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東西統一記念ロイヤルガード合コン

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東西統一記念ロイヤルガード合コン
東西統一記念ロイヤルガード合コン 東西統一記念ロイヤルガード合コン

リアクション

■□■3■□■ ティセラとパッフェルと周りの人々

パーティー会場にて。
樹月 刀真(きづき・とうま)は、
5万G払って東シャンバラロイヤルガードの権利を購入していた。
最近、自分の力不足を感じて落ち込んだりすることのあった刀真だが、
ティセラのことが心配でもあった。

談笑から離れ、涼んでいるティセラに、
東ロイヤルガードとして相手を申し入れ、
刀真は切り出す。
「ティセラ……以前、
アムリアナが戻ったらセイニィやパッフェルの処刑を許してもらえるよう
理子の為に動くと言っていたがアレはどうなったんだ?」
「……わたくしは、洗脳されていたとはいえ、
アムリアナ様に牙を剥いてしまいましたわ。
ですから、その責任を取るためにも、
セイニィやパッフェルのためにも、
命を懸けてシャンバラのために働く決意に変わりはありませんわ」
ティセラの思いつめた顔を、刀真は両手で叩くように挟み込む。
「な、なにをなさいますの!?」
「ティセラ、大切な人を失うのは辛い。
……その原因が自分にあったり、
もしかしたら助けられたのではないか、そう思える状況だと尚更だ。
例えその人が再び自分の前に現れたとしても、
その事実は心に澱のように残り続ける」
ティセラは刀真を見つめる。
「君が己を犠牲にしても助けたいと思っている人達も
同じくらい君を思っているよ……その人達の為にも生きて頑張れ」
ティセラが自分を犠牲にする決意をしているかもしれないことを、
刀真は案じていたのだった。
両頬を挟んだ手をそのままに、刀真はティセラのおでこに自分のをこつん、と当てる。
「君がもし辛い目にあっているなら俺を頼れ、必ず助けるから」
「……」
「それに、俺だけじゃない。君が守ろうとしている人達だって……」
セイニィとパッフェルが、何事かと走り寄ってきたのを見て、
刀真は顔を放し、ティセラを正面から見据えた。
「……ええ、確かに、わたくしのせいで、
わたくしを大切に思ってくださる方々が苦しむのは嫌ですもの」
ティセラはうなずき、笑みを浮かべる。
「ありが……」
(改めて状況を確認するとアレだ、スゲー恥ずかしいなこれ、何だかんだで俺も参ってたのかね……)
しかし、礼を言おうとしたティセラに、刀真は照れ隠しを行った。
「脳の栄養がここにいってるからそんな下らない事考えるんだよ剣のお局様!」
「きゃあああああああああああああ!?」
いきなりティセラの胸を鷲づかもうとした瞬間、刀真はカウンターパンチを喰らった。
「ぐはっ!?」
「ティセラになんてことするのよ! このド変態!」
「殺す……」
セイニィとパッフェルも加わり、刀真はフルボッコにされた。
「ぎゃああああああああ」
(こ、これで、いろいろうやむやに……)
実際、刀真の意図したとおり、台無しになった。

「ティセラねーさんに何してやがる!」
「ぐぼあっ!」
「ティセラお姉さまに男の方が!?
汚らわしい、許せませんわ!」
「ごはあっ!?」
シリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)と、
リーブラ・オルタナティヴ(りーぶら・おるたなてぃぶ)もボコるのに加わり、刀真は気絶した。
「途中までいいこと言ってたようなんだがな。
どいつもこいつも少しは自重しろ!」
シリウスは、床に倒れた刀真に腕組みして言う。
その容姿は、ミルザム・ツァンダ(みるざむ・つぁんだ)そっくりであり、
パートナーのリーブラはティセラにそっくりである。
「わたくしも今日はロイヤルガードですわ……
だから、お姉さまを守ります!
いえ、汚らわしい方とお付き合いさせるぐらいなら!
わたくしと!! お付き合いをですわっ!!」
星剣ビックディッパーに酷似した大剣の光条兵器、
オルタナティヴ7(ズィーベント)を振り回しながら、リーブラがティセラに迫る。
「って、リーブラ、お前もだよ!」
シリウスがグーでリーブラにツッコミを入れていると、
ナラカの仮面を身につけた伊吹 藤乃(いぶき・ふじの)が現れた。
鏖殺寺院の一員であることを隠すためであった。
(お美しい……)
藤乃は、初めて間近にするティセラに見とれた。
「セシリアと申します」
洗礼名を名乗り、藤乃は青紫の薔薇をティセラに渡す。
「ありがとうございます。
……その仮面はどうなさいましたの?」
「顔に見るにたえない大火傷があるのです。
どうぞ、お許しください」
藤乃は、そう言い、ティセラに続ける
「実は、あなたを一目見て、恋に落ちてしまったのです。
突然このようなことを申し上げて、驚かれるかもしれませんが。
どうか、私と二人でお話する機会をいただけませんか?」
「お、お姉様!? きゃー!?」
「だから、光条兵器はやめろーっ!」
後ろでは、リーブラとシリウスが漫才を繰り広げる。

★☆★

一方、パッフェルの前には。

葦原明倫館の七刀 切(しちとう・きり)が、
東ロイヤルガード権を購入してやってきていた。
切は、つぁんだからロイヤルガード権を買えば、
パッフェルと合コンできると聞いて、
「買った! 10万Gでも20万Gでも出してやらぁ!」
と、張り切って参加していた。

「久しぶりぃ、今日はよろしくなぁ。
最初に言っちまうけどワイ、パッフェルが好きなんだよ」
開口一番、切はパッフェルに告白する。
「え……」
パッフェルはフェイントに固まり、
周囲からはどよめきが上がる。
「ちょっと、いきなり何言ってるのよ!」
セイニィが割って入り、切を押しのけようとするが、
切は、顔面を押されて変顔になりつつも耐える。
「や、やめろって!
ワイはパッフェルと話したいんだよ」
押し合いへし合いののち、
パッフェルの手を引いてセイニィから離れると、
真剣な表情で、切は言う。
「なぁパッフェル、聞いてほしいことがあるんだ」
「なに?」
「……最初は一目惚れだった。
それでパッフェルの事が気になって、目で追いかけるようになって、
今回ロイヤルガードの合コンでパッフェルも出るって聞いて、
パッフェルが誰かと一緒になっちまうんじゃないかと思って気が気じゃなくなって……。
あーごめん、こんな性格だからやっぱり気の利いたことは言えないっぽい。
だから、はっきり言う」
切は、パッフェルを正面から見つめた。
そして、パッフェルの右手を両手で包み込む。
「パッフェル、好きだ。
ワイと付き合ってほしい。これからずっと一緒にいてほしい」
「……!」
パッフェルの、眼帯で隠されていない方の瞳が見開かれる。
切は、自分の心臓が口から飛び出しそうな思いだったが、
決して目を逸らすことはなかった。

★☆★

そのころ、セシリアこと藤乃は、
ティセラの傍にパッフェルだけでなくセイニィもいなくなったのを見計らい、
仮面を外して、切の告白に合わせて叫ぶ。
「ティセラ・リーブラ! 私は貴女を奪い取る!!」
「あなたは……!」
ティセラの表情が驚きに染まるのを確認し、
藤乃は小さく笑む。
そしてそのまま、ティセラに口づけた。
「んっ……!」
そのまま、ディープキスされそうになるが、
ティセラはなんとか藤乃を引きはがす。
「ぎゃああああああああああ、お姉さまーっ!?」
リーブラが狂乱して叫ぶ。
「許せませんわ許せませんわ許せませんわーっ!」
オルタナティヴ7を振り回して、リーブラは藤乃に襲い掛かる。
「ふふふ、ティセラさんの身も心も私のものですよ!」
藤乃はティセラを抱き寄せて拉致しようとするが。

「お、そこの女!
いいおっぱいしてやがるじゃねえかっ!
揉ませろ! がはは!」
ピンクのモヒカンを振りかざして、
まったく空気を読まずに
ゲブー・オブイン(げぶー・おぶいん)が現れた。

「ティセラっていうのか?
俺様はてめぇのイイ女っぷりにメロメロだぜ!
ということで俺様とカップルになりやがれぇ!」
「は?」
「今の様子を見てなかったんですか?」
あまりの発言にポカーンとするティセラと藤乃達だが、
ゲブーは続ける。
「俺様は何人でもOKだぜ!
俺様のフィンガーテクニックで、
おっぱいがたゆんたゆんしてはみんなキャーキャーよろこび叫ぶぜ!
俺様はてめぇの女っぷりに惚れたんだ。
過去なんてどうでもいいぜ!
全員まとめて、持ち帰って、
ちっぱいも俺様のフィンガーテクニックでビックにボン! だぜ、任せておけ!」
「誰がちっぱいよ!」
視線を感じたセイニィがゲブーに蹴りを入れる。
「げふっ!?
ぐは、すげぇキックだな。
俺様にパンツみせたいのはわかるがそんなに照れて攻撃するなよ、がはは!」
「セイニィ、カットインでおなじみのクマさんパンツが!」
シリウスが叫ぶ。
「こ、こいつ、ぶっ殺す!」
「ぎょわ、あべし!?」
セイニィが激昂してさらに蹴りを加える。
「黙れ、この不逞の輩がっ!」
「お姉さまにこれ以上、誰も近づけさせませんわ!」
シリウスとリーブラも殴る蹴る。
「さっきから、黙っていれば……。
許せませんわ! 成敗いたします!」
ティセラも、殴る蹴る。
「は、はげしいのがスキなんだな、おまえらのラブを確かに受け取ったぜ……」
ゲブーは、フルボッコにされて、床に転がった。

「変な邪魔が入りましたが、
ティセラさん、その身を預からせていただきます!」
鏖殺寺院メンバーであることを現した藤乃は、
いつのまにか身体を離していたティセラを再び抱きしめようとする。
「わたくしを見くびらないでいただきたいですわ!」
「ティセラにはこれ以上、指一本ふれさせないわよ!」
しかし、ティセラとセイニィに応戦され、
さらには、

「大丈夫!?」
大騒ぎに、告白どころではなくなり、パッフェルが駆けつける。

「しかたないですね……。
次は、口づけだけではすませませんよ。
あはははははははは!」
藤乃は、夜の闇の中に逃げ去った。

「お姉さま、消毒です、わたくしとキスを……!」
「いいかげんにしやがれ!」
ティセラに迫ったリーブラは、シリウスのツッコミでぶっ飛ばされた。

「あれ、ワイ、結局、返事もらえてないんだけど……」
切は、呆然と立ちすくむのであった。