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白銀の雪祭り…エリザベート&静香

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白銀の雪祭り…エリザベート&静香

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第8章 粉雪降れや降れや・・・雪遊び

「わぁ〜・・・真っ白な雪がいっぱいあるねぇ♪」
 誰も踏み入れていない雪の中に、笹原 乃羽(ささはら・のわ)が足を踏み入れる。
 ボスンッ。
 雪の上に横たわり、ゴロゴロ転がっていく。
「おおおおおぉぉぉぉぉぉぉ・・・ぉぉ・・・ぉぉ・・・・・・・・・ぉ・・・」
 急斜面の坂を大声を上げながら転がる。
「・・・ぉ・・・ぉぉ・・・・・・ぉぉぉぉおおおおお」
 ゴロロロッと転がり平らな地面に到着した。
「よーし、もう一度やってみよう〜」
 坂を上っていくと出雲 竜牙(いずも・りょうが)が小さな雪ウサギを作っていた。
「かわぃーね」
 乃羽は屈んでウサギの雪像を作っている様子を覗く。
「欲しいのかい?」
 手の平サイズの雪像を見せると乃羽はコクコクと頷いた。
「ウサギは寂しいと死んじゃうから、大切にしてくれよっ」
「わぁい〜ありがとう♪」
 嬉しそうに乃羽は人差し指でちょんとつっつく。
「お兄ちゃんも一緒に転がろうよー」
「へ・・・?」
 まだ誰も手をつけてない雪が積もっている場所を指差し、竜牙の腕を掴んで無理やり引っ張る。
「そぉーれ♪」
 ドンッと竜牙の背を押すと、彼は大木にぶつかってしまった。
「ほぁあああっ!?」
「あははっ、おもろいおもろい♪あたしもいっくぉお。・・・ぉ・・・ぉぉ・・・・・・ぉぉぉぉおおおおお!!」
「痛たた・・・。え・・・はぅあぁあ!」
 乃羽がぶつかってきた拍子に、ドスドスドスッと葉の上に積もっていた雪が竜牙たちの上へ落下する。
 ヒュィーン・・・トスッ。
 かろうじで埋もれていない右手で乃羽は雪ウサギをキャッチした。
「うさちゃん無事だよ、よかった〜♪」
 雪から這い出すとすぐさまもらった雪ウサギを見る。
「傷ついたらウサギは泣いてしまうからね・・・」
 起き上がりながら、自分も大切にして欲しいと心の中で呟いた。



 料理を取りに行こうとスープを飲みながらトライブ・ロックスター(とらいぶ・ろっくすたー)は、次は何を食べようか考えながらテーブルの方へ歩いていた。
「次はどれにするかな〜」
「フルーツサラダがなくなりそうだな」
 蘭堂 一媛(らんどう・いちひめ)は新しい皿を手に、サラダがある方へ駆け寄る。
「あ・・・」
 お玉を手に取るとイルマ・スターリング(いるま・すたーりんぐ)も同時に手をつけようとお玉を握った。
「貴公の方がちょいと遅かったと思うんどすけど」
「いやいや・・・一媛の方が早かったようなのだよ」
 互いに睨み合い、バチバチッと火花を散らした。
「こら譲ってやれ」
「何をするっ、離せぇえ!」
 飼い主殿のトライブが一媛の襟首を掴み、ズルズルと引き離す。
「それではお言葉に甘えていただきますぇ♪」
「油断大敵なのだよ」
 サラダを食べようとお玉を手にしようとしたその瞬間、横から桐生が奪ってしまった。
「ディナーの場も戦場と同様、一瞬の油断で食べ損なってしまうのだよ」
「うぅ・・・」
「しょうがないなぁ」
 食べたそうに見つめているイルマに、仕方なく分けてあげることにした。
「麿にくれはるんどすか?」
 桐生はイルマのお皿に分けてやる。
「よかったら麿が作った饅頭とクッキー食べてみまへん?」
「―・・・クッキーもらおうかな」
 水分が全て抜けて失敗した饅頭から目を逸らし、クッキーを手にとって口に放りこんだ。
「バターがきいてて美味しいね。(ちょっと香ばしいけど)」
「ほならよかったどす♪他の生徒たちにも上げてきまひょ」
 クッキーの入ったバスケットを一媛に差し出す。
「焼き菓子だな。遠慮なくいただこう」
 バスケットの中に手を突っ込み、一媛はボリボリと頬張る。
「冷たい飲み物も欲しいな・・・。おっ、さんきゅう」
「我が作ったヤツでよければあるのじゃが」
「おっ、それもらうかな」
 トライブが飲み物を探していると、お酒を飲みながらアルカリリィが手渡す。
「向こうで何か作っているぞ」
「いってみまひょ」
 キッチンでレタス炒飯を作っている弥十郎を見つけ、一媛とイルマは取り皿を持って駆け寄っていく。
「いい香がするのだよ」
「もうすぐで出来るから待っててね」
「まっとりますぇ〜」
 芳しい香につられてやってきたイルマが鼻をひくつかせる。
「ボクも食べたいー!山盛り食べたい〜」
 皿とスプーンを持って桐生が駆け寄る。
「さぁ出来たよ」
 イルマたちの皿にレタス炒飯を盛ってやると、すぐさま食べ始め一瞬で彼女たちの腹の中へ消えた。
「俺の分は?なぁ・・・あるんだろ?俺の分・・・もしかして・・・・・・ない?」
「すまない、一媛がおかわりしてしまった」
「な・・・なにぃいっ!」
 パートナーが底知れぬ食欲の持ち主だと忘れていたトライブは、ピキッとその場に固まってしまう。
「作ってあげるから待っててよ」
 料理の取り合う彼らの姿に、弥十郎は苦笑してしまった。



「ちょっと冷えてきたな・・・」
 朝霧 垂(あさぎり・しづり)は寒そうにブルッと震える。
「かまくらでも作るか?」
 寒そうにしている垂の姿に色即 是空(しきそく・ぜくう)はかまくらを作ろうとスコップを手に持つ。
「それならもう作ってあるぞ」
「よかったら使ってください」
「ありがたく使わせてもらうよ」
 玲とフィルが作ったかまくらに垂たちが入っていく。
「暖かいな・・・やっぱり、かまくらときたら餅とお汁粉だろ」
 垂は用意してきたお汁粉を取り出し、早くも両手を出していたライゼ・エンブ(らいぜ・えんぶ)に渡してやる。
「お〜か〜わ〜り〜」
 口の周りにあんこをつけ、ライゼは連続でおかわりをしまくる。
「あれ・・・もうないな」
「むぅーもっと食べたい!」
「それじゃあキッチンがあるようだから俺が・・・なんだその顔は?」
 明らかに拒否反応を起こしているような表情をしているライゼに、ムッとして垂は顔に青筋を立てた。
「ちょぉーっと雪だるま作ってくるよぉー・・・。うん・・・そうしよう」
「おい、こら待てぇええ!」
「きゃぁあ簡便してー!甘くて美味しいお口の中が地獄になっちゃうよぉお!!」
 ライゼは真っ白の雪の上を、必死な形相で逃げ回る。
「平和ですね・・・」
 彼女たちがはしゃいでいる様子を夜霧 朔(よぎり・さく)が暖かい眼差しで見つめる。
「雪ウサギでも作ってみるか?」
「どうやって作るんですか」
「とりあえず、俺と同じように行動してみろよ。まずはこうやって丸い形を作ってだな・・・」
 丸く小さい形を作り、手本を見せてやる。
「耳はどうやってつけるんですか?」
「2つ作ってから・・・雪と水を混ぜたやつを接着剤代わりにしてつけるんだ」
「へぇー・・・そうなんですか」
「しっぽと・・・赤い木の実で目をつけて・・・出来たぜ!」
「かわいいですねー!」
 小さな雪ウサギを手に、朔は目をキラキラと輝かせる。
「皆さん楽しんでいますか?」
 雪合戦から移動してきたザカコ・グーメル(ざかこ・ぐーめる)がかまくらの外から声をかけてきた。
「えぇとても」
「ウサギですか・・・」
「一緒に作ったんですよ」
 是空へ視線を移してザカコの方へ戻す。
「記念写真を撮ってあげましょうか」
「おっいいねー」
「写真撮るの?ボクも写る〜♪」
 ライゼも撮ってもらおうとかまくらの中へ戻った。
「待ってくれー、俺も一緒に撮ってくれよ。おまえも一緒に撮ろうぜ」
 エリザベートの世話をしていた祥子を手招きし、ザカコに写真を撮ってもらう。
「朔さんもう少し右へ・・・。はい、その位置で・・・。撮りますよー」
 パシャッ。
 ポラロイドカメラで数枚撮ってやる。
「・・・今の写真、俺にも1枚くれ」
 垂たちに悟られないようにザカコに近づき片手を出す。
「はいどうぞ」
 照れながら写真を見る是空に、彼は思わずクスリと笑ってしまった。