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地球に帰らせていただきますっ! ~3~

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地球に帰らせていただきますっ! ~3~
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 ■ 懐かしの我が家 ■
 
 
 
 地球の実家に帰ってくるのは久しぶりだ。
 日頃パラミタで過ごし向こうの暮らしに慣れてしまっているから、地球に戻ったら違和感があるのではないか、などと考えていた杵島 一哉(きしま・かずや)だったが、いざ実家の前に立つと実にしっくり感じられる。
 ああやっぱりここは自分の家なんだと、今更ながらに実感する。
「ここが一哉の実家ですか……」
 アリヤ・ユースト(ありや・ゆーすと)がここに来るのは初めてだ。興味深げ二階建ての家の佇まいを眺めている。
 久しぶりに帰ってきたのだからチャイムを鳴らそうかと持っていきかけた手を、一哉はドアに移した。やっぱり自分の家だから普通に入ろう。
「ただいまー」
 いつもの調子で帰りを告げると、丁度階段を下りてきた父の義人が昔から変わらぬ穏やかさで、
「おかえり」
 と返してくれた。
 荷物を一哉の部屋に置いて、リビングに入れば母の澄美が、こちらもいつもと変わらぬ口癖で、あらあら、と迎えてくれる。
「お帰りなさい。無事到着して良かったわ」
「ただいま」
「アリヤと申します。どうぞよろしくお願いします」
 一哉に続いて、アリヤは丁寧に頭を下げて挨拶した。
「こちらこそよろしく。さ、座って座って」
「いつも一哉がお世話になってます。自分の家だと思ってくつろいでいってちょうだいね」
 勧められるままにアリヤが座ると、澄美がよく冷えた麦茶を運んできて皆の前に置いた。
「麦茶で大丈夫かしら? パラミタではどんなものを飲んでいるのかよく分からなくて」
「地球からのものも多く流れ込んでるから、普段飲んでるのはこっちとあまり変わらないよ」
 パラミタでの話や一哉が留守にしていた間の地球での話、一哉の子供の頃の話など、一哉たちはリビングで話に花を咲かせた。
 途中からは帰ってきた妹の由紀菜まで加わり、より賑やかさが増す。
 友だちへの話のネタにするとかで、パラミタの話をあれこれと聞いた由紀菜は、で、とアリヤに尋ねる。
「アリヤさんはお兄ちゃんとどういう関係なの?」
「一哉は私のパートナーで大切な人です」
 それに対してアリヤが素直に答えると、由紀菜は言葉に詰まって顔を赤くし、両親は優しげに微笑んだ。どうしたのだろうとアリヤは一哉を問うように見る。
「言葉が率直すぎたでしょうか?」
「い、いや、まあ……な」
 一哉は照れて頬をかいた。
 
 
 一哉にとっては久しぶりの帰宅。なのに全くそんな感じはせず、本当にちょっと出掛けて帰ってきたような気がする。
 それだけ、家は一哉にとって落ち着いていられる場所なのだろう。
 そしてまたアリヤも、一哉の家の温かさを嬉しく思っていた。
 いつでも穏やかに迎え入れてくれる場所。
 願わくばまた一哉の家に来たいとアリヤは思うのだった。