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星影さやかな夜に 第三回

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星影さやかな夜に 第三回

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 気づいた瞬間には既に遅く――廃墟前の戦局は、勢力伯仲と化していた。
 アウィスは声を失う。
 だが、アウィスの悲劇はこれで終わらない。
 部屋の大扉が勢い良く開かれ、加勢に来たのは叶 白竜(よう・ぱいろん)

「な、なんだてめ……!」

 白竜の携えた銃が問答無用で火を噴くと、部下の一人は言葉を言い切らず崩れ落ちる。

「……」

 白竜は無表情のまま女王騎士の銃と指揮官の懐銃を握り直して、アウィスの周囲にいる部下達に銃口を向けて容赦なく発砲する。

「撃ち殺せ!」

 アウィスが叫ぶと、部下達も一斉に引き金を引き絞る。
 銃弾が雨あられと白竜に向かってくる。
 鉛玉が頬を脇腹をかすめて血がにじみ、肩を打ち抜かれて体勢が崩れても白竜は銃撃を止めない。
 個々の思考がおろそかになった斉射と一撃必殺狙いで鉛玉を恐れない白竜の射撃とでは圧倒的に白竜が優勢だった。
 白竜は体中をかすり傷で血まみれにしながら部下は一発ごとにその人生に幕を下ろしていく。
 鬼気迫る白竜の銃撃に部下達は血の気を引かせていき、引き金にかかった指が震えて、銃撃が徐々に止んでいく。

「何をしてやがる! さっさと撃ち殺せ!」

 アウィスが叫ぶが部下達は白竜の迫力に気圧されていた。
 その隙を狙っていたように世 羅儀(せい・らぎ)が動き出す。
 羅儀は念動球で怯んでいる部下達をなぎ倒していくと、アウィスの懐に飛び込んだ。

「うおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 羅儀は叫び、レゾナント・アームズを起動させて拳を固く握りしめる。

「歯ぁ食いしばれ!」

 怒鳴るような声でアウィスは咄嗟に身を両腕で顔を隠す。が、レゾナント。アームズで素手の力が増強されている拳を止めるのにはあまりにも非力だった。
 羅儀の左フックがアウィスの両腕のブロックを吹き飛ばし、右に傾いた重心を左に移しながら右フックがアウィスの頬を殴り飛ばした。

「がっ!?」

 体重の乗った拳は、アウィスの頬にめり込み骨が砕けるような音を聞きながらアウィスは地面を転がった。
 重い一撃に歯が砕け、壁に激突し――チカチカする視界で見えたのは、獣人化した明人の姿。
 拳を握りしめ、明人は言い放つ。

「決着をつけようっ!」