあああ!」」
 幾度と無く美羽と香菜の連撃がドッジを襲う。

 「手応えあったわ!」
 加速を終えた身体が靴底を擦り、着地する。
「それはどうかな」
「!」
 『アブソリュート・ゼロ』、硬質な氷が強固に結合し、ドッジの身を覆っていた。
「こいつ……」
「俺は守りも完璧なんだよ」
 ドッジの瞳が輝いた。
「走るよ、香菜!」
 視線に火炎が乗り、美羽達を追いかける。
「こいつなら……」
 壁を蹴り上げ、飛んだ美羽の『Pキャンセラー』が発動する。ドッジの身体を不可視の力が包み込もうとする。
「何だ?」
 が、突如として『Pキャンセラー』が弾かれた。
「き、効かないっ!」
 ドッジの『記憶術』により、『Pキャンセラー』が無効化されていた。
「逃がすかよ!」