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【怪盗VS探偵】昼に瞬く2つの月

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【怪盗VS探偵】昼に瞬く2つの月

リアクション


ー調教中ー



 のぞき部がお仕置きをされている、その時更衣室の中では――
「良い調教相手を捕まえられた」
 ばったばたの状況の中、毒島 大佐(ぶすじま・たいさ)に捕まってしまった蝶子の姿があった。
 ほとんどの人がお仕置きに向かってしまっているので、更衣室はさきほどよりも広く感じる。
「ああ! ボクが捕まえようと思っていたのに!」
 カレンは捕まってしまった蝶子を指差し、近寄ってきた。
「知らん」
 大佐は気にしていないようで、いそいそと何かの準備を始めてしまった。
「ちょっと! 蝶子さん! 青太君は!?」
「青太? 青太ならこっちには来てないわよ?」
「なっ!? そんなぁ……こんな恥ずかしい格好までしたのに……見られ損じゃない!」
 そんなカレンをジュレールがよしよしと頭を撫でた。
「せっかく青太君をメメロメロにする予定だったのにぃ……はぁ……」
 実に残念そうだ。
「別にメロメロにするのは構わないわよ? というか、いい加減メロメロにされるくらいの経験を積んでも良いと思うのよねぇ」
「そうなの!?」
 蝶子の発言にカレンが食いついた。
「そりゃ、まだ若いんだけど……そろそろ彼女の1人や2人作っても……あ、別に何股もかけろって言ってるんじゃないわよ?」
「それって……蝶子さん公認で青太君にアタックしても良いって事だよね!?」
「ええ、別に良いわよ。むしろ、面白そうだから、ガンガンやっちゃって」
 蝶子の言葉に目を輝かせ、小さくガッツポーズをとった。
(……また、面倒な事になりそうだな……)
 ジュレールはいつの間にか行き場を失った、手とうきうきしてるカレンを見つめて、そう思っていたのだった。
「よっし、準備は出来た」
 大佐が準備したものとは……首輪、鞭、ロウソク、カメラとちょっとアレな品々。
「蝶子お姉さまに何する気ですか!?」
 リースはこれから起きる事を想像して、顔を赤くしながら叫んだ。
 勿論、こちらもロープでぐるぐる巻きになっている。
「何って、何するも何も、この装備見ればわかるだろう? しかも、想像して赤くなってるって、事はなにされるかわかってるんだろう?」
「うっ……」
 大佐がにやりと笑うとリースは顔を背けた。
「ところで……どうしてルンルンくんまで縛られてるんですか?」
「決まってるだろう? ルンルン・サクナルを調教しに行けと託宣があったんだよ」
「ええっ!?」
 由宇は縛られたルンルンのロープをほどこうと試みたが、全く解けない。
「これからもっと凄い事されちゃうんだよね……?」
「そうですぅ! だから、早くこれを解かないと――」
「楽しみ……」
「へっ?」
 必死に助けようとしている由宇だが、当の本人は恍惚の表情を浮かべている。
 ちなみに――
「やめたまえ。ここは学校だ」
 アルツールや他ののぞき部を追いかけなかったメンバーも大佐によってロープで縛られているので動けない。
 動けるのは由宇くらいなものだ。
「これ、わざとやってるのか? 気合い入ってるな」
 大佐はルンルンの尻尾がテーピングでぐるぐるになっているのをみて、呟いた。
「はがして欲しいか?」
「う、うん!」
「嬉しそうだな……じゃあ、やめとくか」
 大佐の言葉に残念そうなのに、何故かその表情には満足したかのようなものも混じっている。
「何をしてるんですのーー!」
 そこへ入ってきたのは、珠樹だが……もろもろの光景を目の当たりにし、卒倒してしまった。
 どうやら、耐性がなかったようだ。
 その後……大佐は口では言えない、あ〜んな事やこ〜んな事を心行くまで楽しみ、回復させてから、リース1人だけ解放し、火のついたキャンドルを手渡すと、捕まらないうちにイルミンスールをあとにしたのだった。
「蝶子お姉さま! 大丈夫ですか!? ああ……こんな首輪なんて……」
 リスはロウソクの火でロープを切ると蝶子の首にはめられた首輪に手を伸ばす。
「ああ、これは良いわ」
「えっ!?」
「ふふ……今度、会った時、覚えておくためにね……ふふふ……」
「こんな事されても強気なお姉さまが大好きです! 一生ついていきます!」
「ありがとう」
 蝶子は解放されると、テーピングから少しだけ出ていたルンルンの毛を1本だけもらい、キャンドルを由宇に手渡し、ここから逃げ出したのだった。
「怪盗パープルバタフライ! 盗みに成功よ!」