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潜入、ドージェの洞窟!

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潜入、ドージェの洞窟!

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 広大な浮遊大陸パラミタ。そこにあるシャンバラ大荒野を回る遊牧民たちがいた。彼らのテント群に一つの集団が近づいていた。
 学者、芦原涼子とその護衛メンバーである。妙に若い人間が多いが、そこらはこの大陸の特殊性によるものなので割愛する。みんなして奇妙トンチキにトゲトゲした服をなぜか着込み、なぜだか世紀末と指を指したくなるような出で立ちであった。
 雨が降ったばかりなのか、大地はしっとりと濡れ空も薄暗い曇り空である。が、特に気にもしていられないと彼らは歩を緩めることなく進む。
「ねぇ、本当にそんな作戦・・・・・・? で大丈夫なの?」
 彼女はものすごく不安そうだった。メンバーの中心にいるというのに、その不安そうな顔といったらこれから面接室へと赴く就職活動中の学生のようである。
「OKOK! ナーンニモ問題ないヨ!」
 しかし、その隣の人間は非常にポジティブであった。波羅蜜多実業高校の生徒レベッカ・ウォレス(れべっか・うぉれす)は、我に秘策ありと終始笑顔であった。
「うぅ、不安だわ……」
 清水湧き出るがごとくあふれる彼女の自信に逆に不安になってくる涼子。目じりに光るものがあふれてきた時、話題を変えようとしたのか蒼空学園の武来 弥(たけらい・わたる)が口を開く。
「なぁ、涼ちゃん」
「涼ちゃん!?」
 いきなりつけられたフレンドリーな呼び名に困惑する涼子を無視して会話を続ける弥。
「これってさ、パラ実の奴らに採りに行ってもらって後で買い取ったほうがよかったんじゃねぇか?」
「あの、弥君? いまさらそういうことを言うのは・・・・・・」
 と、いまさらなツッコミをかますのはそのパートナーでドラゴニュートのエスペディア 龍姫(えすぺでぃあ・りゅうき)
「あぁ、それ俺も思ったわ〜。別に自分で無理することもあんめ〜よ?」
 ぬぼ〜っと更につなげるのは、今回このトゲトゲした服を大量に借りてきた波羅蜜多実業高等学校の高崎悠司(たかさき・ゆうじ)。まぁ、パラ実の生徒など阿呆のような数がいるし、知り合いと、知り合いの伝手をと借りる交渉をすれば、この人数分ぐらい割とあっさりと集まったりはするが。
「それもそうなんですがね。偽者をつかまされる可能性もありますし、何よりどうしてそこにだけ万能薬たる可能性あるソレがあるのか。私は知りたいのですよ、非常に……」
 涼子の目が、スッと細くなる。それは、探求者の目だった。
 彼女の瞳の深さ、思いの真剣さに周りの口がついつぐまれる。
「わた!?」
 が、張り詰めた空気をすっ転ばすような声が後ろから。
「ったく、なにやってんだか。ほら、ちゃっちゃと立てよ」
「う、うん、ごめんね? お、重いよね……」
 すっこけた少女、蒼空学園の朝野 未沙(あさの・みさ)を起こす少年蒼空学園村雨 焔(むらさめ・ほむら)
「そんな、お姉ちゃんは重くなんかないよ!」
 といったりしてフォローするのは美沙のパートナー朝野 未羅(あさの・みら)で、
「こらぁ! 焔に抱きついてないで離れなさいよ!!」
 と過剰反応かましてるのは焔の相方アリシア・ノース(ありしあ・のーす)
「別に重かねぇし、お前もギャーギャー言うなよ。人起こしただけで何がそんなに不満なんだ?」
「焔の恋人は私なの! それ以外の女が近づいてちゃ駄目なの!!」
「はぁ? よく言ってる意味がわかんねぇんだが……」
「焔さんって、鈍いよね……」
「だよね〜」
「!? 俺がなんかしたのか!?」

 うんたんのんたんぎゃーわーだー。学生独特の妙なテンションを維持した一行は、荒野の中を進んでゆく遊牧民たちのキャンプの奥、ドージェの洞窟へ行くために。

 しかしそんな彼らを妨害せんとする者達がいた。単純に縄張りに入られたことを嫌うもの、己の利益を求めたものなど。その筆頭に立ったもの達は「須兵乱華亜」と名乗っていた。
「お前たち、ドージェの洞窟を荒さんとする不届きモノがくるぞ! よそ者の集団を見たらすぐさま俺たちに教えるんだぁぁぁぁぁぁ!」
 涼子の求人を見て、あえて妨害工作にでることを選んだのだろうか。波羅蜜多実業高等学校、須兵乱華亜メンバー国頭 武尊(くにがみ・たける)は開口一番遊牧民達にそう叫んだ。が、
「よそ者の集団ならいたけど、パラ実生徒と教師も一緒にいたから通したぜ?」
「んなにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
「あらまぁ。パラ実に教師なんていたかしら? ていうか」
 とは須兵乱華亜メンバーヴェルチェ・クライウォルフ(う゛ぇるちぇ・くらいうぉるふ)
「あっさり出し抜かれちまったな」
 と繋げるのは、波羅蜜多実業高等学校秋岩 典央(しゅうがん・のりお)
「るっせぇ!? 今からおっかけりゃいいだけだろうが!!」
『う〜い』
 しかし、彼らは一手遅かった。


「暴動とかは起こらなかったなぁ。いい意味で単純だったな……行動が直結してるというか、なんというか」
 と、誰ともなしに呟いたのは妨害に来たパラ実側があっさりとココを抜けた事に暴動の一つも起こしてしまうか? という懸念から居残っていたイルミンスールの如月 陽平(きさらぎ・ようへい)
「いいじゃないですか。世はおしなべて事もなし、平和が一番ですよ」
と続けながら相方シェスター・ニグラス(しぇすたー・にぐらす)
「そうそ。あの学者さんが戻ってくるまで昼寝でもしてるのが一番よ?」
 とは、悠司。並べられた干草の上に体を預け、完全に昼寝の体勢である。
「君は一緒にいかなかったのかい?」
「ぱすぱす。俺あんまり肉体労働向けじゃないのよ。今回も昼寝スポット探しに来ただけだし、依頼金の分ぐらいは働いたぜ? 服借りてきたし」
「そんなもんかね……」
 遊牧民達からもらった茶をすすりながら、のんびりとした心持になる陽平。洞窟のほうははて、とのったりとしと彼は独りごちた。