校長室
【ロリオとジュエリン】アンノルドル・ルージュ
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第4章 C’est avidit‘e-欲望のままに- 「ここっていっぱい衣装あるのよね。この前は着せもらわなかったから選んでもらおう!」 可愛い服に着せ替えてもらおうと、小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)たちがやってきた。 「私たちにも何かおしゃれな服をコーディネートしてくれないかしら?」 「どんな雰囲気がいいんですの?」 「丈の短い服とかが好きよ」 「えっと、私はあまり露出の高くない服をお願いします」 ベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)もジュエリンのファッションに任せて着せてもらう。 「美羽さんは元気なビタミンカラーがいいですわね」 ふわっとしたライトグリーンのミニスカートと、袖が花のように開いたニットのセーターを美羽に着せる。 「春って感じがする格好ね♪」 ミツバチの羽のような飾りがついた帽子を被らせてもらい、美羽は姿見に映った自分の姿を眺める。 「花のアクセサリーがついたブーツも可愛いかも」 「ベアトリーチェさんはそうですわね・・・、大人可愛い感じにしてみましょうか?」 スパンコールを織り込んだワンピースの下にスラットしたジーパンを穿かせ、腰にはベルトの変わりにリボンを結ぶ。 「こうしてコーディネートしてもらうと、ズボン系もたまにはいいですね」 ハイヒールを履かせられ、頭にはブラウンのテンガロハットを被せてもらった。 いろんなフェミニンな雰囲気やファンシーな服を着せ替えてもらい、春ファッションスタイルを楽しんだ。 「いちゃいちゃラブコメもそこまでだ!これからは俺のターンだぜっ」 ゲブー・オブイン(げぶー・おぶいん)はニヤリと笑い、強欲オーラ全開でブラッドレイからルージュを奪い取る。 笑い合う恋人たちの姿を眺めている隙をつかれ、“ぁあっ!?”と声を上げるが、時すでに遅くゲブーの姿はどこにもない。 「こいつがアンノルドル・ルージュか?永遠のちっぱい魔女、アーデルハイトの胸を揉みまくって巨乳にしてやるぜ!」 彼が女たちの胸を揉むと“きゃぁああ、へんたぁああい!!”と甲高い黄色い悲鳴を上げて逃げてしまう。 逃げられないように命令して、ちっぱい彼女のバストを増量させようとブラッドレイから奪ったのだ。 「5000年もずっとぺったんこなんて、可哀想すぎるじゃないかっ!?女だったらボンキュッボォンッのグラマーなボディーに憧れるもんだろ!!」 誰に言うのでもなく、ギランッと天井にルージュを向けて高らかに言い放つ。 「フッ・・・。誰かを無償で助けるって、素晴らしいよなっ」 貧乳どころかまったくナイに等しい彼女に、たっぷんとしたバストをプレゼントしてやろうとアーデルハイトを探す。 その彼女はとんでもない欲のために利用される前に処分しようと、ルージュの所持者と本を探している。 「カティヤたちはどこにいるのじゃっ。遊びに使うとはけしからん!」 まだ彼女が所有者だと思っているアーデルハイトが、殺気立って2人を探している。 「見つけたぜ、アーデルハイト!」 永遠のちっぱい魔女を発見し、ルージュをぐにゅっと唇に塗りたくる。 「おっと、身だしなみを整えて行かなきゃな。よし、これでばっちりだぜっ!」 身だしなみを整えておこうと、自慢のピンクカラーのデラックスモヒカンをブラシでビシッと整える。 「アーデルハイト、そのちっぱいと今日でおさらばさせてやるぜ」 「おまえ・・・その緑色の唇はまさか!?」 とんでもない者の手に渡ってしまい、驚いたアーデルハイトは目を見開く。 「巨乳になるまで俺様のゴットフィンガーで揉まれろ!」 「ぬぁ、なんじゃとぉお!?」 「今日から誰にもぺったんこだなんて言わせない巨乳になれるんだぜ?どうだ、嬉しいかー!? 「や、やめるのじゃ!私はそんなもの望まぬっ。というかいらぬわー!!」 命令のせいで身動きが出来ないアーデルハイトが怒号する。 「遠慮するなよ。この俺様が、誰もが羨む超特大にしてやるぜっ」 「たわけがぁああっ。ちっぱいの何が悪い!?」 巨乳などちっぱいこそ正義だと信じる彼女にとって無用なものだ。 増量されてたまるかと大声で騒ぐ。 「今ままで小盛りだったから恥ずかしいだけだろ?特盛りにしてやるから喜べっ、がはははーー!!」 不憫なぺったんこをナイスなボインにするため親切な紳士として、全身全霊で拒否する彼女の胸を揉み続ける。 「意外とすぐ見つけられたわね。行くわよ、透乃ちゃん」 所有者の大声が目立ちまくり簡単に発見出来たと、月美 芽美(つきみ・めいみ)は相手に逃げられないよう小さな声音で言い、霧雨 透乃(きりさめ・とうの)の方をちらりと見る。 「うん、おっけー♪」 透乃はこくりと頷き造園を陰に忍び寄る。 「ちっ。こいつを奪いにきたのか!」 ダッシュローラーで神速に加速をつけて迫る芽美をゲブーが睨む。 「巨乳のくせに、ルージュまでかっぱらって。そんなにぺったんこをいじめしたいかぁあ!?」 このままではぺったんこを卒業させてやれないと激怒する。 「知らないわそんなもの」 「ないものはないんだから仕方ないよねー」 「持っているやつの傲慢だなっ。俺様の邪魔はさせないぜ!」 ドガガガァアアッ。 懐に飛び込んできた透乃と等活地獄の鉄拳で殴り合う。 「(行動予測しても、先の先で読んできてるみたいだねっ)」 いくらゲブーの行動を観察しても、相手は容易く倒れてはくれない。 「おっと、簡単にはやらないぜ?」 先の先を読みルージュを奪おうとする芽美の手から逃れる。 「くっ、意外とやるじゃない」 「戦いもいいけど。今はそれが欲しいんだよね」 「エリザベートちゃんのために私がもらういますっ」 空飛ぶ魔法で突っ込んできた明日香がルージュを狙う。 「行くですぅ明日香!」 彼女の背に乗っているエリザベートは、それを奪い取るようにターゲットを指差す。 「あっ、この!返せ泥棒っ」 「何を言っているんですか。これはエリザベートちゃんの物だから泥棒じゃないんですよ」 「は!?いつそうなったんだ」 「もちろん、このルージュが出来た時からです」 「ふざけんなっ。そいつはアーデルハイトを巨乳にするためのもんだ、返せぇええ!」 ゲブーは木を駆け上がり枝を踏み台にして明日香の手から奪還する。 「(フフッ、そっちならいくらでもどうぞ♪)」 「残念だけど透乃ちゃんが欲しがってるからあげられないな」 明日香が本物をまだ持っていることを目敏く見つけた霧雨 泰宏(きりさめ・やすひろ)が、飛び去ろうとする明日香に光術を放つ。 「きゃぁあっ!?」 「眩しいですぅうっ」 「私に掴まってください!」 エリザベートを守ろうと明日香は少女の身体を抱えて芝生の上に転がる。 「―・・・ちくしょう、目がぁあ。俺様の目がぁああ!!」 「ちょっと倒れてもらっておこうか?」 「げはぁあっ」 泰宏のライトニングランスが腹に直撃し、激痛に転げ回りまともにスキルが使えなくなってしまう。 パシィイッ。 「いただいたわよ」 軽身功の身軽さで屋敷の壁を走り、芽美は毟るようにゲブーの手から奪い取る。 「はい、透乃ちゃん。先に使うのよね?」 「ありがとう、芽美ちゃん」 透乃はティッシュでルージュを拭き唇に塗る。 「早く使ってみたいね!こっちで使いたいから来て♪」 「えぇ分かったわ」 玩具を手にした子供のように喜ぶ彼女の後をついていく。 3人が去った後、ゲブーはよろめきながら立ち上がる。 「まったく酷い目に遭ったぜ。だがしかしっ。ルージュはこの俺様の手にまだあるんだよな!もう一度、巨乳になるまで俺様のゴットフィンガーで揉まれろ!」 念のためルージュを塗り直し、アーデルハイトに命令する。 彼女のちっぱいを揉もうとした寸前、ゴスッと杖で弾かれてしまった。 「イッて!何でだ!?ルージュの命令には逆らえないはずだぞっ」 「それをよく見るがいい。アンノルドル・ルージュではなくSPルージュじゃ!つまり偽者じゃな」 「そんなはずねぇえ、確かに取り戻したんだぜ?」 「偽者を掴まされたのじゃろう?」 「うぐっ。俺様としたことが、こんなもんに騙されちまうとは・・・っ」 「おまえ・・・覚悟は出来ているのじゃろう?ちっぱいを巨乳にしようとした罪をくらうのじゃーーっ、さーちあんど・・・ですとろぉおおおおい!!」 ズゴォオオオーーッ。 バーベキューの如く怨みの炎でゲブーを包む。 「ふぎゃぁあああ!!?」 ちっぱいでなくそうとした刑罰で火あぶりの刑にされ、絶叫しながら庭の花畑を駆け回る。 「ん、塗れたみたい♪」 火あぶりの惨劇を他所に、透乃は手鏡を見ながらキレイにルージュを塗る。 普段ならこんなもの抹消する側なのだが、とある企みを思いついてしまったのだ。 「透乃ちゃん、次は私ね」 「うん。でも・・・次があればねっ」 「えっ、それってどういうこと・・・」 無邪気な笑みを浮かべる彼女に、黒い邪気を感じて思わず1歩後退る。 「―・・・芽美ちゃん、服をぱぱっと脱いじゃって♪」 「な、何を言っているの透乃ちゃん。いっ、いや。体が勝手に・・・っ。透乃ちゃん・・・お願い、やめて・・・」 「ううん。変更なしでよろしくっ」 「この私が・・・命令されるだけなんて!!」 透乃の命令通りに寒空の下、自ら脱ぎ下着だけになってしまった。 クリスマスの仕返しも込めて、どうせならサディストな芽美を、意識まで支配はせず服従させてみたくなったようだ。 「とりあえず指しゃぶりしながら、四つん這いでその辺歩いて」 デジカメを向けて監督のように芽美を撮影する。 「泰宏君、透乃ちゃんを止めてよ。どうして見てるだけなの?」 「ごめんな。こういうことなんだ」 「へぇ〜そうなの。後でどうなるか、分かってるんでしょうね・・・」 2人の企みだと知った芽美は、今にも噛み殺しそうなほど怒りの色を瞳に宿す。 「次はね・・・。髪を噛んで後ろ手に両手を組んで、仰け反ってみてよ」 「透乃ちゃん、どうして私にこんなことするの?他の人だっていいじゃないの」 「だって。どうせならサディストをいじった方が楽しいもん。ドエムとか微妙なのいじたってなんも面白くないからね♪」 「(うわ、酷っ!)」 その光景を目にした泰宏は、どう考えても容赦なく無理やり言うことを聞かせる透乃の方がサディストだろ、と心の中で呟く。 「(くうっ、人形のように動かされるだけなんて)」 えっつぃポーズ取らされるのが問題でなく、命令に逆らえず相手の意のままに自分の身体が操られることが屈辱的なのだ。 「(芽美さんを襲ってくるやつはいないみたいだが。最大の問題は私が耐えられるかどうかだな)」 目の目にごちそうを用意されているかのように、泰宏はティッシュで鼻血を止めながら堪える。 「楽しかったー!もう満足したから他の人にあげてこよっと。あ、芽美ちゃん。もう自由にしてあげるよ」 「―・・・透乃ちゃん。それなりの覚悟は出来ているわよね?」 「あはは、ごめんねー」 悪びれる様子もなく、透乃はあからさまに棒読みで言う。 ドゴォスッ、ベキャッ。 「芽美ちゃん怖ぁ〜い。逃げるが勝ち♪」 「ぐぎゃぁああーーー!!」 透乃に盾代わりにされた泰宏が、鳳凰の拳の餌食になってしまった。 きゃっきゃっと笑いながら、全治3ヶ月はかかりそうな彼をほったらかして走り去る。 「待ちなさい透乃ちゃん。まだお仕置きするまで許さないわよ!」 庭中探し回ったが結局、見つけらず仕置きが出来なかった。 「アヤ、お着替えの時間ですよ・・・?フッフフ・・・」 怪しげな笑みを浮かべ、クリス・ローゼン(くりす・ろーぜん)は聖者のサンダルを握り締める。 スパァアンッ。 「ふぁぐぅ!?」 ベシャアァアッ。 後頭部にいい音を鳴り響かせた神和 綺人(かんなぎ・あやと)の意識がフッと消える。 ずるずると引きずられ、記憶から消し去りたいあの魔窟へ連れて行かれてしまう。 「ジュエリンさん、お洋服を借りたいんですけどいいですか?」 「ご自由にどうぞ、クリスさん」 「和風ゴスロリの服ってありますか?」 「えぇ、もちろんありますわよ♪」 「本当ですか!?それじゃあそれをお借りしますね!」 「その衣裳部屋はこちらですわ」 「すっ、凄すぎます。この部屋の服全部・・・和風ゴスロリじゃないですかっ」 クローゼットいっぱいにかけれた理想の服たちを眺め、緑色の双眸をキラキラと輝かせる。 「これだけあればアヤを思う存分着せ替えさせられます」 「クリスさんも愛する人に好みの服を着て欲しいのですのね?」 「えぇ、もちろんです」 「何だかクリスさんとはいいお友達になれそうですわ♪」 「私たち、気が合いそうですね!あ、お土産にチョコを持ってきたんです。どうぞ!」 「まぁ、嬉しいですわ。後ほどいただきますわね。それではゆっくりお楽しみくださいな」 「はいっ」 衣装部屋を出て行くジュエリンに笑顔で手を振る。 「アヤの刀はクローゼットの中に隠しておきませんとね」 「う・・・ここって、もしかして!?」 パタンッと得物をしまわれた音を聞いた綺人が目を覚ます。 「もう目が覚めてしまったんですか。でも・・・もう、逃げられませんよ?」 ビババババァアッ。 ありったけの雷術を綺人に叩き込む。 「命令するより、無理やり着せ替えさせる方が楽しいですからね」 「うっ、体が痺れて・・・動けない・・・っ」 着せ替え魔人でなく魔神と化した彼女から逃れようと床を這いずる。 イルミンスールの森の中を散歩中、昏倒させれ連れてこられた悪夢が甦ってしまった。 「さぁ・・・アヤ、お着替えの時間ですよー?今回はちゃーんと和物にしたんです♪」 「それってひっくり返しても着物に見えないよ!ていうか、スカートだし!?」 「着物ならいいんですか?このゴスロリとどっちがいいですか?好きな方を選ばせてあげますよ」 「どのみち着せ替えさせられるなら選べないよっ」 「分かりました。黒地に桜柄のモノと紫色の花模様に・・・赤地もありますよ?どれでも好きなモノを選んでください♪」 「て、それ選択肢が変わっただけじゃないか!」 「そうですか、クローゼットの左から順番に、右端まで着せ替えて欲しいんですね」 「言ってない。絶対に言ってない、そんなことっ」 イヤイヤをするように左右に綺人はぶんぶんと首を振る。 「嬉しいんですね。私が着せ替えることが♪」 「どうしたらそんなふうに聞こえるのさ。どこまでポジティブなわけ!?」 「私には聞こえるんです、アヤの心の声が・・・」 「うわぁあっ!やめよ、クリスーーー!!」 服を毟り取られパン一状態にされてしまう。 「酷いよー。僕を辱めて遊ぶなんてっ」 「いいえ。これはアヤに似合うお洋服をコーディネートしてあげているんですよ。ほーら、アヤにピッタリです♪」 「やっぱり着物じゃない!いや、そんなのは問題じゃ・・・。男の子を着せ替えて何が楽しいわけ!?」 ヒラヒラのゴスロリの格好にされた綺人は、姿見の鏡で見せられてしまう。 「好みを服に着せ替えたいだけですよ♪もっともーっとお着替えしましょうね。フフフッ」 「(・・・クリス、家に帰ったらお仕置きだからね)」 好き放題に着せ替えられながら綺人が心の中でぼそっと呟いた。