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リアクション
■□■5■□■「バレンタインにチョコじゃなくカツ丼とは……皮肉なもんだな」
「はいはい、話もまとまったところで、ボランティアでチョコレートの返却作業するよー」
桐生 円(きりゅう・まどか)が、回収したチョコレートの仕分けを始める。
「じゃあ、とりあえず、チョコレート審査が必要だよね」
「あ、それ、ボクのチョコだね!」
レキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)がやってきたのを見て、
円は言う。
「あぁこれキミのかー、あぁ食べていいよじゃたくん」
「もぐもぐ……いいのかじゃた?」
チョコレートを口に投げこんだので、反射的に食べた後でじゃたが言う。
「ちょっとー!
何するんだよー!」
「なんだい、そのけしからん巨乳は喧嘩売ってんのかい?」
レキの胸をつつきながら、円が逆ギレする。
「ノー巨乳イエス貧乳!
世界から巨乳は滅びるべきなんだよ!」
「意味がわからないよ!」
円の理不尽な発言に、レキが怒る。
「もう面倒だよ。
すべてのチョコをじゃたくんの口にボッシュートです!」
円が、チョコをまとめてじゃたの口に放り込もうとした瞬間であった。
手錠がかけられた。
「え」
「警察だ……悪いが迷惑行為により……身柄を拘束する」
イルミンスール魔法学校の生徒手帳を見せながら、
マイト・レストレイド(まいと・れすとれいど)が言う。
「ちょ、ボクのヘルジャッジメントでは貧乳こそが正義なんだよー!
放せー!」
「おとなしく縛につけ!」
マイトが、円を引きずって連行していった。
「おつかれさまアル」
レキのパートナーのチムチム・リー(ちむちむ・りー)が、
マイトに敬礼してみせる。
黒猫のゆる族なので、ちょっと警察のマスコットっぽい。
円を連行したマイトは、森の一角に机を置いて取調べを開始した。
「ボクは無実だよ! 弁護士を呼んでよね!」
円がわめく。
「バレンタインにチョコじゃなくカツ丼とは……皮肉なもんだな」
マイトが、刑事ドラマノリで、円の前にカツ丼を出して、
何もない場所でブラインドの隙間をのぞく仕草をしつつ、しみじみと言う。
そこにはなぜか、七尾 蒼也(ななお・そうや)も、そるじゃ子とともに捕まっているのだった。
「なんで俺まで捕まってるんだよ……」
「まさか、兄ちゃんと一緒にカツ丼食べることになるとはな」
ぼやく蒼也に、そるじゃ子が、ハードボイルドに言う。
そのころ、神代 明日香(かみしろ・あすか)は、
回収された後、
レキが円から守るために確保したチョコの山で、必死に自分のチョコを探していた。
「ない、ないですぅ!」
実は、明日香は、エリザベートにチョコを渡していたのだった。
受け取ってくれた時のエリザベートの笑顔が忘れられない。
必死で探したが、とうとう見つからず、明日香がアーデルハイトに独白する。
「アーデルハイト様、私のチョコ無いんです。
一生懸命作ったのに、私のチョコは無いんです。
……取り返せませんでした。
ごめんなさい。
明日でも許してくれますよね。エリザベートちゃん!」
「あ、待て!」
アーデルハイトが止めるが、明日香がエリザベートの元に走り去ろうとする。
「これがあなたがくれたチョコですぅ。あわてんぼさんですねぇ」
「……え?」
明日香の目の前にエリザベートが現れて言う。
「ワレンティヌスは子どもからはお菓子を奪わないって言ってたじゃないですかぁ」
「よ、よかったぁ……」
明日香はその場に座り込む。
「わざわざ百合園からわたしにチョコをプレゼントしに来てくれたんですねぇ。
いいこいいこですぅー」
エリザベートが、涙目の明日香の頭をなでて、別のチョコを差し出す。
「これは、わたしからのお返しですぅ」
「エリザベートちゃんっ……!!」
明日香はエリザベートを抱きしめた。
なお、レキとチムチムも、
エリザベートからチョコをもらえたのであった。
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