リアクション
* 夜、偽の命令書を携えたハインリヒは変装した部下を従えて城門に赴くと、早速、城門を開けさせた。 「城門の守りを交替しろ、という命令だ」 「は、はぁ……」 下がっていく警備兵ら。その後ろを……ハインリヒはすかさず襲い、「捕らえよ!」捕捉してしまった。 一方、ケーニッヒ、イレブンらのいる主力部隊は、地下に潜ると信者らの居住区を制圧。信徒兵はすでに無力化されており……ここはほぼ、無抵抗であった。 居住区から、ハインリヒが城門を空けたタイミングで地上に駆け上がり、市内に突入。 黒羊郷はこうして夜更け、教導団と蜂起勢力の奇襲を受け、大混乱に陥った。闇の中、市街戦が繰り広げられる。作戦は綿密に練ってあった。最も早い内から黒羊郷に入っていた二人である、ハインリヒはすぐケーニッヒと合流し、三隊に分かれた主力部隊の二隊を各々が率い、夜の闇に紛れ、城下の拠点である砦を制圧にかかった。 乱戦の中、ヴァリアは静かに言う。 「昨日までお客さんとしてお店で遊んでくれた人たちを殺すのは、さすがに後味が悪いわね。出来れば、戦わずに降伏して貰いたいものだけど」 しかし、 「ああ。だがここはそうも言ってられねえな」 混乱状態にある兵らは、暗闇の中で出会う侵入者に次々、切りかかってくる。ここはもう無理だと逃げ惑う者も、相手の位置を確認もできないままに突っ込んできて、ここぞといきり立った蜂起勢力の民らに容赦なく討たれている。 「……戦場ね。まさに」 「ああ。仕方ない。とにかくこれで終わりにするんだ。 そうしてまた、どこかの郊外で小さな店を開くというのもいいかもしれないな。なんてな」 「ヴェーゼル。……何を言ってるんだか」 「うっ……!」 「ヴェーゼル!」 流れ矢が、ハインリヒの背に深く突き立っている。 「ハインリヒ殿! あちらの砦も、ケーニッヒ隊が占拠しました。ああ、ハインリヒ殿!」 火が近付いてくる。 ザルーガだ。火術で辺りを照らしながら、来る。「この辺りにもう敵はいないようだ。お、おい!? どうした……どけ!」 ザルーガが駆け寄る。「お、おう……これは、……兄貴! 何してる、こっちだ!!」 ケーニッヒも、駆けつけた。 「……ヴェーゼル。市内はほぼ、片がつくぞ。予想以上に早かったな。どうやら、水軍が上陸したらしいんだ。それに、正面口の守備隊も総崩れになっている。ハルモニアからの進行軍も、やがてここまで到達するぞ。 ヴェーゼル。聞こえるか……」 「……ふっ。やったな。作戦通り、いや作戦以上だな。 あとは、イレブンは」 「作戦の通りだ。主力部隊の一隊を率い、要塞を制圧に向かった。ボス(教祖)はどうやら、地下に潜り込んでいるらしいな。 無事だといいが」 「ああ、あいつなら、教祖を討つだろう。今度こそな……。 しかし、全てが作戦通りとはいかなかった」 「うむ。まさか、ノイエの策士たるおまえがな。ヴェーゼル、……」ケーニッヒは言葉を詰まらせた。 ハインリヒは、……「ジーベックに、よろしくな。それとヴァリア、……」 「ヴェーゼル!!」 * 市街地では、戦うこの三姉妹の姿も見られた。 「えーい。どいて、どいてっ」 ハルバードで逃げ惑う敵兵をなぎ払う。朝野 未沙(あさの・みさ)。 どーん、ちゅどーん。その付近では絶え間ない爆発音が。朝野 未羅(あさの・みら)だ。「お姉ちゃんが黒羊さん(アンテロウム)を手に入れたがっているみたいなの。お姉ちゃんの為にあたし頑張るの! みさいるとろけっとらんちゃーで」ドッカーン!! ボッカーン!!「なの」 更に、降り注ぐ雷。黒焦げの敵兵があちこちに転がっている。 「私にだってぇー、護りたいモノくらいはぁー、あるんですぅー」 朝野 未那(あさの・みな)。 おかげで、辺りは火の海だ。 「はっ。火……いつの間にか、こんなに。……あ、あ」 火に恐怖する未那を引っ張り、未沙。「未那ちゃんこっち」すぐ近くにあった湖の方へ。「未羅ちゃんも! もう、この付近に敵はいないわ」 「お船」 「ええ、どうやら」 大湖には、すでに教導団と湖賊ら水軍が展開していた。 * 「おお。どうやら、市街戦になっているな。相当な規模だ。 反乱でも起こったか、あるいは、東の谷か、陸から攻めた教導団もしくは呼応する勢力が攻めているのか」 船から、スナイパーライフルのスコープで、戦場を索敵していた文治。 水軍は、大湖に入るとすぐに上陸を開始した。 セオボルトが上陸作戦の陣頭に立つ。 ここからは白兵戦になる。「則天去私の境地で挑む!」あるがままに、なすがままに。セオボルトは光条兵器のブーメランを手にとった。「行くぞ……!」 早速、串刺しパーティを行っているヴラド。市街に串刺しの林が立並ぶ。 「ところで、ボルトや。なんでそなたはカズィクル・ベイを使わんのじゃ?」 ヴラドはふと思い、ドラゴンアーツの格闘技で敵ととっ組み合うセオボルトに問う。 「此方のこの技は、パートナーであるそなたも使えるはずなんじゃが」 「そうなんですね……あまり考えてみたことがなかっただけで。 ならば一度」 ヴラドの言葉通り、そのヒロイックアサルトの力を借りてみるセオボルト。「カズィクル・ベイ! こうですかな。お、おお」「おお!」 空中から現れた杭が、地面に降り注ぐ。「あ、危ねえっ。どこ狙ってる!」文治が水月の手を引いて逃げてくる。どんどんっ。建物の一角が崩れ落ちた。 「こ、これは……」「おお! なんと、空中から!」 地中から杭が飛び出るヴラドのとは逆バージョンになるようだ。 「……」「おおー、ボルト、そなたの串刺しも中々筋がいいのぅ! こなたも負けてはおれん!」 俄然やる気がとばかりに、串刺しパーティを再開するヴラド。 「さてと、俺はこのままバックアップに回るとするか。俺の大事な仲間達(ファミリー)には指一本触れさせるわけにはいかねぇな! ってさっきはセオボルトのせいで危なかったが……水月は無事か?」 「ん……すっ転んだけど」 「……(無事じゃない。) うむ。舐めて消毒すればOk」 「うん」 「本当に信じるな! 血、出すぎだぜ。……む。おいセオボルト?」 「フハハハ」 セオボルトの笑みが黒い。どうやら、ヒロイックアサルトの使用により、英霊の影響を受けているようだ。ヴラドのように串刺し祭りでヒャッハーという感じではないが、ただ笑みを浮かべて自らの新しい力に酔いしれているようだった。 「フハハハ」 「怖いな」 「ヤバイんじゃないか……まあ、いいか」「いいのか?」「最終回だしな」「戻らなかったら?」「……」 「フハハハ」 |
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