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【選択の絆】消え去りし火の表裏

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【選択の絆】消え去りし火の表裏
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リアクション

そんな中、高い場所から白衣をひるがえして笑う男がいた。

「フハハハ!
我が名は世界征服を企む悪の秘密結社オリュンポスの大幹部、
天才科学者ドクター・ハデス!
ククク、ここ旧シャンバラ宮殿に眠るお宝は、我らオリュンポスがいただく!」
ドクター・ハデス(どくたー・はです)は、そう宣言すると、
蝉人間を勝手に指揮し始める。
「フハハハ!
お宝は我らオリュンポスのもの!
我が部下、怪人セミ男たちよ!
この宮殿への侵入者たちを排除するのだっ!」

ティア・ジェルベーラ(てぃあ・じぇるべーら)
キラ・ガロファニーノ(きら・がろふぁにーの)は、
なんとなく、楽しそうだから、という理由で、探索に来ていたのだが、
ハデスの発言を聞いて驚く。
「そんな、悪の組織の陰謀だったなんて!」
「お宝がほしかったのに、怪人に邪魔されるなんてー!」

「ククククク、恐怖におののくがいい!
ハーハッハッハッハッハッハッハ!」
乗ってくれる人が現れたため、ハデスは調子づく。

ティアが面打ちで、怪人セミ男ならぬ蝉人間を昏倒させ、
キラが、アシッドミストで、蝉人間をぶっ飛ばす。
「むむっ、なかなかやるな!」
ハデスは、優れた指揮官と士気高揚で、
蝉人間たちに指示を出す。
「我が部下の戦闘員たちよ!
怪人セミ男と協力し、戦闘をおこなうのだ!
ポムクル戦闘員さんは、この宮殿の一部を要塞とし、迎撃体制を整えよ!」
「ナノダー!」
ポムクル戦闘員さんは、仲間の戦闘員たちが戦ってる隙に、
宮殿の一部を秘密結社のアジト風のデザインに要塞化していた。

「なんだか蝉人間のほかにもたくさん怪人がいる!?」
「おまけに、要塞ができあがってるよ!」
ティアとキラが乗ってくれるため、
ハデスはますますノリノリで命じる。
「ククク、この『オリュンポスの陣』、
果たして侵入者どもに破ることができるかな!?」

そのころ、
及川 翠(おいかわ・みどり)は、
パートナーのサリア・アンドレッティ(さりあ・あんどれってぃ)とともに、
ノリノリで宝探しを行っていた。
なお、翠の空飛ぶ魔法で、皆、飛行している。
「お宝さんがあるって事は、そこには探検が待ってるの!
この王都をくまなくめぐって、
銃型HC弐式・Nの、オートマッピングを埋めようなの!」
「うん、翠ちゃん、
この街、すっごく綺麗だし、お宝さんもいっぱいありそうだね!」
サリアも、目を輝かせている。

旧王都内をあっちこっち行ったり来たりしている2人は、
ミリア・アンドレッティ(みりあ・あんどれってぃ)にたしなめられていた。
「そんなにあちこち行くと、迷子になっちゃうわよ」
「マッピングできるから平気なの!」
「平気だよっ!」
「まったく、しょうがないんだから。
危険なこともあるかもしれないでしょ」
ミリアが、保護者役として、そんな注意をしていると。

「あれは、誰でしょう?」
ノルン・タカマガハラ(のるん・たかまがはら)が、
フラフラと蝉人間に近づいていく。
シャンバラ人の血を引いているノルンは、行かなければならないような気がして、
この宝探しに同行していたのだが。
「って、あきらかに危ないわよ!」
ミリアが、ノルンの腕を引っ張る。

「あっ!」
ノルンは、目の前に繰り広げられる、蝉人間と契約者の戦い、
蝉人間を指揮(?)する白衣の男に気が付いた。
ノルンの異母兄弟であるハデスであった。

「御雷、こんなところで他人様に迷惑かけていたのですかー!」
「うるさい、私は高天原 御雷ではない! ドクター・ハデスだっ!」
ノルンに怒られるハデスだが、開き直って、蝉人間に命じる。
「怪人セミ男よ!
あいつらもやっつけるのだ!」
「なんだか知らないが、指揮官としては有能そうな人物!
助力に感謝するぞ!」
蝉人間たちは義理堅い性格なのか、
協力してくれるハデスに礼を言いつつ、向かってくる。

そこに、
騎沙良 詩穂(きさら・しほ)が、
グラビティコントロールで、重力を制御しながら、走ってくる。
石原肥満が残した宝について、詩穂は考える。
(石原元校長のことだから、
ご自身の亡き後に備えて、
パラ実に影響の大きいようなものを準備していたんじゃないかなぁ。
詩穂が1946年に行って見てきたもの、
過去の石原校長が地球とパラミタを繋げたんだよ、
下手したら地球とパラミタを揺るがすようなものかもしれないよねっ)

そうしていると、目前では、
ハデスと、蝉人間、アールキングの根、他の契約者たちが、
戦闘になっている。

「あれは、あきらかに悪者が女の子を襲ってる構図!
詩穂は、そんなのは許さないよ!
若い女の子の敵は詩穂の敵!」
「さすが、アンチエイジングの実践者ですわね」
セルフィーナ・クロスフィールド(せるふぃーな・くろすふぃーるど)が、
そんなことをつぶやく。
「ところで、ずいぶんセミの鳴き声がすると思っとったが……。
実際に、近くに来ると、放尿くさいのう」
清風 青白磁(せいふう・せいびゃくじ)の言葉に、
周りの面々は、周囲の地面の染みを発見する。

「これって、まさか、蝉人間さんの……!?」
「ええっ、じゃあ、つまり……!?」
翠とサリアが、顔を見合わせて、後ずさる。
他の契約者たちも、染みから離れて言った。

「よし、じゃあ、蝉人間どもは、
気絶射撃で気絶させてやる!
そうすれば、これ以上、放尿してくることもないじゃろう!」
青白磁が超絶スナイパー気取りで、
気絶射撃を行い、蝉人間を倒す。
(こいつら、あと1週間の命じゃ。
ここで殺すのも気の毒じゃの)
そのことに気づいたからこそ、青白磁は、これ以上、蝉人間が傷つかないよう、
気絶させていく。

すると、吉永 竜司(よしなが・りゅうじ)が、
舎弟を引き連れて現れた。

「おい、蝉人間ども、
一週間しか生きられねえのに、そんな事してる場合か?
ただの蝉から蝉人間になったのに、てめえらのやりたかった事はそんな事なのか?
このイケメンがてめえらに人間の生き方を教えてやるぜ!」
叫ぶなり、竜司は、その身を蝕む妄執で、
蝉人間たちに、幻覚を見せる。
それは、一週間後、異性とイチャイチャできずに孤独に死んでいく姿という、
恐ろしいものであった。

「ぐわあああああああああああああ」

「どうだ、怖いだろう!
でも、心配はいらねえ!
てめえらに、このイケメンが、恋の素晴らしさを教えてやるぜ!」
竜司は、幸せの歌で、
一週間だけでもいい、
青春を謳歌して蝉人生を全うする事の素晴らしさを歌いあげる。

「ぼええええええええええええええ!
恋はー超ドキドキー!
雄と雌の蝉が出会って恋をしてー、
恋は超ラブラブでハッピーだぜー!」

「そ、そうか……」
蝉人間たちは、竜司の歌声があまりにも音痴だったこともあり、
動きを止めていたが、
やがて、はたと我に返った様子を見せる。

「我ら、1週間の命とて、せっかく羽化したことを無駄にしてはいけなかったのだ。
よし、恋をして、子孫を作り、次の世代を残そう!
また夏がめぐり、再び、その子らが羽化するのを願おう!」
蝉人間たちは改心させられて、一生懸命、鳴いていく日々を選ぶことにしたのだった。

「ありがとう、ダミ声の巨漢よ!」
「おれは超絶美声のイケメンだ!」
蝉人間に礼を言われ、竜司は訂正した。

「ああ、聞いたことがありますわ。
恋の歌によって、争いが止められる。
つまり、竜司さんは伝説のディーヴァだったのですわ」
セルフィーナが、適当なことを言っていた。

一方、部下(?)を失ったハデスは。
「え、おい、これって……」
「御雷、観念しなさい!
人様に迷惑をかけるのは許しませんわ!」
「蝉人間さんもいなくなったし、一気にやっつけちゃうの!」
ノルンや翠たちに囲まれ、
ボコボコにされた。

「くっ、今回は撤退だ!」
ハデスはボロボロになって逃げて行ったのであった。