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【裂空の弾丸――ホーティ盗賊団サイド――】零れ落ちる泪

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【裂空の弾丸――ホーティ盗賊団サイド――】零れ落ちる泪

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 ブルニス周辺の上空。
 そこで、ティブルシーから逃げおおせたホーティ盗賊団と、ファナティックが対峙していた。
「あのネフュラ同様、胡散臭いやつだねぇ」
 先に口を開いたホーティに、ファナティックが答える。
「貴様らほど珍妙ではないがな。露出狂、でぐのぼう、ガキ二人、人魚。それで? 魔王でも倒しに行くのか?」
「悪いけど、そんなことには興味なくてね。それはあっちの奴等に任せるとするよ」
「……また蠅が紛れ込んだか」
 ファナティックの視線の先にはフリューネ・ロスヴァイセ(ふりゅーね・ろすう゛ぁいせ)の姿があった。
 同時に、無数の空賊たちと契約者たちもいた。
「いた。片方は、ホーティで、もう片方が例の……」
 フリューネが呟いてから数十秒後。
 ホーティ、フリューネ、ファナティックが一堂に会した。
「今度は天使のごとき羽をもつ蠅か。人魚の声を奪い万全を整えていたのに、煩わしいものだな」
「そう、教えてくれてありがとう。ホーティ、人魚の声とやらは任せたわ」
「はあ? このホーティ様があんたらと協力って―――――」
 ホーティが言い切る前に、フリューネがファナティックに斬りかかる。
「一瞬で終わらせる!」
 だがその攻撃はファナティックにかすりもせずに空を斬るだけに終わる。
「まったく……アダムも、ヘセドも、貴様らも、分らず屋ということか。ならば、何も知らぬまま死んでいけっ!」
 ファナティックが臨戦態勢に入る。
「ホーティ、行って!」
「……これじゃまるで仲間みたいじゃないか! いいかい? あくまで、あたしはあたしのしたいことをするんだ! 勘違いするんじゃないよ!」
 フリューネの叫びに反抗しながらもブルニスへ向おうとするホーティ。
「あ、姐さん! もう小型船があ!」
 バルクが慌てふためきながらホーティに言った。
「ん?」
「限界」
「落ちる」
 ルニと、間違えた連れてこられたタマーラ・グレコフ(たまーら・ぐれこふ)が諦めの境地に達しながらそう言う。
「……落ちるのなんて慣れたものさ! 総員、準備して落ちな!」
「そ、そんな! 慣れてなんか、う、うわああああ!」
「また後で」
「ん」
 タマーラのみ【姫君の傘】を使いふわふわと空を漂い、
 他の三人は重力に身を任せてブルニスへ墜落した。

ブルニス内の水量 残り70%

「蠅どもよ。来るがいい。機晶石の力の前に恐れ戦き跪いて許しを請うがいい!」
 ファナティックが両腕を広げると、どこからともなく敵の軍勢が現れる。その数は100を超えている。
「たったそれだけでいいのかしら? こっちも遠慮なくいくわよ? ヘリワード! フェイミィ」
「はいはーい!」
「腕が鳴るぜぇ!」
 リネン・エルフト(りねん・えるふと)の呼びかけに答えるヘリワード・ザ・ウェイク(へりわーど・ざうぇいく)フェイミィ・オルトリンデ(ふぇいみぃ・おるとりんで)
「たかが数人程度でこの手勢相手に……!」
 ファナティックが言葉を切った。
 その目に映る相手の人数。その数が、ゆうに100を超えていたからだ。
空賊393人、飛行機晶兵87機、総数480。『シャーウッドの森』空賊団のありったけよ。それで、何か言いかけたかしら?」
 リネンがファナティックに問いかける。
「……成る程、数では負けている。だが結果は変わらんよ。お前らが敗北すると言う結果はなぁっ!」
 その言葉と共にファナティックの部下たちが一斉に突進。
 それを見たヘリワードがフリューネに言う。
「フリューネ、あんたはリネンと! あいつらはこっちでやっておくから」
「わかった。リネン!」
「ええ! さっさと倒してブルニスを救いましょう!」
 リネンとフリューネがファナティックへ向い一直線。
 部下たちがそれを止めようとするが、空賊たちにより攻撃は届かない。
「いい? 相手は外道、遠慮は無用! 戦力を温存しつつ、前線に出るものは全力で突撃!」
 ヘリワードの掛け声と共に百人あまりの空賊たちが突撃を開始。
 壮絶な数と数の争いが始まった。