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魔女のお宅のハロウィン

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魔女のお宅のハロウィン
魔女のお宅のハロウィン 魔女のお宅のハロウィン 魔女のお宅のハロウィン

リアクション

「トリックオアトリート!」
「ぶっころしてやるざんす、あーでるはいとー!」
そこに、小学生くらいのチビ魔女に仮装した小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)
3歳くらいの姿の、
ザンスカールの森の精 ざんすか(ざんすかーるのもりのせい・ざんすか)も、部屋に飛び込んでくる。

美羽と同じくらいのチビ吸血鬼のコハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)が、
2人の後を追って現れる。

「子どもがぶっころすなんて言っちゃダメですよ……ん、ざんす?」
「ようじょになって
さいきょうになったミーに、こわいものはないざんす!
きょうこそアーデルハイトをぶっころすから、じゃまするなざんす!」
ザカコに邪魔され、うでを振り回しながら、ざんすかは、ばたばたと暴れる。

「じゃまするとユーもぶっころすざんす!」
「この男の子、もしかして、ざんすかさんなんじゃ?」
「おとこ? ミーはおんなざんす!
かんぺきなようじょざんす!」
「え!?
ざんすかさんの事……ずっと男の子だと思ってました……!」

「まあ、昔はラリアットじじいだったからのう」

ザカコに勘違いされて怒るざんすかだが、
アーデルハイトは冷静に指摘する。
ざんすかは、古王国時代は、
「ザンスカールのラリアットじじい」と呼ばれる、筋骨隆々の老人の姿だったが、
いろいろあって、10歳の少女の姿になったのである。

「やかましいざんす!
ザカコ、なんねん、まちがえていやがったざんすか!?
そんなにいうならふくをぬいでしょうこをみせてやるざんす!」
「ちょ、ダメですよ、女の子がそんなことしちゃ!」
服を脱ごうとするざんすかに、ザカコが慌てる。

「うるさいざんす!
ユーもムカつくざんす!」
「何ゴチャゴチャ話してるの?
トリックオアトリートって言ったでしょ!
早くお菓子をくれないと悪戯しちゃうぞ!
くらえーっ! 乙女の魔法だよ!」

「ちょ、待て、今、お菓子を、ガフッ!?」
「うわああっ!」

美羽の乙女の魔法こと、レッグラリアットと、ざんすかのラリアットが、
アーデルハイトとザカコに同時に炸裂する。
2人は同時にぶっ飛ばされた。

「す、すごい! スカートがめくれたのにパンツ見えないよ!」
「普通ならしんじゃうかもしれないのに、さすが魔女……!」

のぞみと真言は、変な関心なしかたをしていた。

「ダブルラリアット、さくれつ! いまのうちにお菓子ゲットだよ!」
「やったざんす、美羽!
いいきみざんす、あーでるはいとー!」

お菓子を手に入れてニコニコしつつ、美羽とざんすかは、
走って行ってしまった。

「アーデルハイトさま、大丈夫?」
「魔女のおにーさんも」

のぞみと真言がアーデルハイトとザカコを助け起こす。

「ひ、ひどい目にあったわい。
おまえたちはいい子じゃのう」
「ありがとうございます。
そ、それにしても、びっくりしました……」
アーデルハイトとザカコは
のぞみと真言に助け起こされてお礼を言うのだった。



「やったね、ざんすか!
お菓子たくさんもらえたね!」
「やったざんす、美羽!
ミーと美羽のゆうじょうこうげきざんす!」

「たくさんおかしもらったから、コハクにもあげるね!」
「うん。でも、だいじょうぶだったのかなあ」

部屋から駆け出してきた美羽とコハク、ざんすかだが、
コハクは振り返って、アーデルハイトのことを気にしている。

「へいきへいき! アーデルハイトは魔女だから不死身だもん」
「そうなの? じゃあ、お菓子ありがとう!」

美羽は明るく笑っていい、それを見て安心したコハクは、
たくさんのお菓子を受け取った。

と、そこに。

「どっかに大人になる薬ないかな。
アーデルハイトの部屋ならあるかもしれないな」

ツァンダの町の精 つぁんだ(つぁんだのまちのせい・つぁんだ)がやってくる。

「あ、つぁんだ。お菓子たくさんもらったからあげるね」

小さくなっても優しいコハクは、つぁんだにお菓子を差し出す。

「え、でも、これ君のお菓子なんじゃ」
「ううん、いいんだ。たくさんもらったし」
「コハク……なんていいやつなんだ!」

つぁんだは、コハクの言葉に感激する。

「君にもお菓子をあげるよ!
コイン型チョコだよ!」
「わあ、ありがとう。なんだかつぁんだらしいお菓子だね!」
コハクは、つぁんだにもお菓子をもらう。

「コハク、いこ!
のど乾いたから向こうでジュースもらってこようよ」
「あ、うん。
またね、つぁんだ」
美羽に手を引かれ、コハクは一緒に走って行った。

「今日はなんていい日なんだ。
ふだんは地祇っていうだけで警戒されて
優しくされたりしないのに」

日ごろの行い的には、
それだけじゃない気もするが、
つぁんだは、コハクを見送りながら、感激の余韻にひたっていた。

しかし、そこに、3歳くらいになったジャタの森の精、じゃたが現れる。

「おかしがたくさんあるじゃた……!」
「へ? ちょ、もしや、じゃたはお菓子しか目に入ってない!?
うわあああああああああああああああああああああ!?」

「とうみんするまえに、えいようをつけるじゃたがじがじがじ」

「なんでいつも、僕ばっかりこんな目にあうんだー!」

お菓子ごとじゃたに噛まれるつぁんだであった。