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【学校紹介】李梅琳式ブートキャンプ

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【学校紹介】李梅琳式ブートキャンプ

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 訓練生達が2日目の夜を迎えたその晩、彼らを文字通り眠れぬ夜にしているのは、ナイトの大岡 永谷(おおおか・とと)、スナイパーの戦部 小次郎(いくさべ・こじろう)、機晶姫でサイオニックのアンジェラ・クリューガー(あんじぇら・くりゅーがー)らであった。
 夜に行動制限がなくなるダークビジョンを駆使した彼らの攻撃は、昼間の疲れで油断している生徒達を容赦なく追い詰めていた。
 さらに永谷は、狙いをつけた新入生達の行動を昼間のうちにある程度観察・把握しておいたため、ヒプノシスで眠らせてしまう作戦を取っていた。
 光学迷彩で姿無く近づく永谷のランスが確実に新入生達を追い詰める。
「光だ!! 火術でも何でもいい、光がないと敵がわからない!」
「もっと光をっ!!」
 通信機からの応答が無いと悟った新入生が、傍に通信機を投げ捨ててそう叫ぶ。
 その言葉に別の新入生が慌てて光源を作ろうとするが、小次郎のアサルトカービンとアンジェラの星輝銃が直ぐ様その生徒を射ぬく。
「小次郎君、私の獲物狙わないでよ」
「アンジェラ殿は私のサポートと役割分担を決めたハズですが?」
「えー、でも永谷くんが一緒に戦ってくれてる今となったら、それ、無効じゃないの?」
 軽く言い合いながらも、前衛で戦う永谷に当てぬよう、二人は息の合った狙撃を展開していく。
 後ろから飛んでくる小次郎とアンジェラの援護射撃を受けて、永谷が数名の新入生達を倒していき、闇の中での勝負はものの数分で決する事となった。


 敗北し悔しがる新入生達を前に、永谷が後方からやってきた小次郎とアンジェラに頭を下げる。
「小次郎さん、アンジェラさん、ご協力ありがとうございました」
「なに、私達も永谷殿のような前衛で戦闘してくれる者と共同戦線を張る事ができて幸運でした。新入生達も昼間は腕輪狩りや食料調達等皆が活発に動いているので、こちらの想定に無い遭遇戦や襲撃にあう可能性がありますからね」
「昼間に仮眠取っておいてよかったよ」
「腕輪は? 事足りますか?」
「十分」
 小次郎とアンジェラの言葉に頷いた永谷が新入生達に向き直り、咳払いを一つして、
「さて…皆さん」
 永谷の言葉に顔を上げる新入生達。
「腕輪を回収させて貰う前に話をしておこう。夜間警備を形式的に行うだけでは、対処しきれないこともあるということを実体験として知って貰いたい、そのために俺達はこうして夜襲を仕掛けた訳だが、どうだった?」
 永谷の言葉に一人の新入生が顔を上げる。
「先輩達、強すぎます…俺ら、タコ殴りもいい所ですよ」
「勝てないとわかったら即座に撤退すべきだったんだぜ? 只でさえ昼間に疲労した体だ。敗北は至極当然のことだ」
「でも、昼間に休む時間なんてないし…」
「それがチームワークだろう? たった一人で軍と戦える者などいないのです」
 小次郎がアンジェラの頭にポンと手を置いて言う。
 うな垂れる新入生達に、腰に手を置いた永谷が微笑む。
「そう辛気くさい顔をするな。シャンバラの軍人なんだぜ? 今後、みんなが軍に入れば、俺が夜は見張りをして全力で守ってやるぜ?」
 永谷の言葉に互いに顔を見合わせ、頷く新入生達であった。


 永谷や小次郎達に強襲されている生徒がいる、という事は、その近辺に野営を構えていたレオンらの知る事ともなった。
「でも向こうの腕輪を狙ってくれたおかげでオレ達は暫くは安心だな。規定数以上集めても意味ないしな」
 オアシスの水場近くで水を汲んでいるレオンがそう呟き、隣で水を汲んでいた黒龍もレオンの言葉に静かに頷く。
「それにこっちも今や6人の大所帯になんだ。そう簡単に襲撃できないって事は在校生達もわかってるハズだ。……でもコレ、そのまま飲めそうなのになぁ」
 レオンと黒龍は途中で出会ったブリーストの天津 亜衣(あまつ・あい)率いる、セイバーの天津 幻舟(あまつ・げんしゅう)、ウィザードの綾小路 麗夢(あやのこうじ・れむ)、ブリーストの天津 麻衣(あまつ・まい)、サイオニックの神矢 美悠(かみや・みゆう)らの5名の新入生達とと合同戦線を引いていた。
「どんなに清らかに見えても飲み水は必ず濾過し、状況が許せば煮沸してから飲用するのよ! いい? 生水は絶対に飲まないよーに!」
 そう言う麻衣の指示で、レオンは黒龍と共に野営地近くの水場へと水の確保に来ていたのだ。
「レオン? 戻るぞ?」
「なぁ……凄くいい匂いがしないか? 肉の焼けるさ……」
 鼻をひくつかさせるレオンの腹がグゥと鳴り、黒龍が呆れた顔をする。
「おまえ……本当によく食べるな? ……って、レオン!?」
 フラフラと水を汲んだ桶を持ったまま、レオンが闇の中へと消えていった。
「罠じゃないか? 絶対……」


 肉の焼ける良い匂いのする方向へ一直線にレオンが歩いていると、彼の足首にポンと当たる感触があった。
「何だ? 紐?」
 レオンが見ると、少し太めの紐が足首の高さにピンと張られている。
「(罠……にしちゃあお粗末だよなぁ)」
 そう思いながら、ヨイショと跨ぐレオン。
 レオンの足が着地した瞬間、
「おわぁぁぁっ!?」
 見事に掘られていた落とし穴に落ちていくレオンであった。