リアクション
● キュウウゥゥン……――ドウウウゥゥゥッ――――!! スティンガー・ホーク(すてぃんがー・ほーく)と董 蓮華(ただす・れんげ)が操るイコン、紅龍の放ったライフルが、敵の一体を撃ち落とした。 次いで、スティンガーに従う二機の部下イコン達が、左右に広がってその他のゴーストイコンを叩く。ライフルによる光線。爆破。落下してゆく残骸と――。次々に敵機を落としてゆく。 紅龍とその部下達は、フォーメーションを守ってイーダフェルトの管制室の守りに従じていた。 「さてと……次は向こうの連中だな、蓮華」 スティンガーが紅龍のモニタを動かし、近づいてくる別のゴーストイコン部隊を捉えた。 「ええ、そうね。……そろそろ代わるかしら?」 サブパイロット席に座る蓮華はスティンガーに尋ねた。 紅龍は複座式のイコンだ。状況に合わせてメインとサブのコントロールシステムを任意に変えることが出来る。つまり、蓮華はスティンガーにメインコントロールの座を譲る気かどうかと尋ねているのであった。 「ご冗談を」 スティンガーは笑った。 「今はまだ、その時じゃないな。しばらくは俺に任せておけ。武器のエネルギー装填は任せるぞ」 「ええ、分かったわ」 蓮華はさほど反意を見せることもなく、うなずいた。 もとより、遠距離や中距離の敵はスティンガーに任せてある。心配して声をかけたが、スティンガーがそのつもりじゃなければ無理強いすることはないのだった。 「よし、行くぞ!」 気合いの声とともに、スティンガーは部下イコン達を伴って突撃した。 ソニックブラスターの音波攻撃を放って敵の耐久力を奪うと、すかさずレーザーライフルの嵐を浴びせかける。 キュウゥン……シュドオォォンッ! シュドオォォンンッ!! 無数の光線が宙を交い、ゴーストイコンは次々と撃ち落とされていった。 そして、残り少ない敵機に近づいたところで、 「蓮華!」 「分かったわ!」 スティンガーは蓮華にメインコントロールの座を譲った。 すかさずコントロールを担った蓮華は、そのまま加速を落とすことなく敵ゴーストイコンに接近した。その手に握るは機晶ブレードである。イコンの接近用基本武器の一つで、最も使い慣れたものだった。 「ハアアアァァァァァ――――ッ!!」 裂帛の声の一閃。 蓮華の放った一撃は一瞬にして敵を叩き斬る。 爆発するゴーストイコンを背に、紅龍は距離を取って旋回した。 「ふう……。まずまずの出来……――って、きゃっ!」 「なのだ?」 息をついた蓮華のコクピット横から、もぞもぞと出てくる小さな影があった。 それはポムクルさんだ。一体どこから潜りこんだのか、いつの間にか一匹のポムクルさんが紛れこんでいて、蓮華の膝の上に乗ってきた。 ぽてん、と腰を下ろすポムクルさん。 それを見下ろしながら、蓮華は仕方なさそうにほほ笑んだ。 「まったく、しょうがないわね……」 今さらポムクルさんを降ろすわけにもいくまい。 蓮華はそう考えながら、スティンガーにメインコントロールを譲る。再び遠中距離攻撃に移った紅龍のコクピットの中で、蓮華は小さなポムクルさんとともに攻撃目標を定めた。 (砕け散るは震天駭地っ……! 狙い決める……!) 神殿へと近づく敵へ向けて、紅龍の軌道が動き出した。 |
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