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荒野の大乱闘!

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荒野の大乱闘!

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第9章 残念だったな、今から道化の時間だ。

 要が去っていった後、そこには静かな空気が漂っていた。
 何しろ今回1番大騒ぎする人間がいなくなったのである。その分全体の音量が下がってしまったのだ。
 そしてそんな中において、いまだに倒れたままのげんだの元に歩み寄る者がいた。
「よう、お疲れ様ってとこか?」
「……?」
 見上げるげんだの視界に入ったのは、赤と緑のツートンカラーの衣装に包まれたどことなくピエロっぽい男……、いや女……、でもなく、やっぱりピエロのナガン ウェルロッド(ながん・うぇるろっど)だった。
「……誰だあんた?」
 疲れきった声でげんだがナガンに声をかける。
「あン? ナガンはナガンだよォ。硬派番長と同じでD級四天王の1人って奴さ」
 そんなげんだを見下ろしながらナガンは軽く笑う。
「で、そのナガンが、俺に何の用だ?」
 睨みつける体力も無く、げんだは静かに問う。
 何を考えているのかよくわからない表情で、ナガンはげんだの近くに腰を下ろした。
「あの高島要って奴、結構強かったよなぁ。真っ向勝負のケンカで、しかも女に負けちまったとありゃあ、さすがにおめーなら悔しいって思うんじゃねぇか?」
「…………」
「腐っても硬派番長を名乗る男だ。これで悔しくて何もできなくなっちまったら終わりだよなぁ?」
「……何が言いたい?」
 その言葉にナガンは口の端を吊り上げる。
「どうよ、ナガンの舎弟になれば仕返しのチャンスがあるぜェ?」
「舎弟?」
「そう、舎弟だ。ありゃあ暇潰しにちょうどいい。だからナガンはこれからあの高島要と会うことになるだろう。そこで、だ、硬派番長がナガンの舎弟になれば、自然とナガンと一緒に行動する。つまり、あの高島要と会う確率も高くなる。後はわかるよなァ?」
「…………」
 果たしてこのピエロは一体何がしたいのか。
 唐突にやって来て、人を小馬鹿にしたような口調で、しかもいきなり舎弟になれとは。いくらなんでも話が飛びすぎている。
 少なくとも今の会話から、「高島要に会って仕返しがしたいなら、要に会おうと考えている自分と一緒に来い」と言いたいのはわかった。だがその目的は? 動機は?
 ナガンはそれら一切を語らなかった。もしかしたらナガン本人にさえもその理由がわからないのかもしれないからだ。考え自体は真面目だが、行動はおふざけ全開。打算のつもりで手助けするが、やってることは単なる人助けになってしまい、悪人を自称しているつもりがいつの間にか善人だと評判――もちろん本人にとっては不本意だが。
 心情は語らず、自身の胸の内に秘め、場合によっては忘れてしまう。一体何を考えているのかわからない道化。それがナガン ウェルロッド。
「……お断りだ」
 げんだはそんなナガンの申し出を拒否した。
「えっ、なに、まさか負けたからもう仕返しとかやらないの? 1回負けたからやらないの? ハハッ、何だ、硬派とは名ばかりで、実際はとんでもねェぐにょんぐにょんの軟派番長だなぁ、オイ! ギャハハハハハハ!」
「阿呆かお前は」
「ハ?」
 げんだのその一言に、ナガンは笑いを強制的に止められた。
「人の話は最後まで聞けこのピエロ」
「『このピエロ』ねェ……、なかなかいいほめ言葉だなァ」
「どうでもいいだろそこは」
「あぁ、どうでもいいな」
「誰がお前の舎弟になどなるか」
「あン?」
「あのな、俺は今までずっと『硬派』を自称してきたんだぜ? それがいきなり誰かの下につく? 冗談じゃねえ。ケンカで負けてそいつの舎弟にされたのならともかく、全く関わり合いの無いピエロの舎弟になれるわけがねえだろうがよ」
「……そりゃまあ、言えてるよなァ。ナガンだっていきなり知らねぇ奴に『舎弟になれ』って言われてなるわけないしな。いや、面白けりゃなるかもなァ」
「とにかく、舎弟はお断りだ。だが……」
 そこでげんだは話を切り、薄く笑いかけた。
「舎弟はお断りだが、時々アンタと一緒に行動してみるってのはいいかもしれねえな……」
「…………」
「時々だ、毎日じゃねえ。暇な時があればあんたと一緒に行動してみるよ。あの女に会うもよし、会わないもよし。毎回の協力は求めない。それでもいいか?」
 その言葉で十分だった。
「……さァ、ナガンの手を掴めよォ」

 後は野となれ山となれ。
 こうしてナガンとげんだは、不定期のコンビを組むこととなった。



高島 要――図らずもD級四天王となってしまうが、本人は至って気にしていない。今後もパラ実ライフを気ままに過ごすだろう。

アレックス・レイフィールド――相変わらず要のボケっぷりに振り回される毎日。

げんだ――高島要に全力で叩きのめされる。その後はナガン ウェルロッド(ながん・うぇるろっど)と時々何かをやっているかもしれない。一応、再起可能。

ごとう――白菊 珂慧(しらぎく・かけい)に顔面をバットで殴られ再起不能(リタイア)。

むらかみ――アーマード レッド(あーまーど・れっど)による全武装一斉砲撃に巻き込まれ再起不能(リタイア)。

たかはし――武神 牙竜(たけがみ・がりゅう)の必殺技「天翔真龍波」をとことんまで食らい再起不能(リタイア)。

まつもと――猫井 又吉(ねこい・またきち)の風林火山による一撃を食らい再起不能(リタイア)。

おおやま――鳴神 裁(なるかみ・さい)の格闘新体操による蹴りを受け再起不能(リタイア)。

その他650人の硬派な不良たち――契約者との戦闘により、上記E級四天王の5人を含め大半が再起不能(リタイア)。とはいえ死者は出ていないので、そこは安心だ。またこの出来事がトラウマとなったのか、不良をやめる者が続出したらしい。

ハリボテの校舎――クド・ストレイフ(くど・すとれいふ)がぶっ飛ばされた影響で一部が損壊。

ラルク・クローディス(らるく・くろーでぃす)テスラ・マグメル(てすら・まぐめる)――様々な邪魔が入り、結局、要の無謀な行動を止めるのに失敗した。

リカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)シルフィスティ・ロスヴァイセ(しるふぃすてぃ・ろすう゛ぁいせ)――結局、要と安芸宮 和輝(あきみや・かずき)に殴り倒されてしまう。再起可能。

七瀬 歩(ななせ・あゆむ)――要やげんだと話すだけ話してさっさと帰らされた結果、全く被害を受けなかった。

弥涼 総司(いすず・そうじ)――要に思い切り投げ飛ばされ再起不能(リタイア)。

緋王 輝夜(ひおう・かぐや)――結局、日比谷 皐月(ひびや・さつき)とは会えずじまい。

カミーユ・ゴールド(かみーゆ・ごーるど)――コレクションにするつもりだった不良に逃げられてしまい、悔しい思いをした。再起可能。

八神 誠一(やがみ・せいいち)――もう1人の要こと月谷 要(つきたに・かなめ)に襲撃を邪魔されてしまい、かなり腹が立った。

葉月 可憐(はづき・かれん)アリス・テスタイン(ありす・てすたいん)――結局、不良たちに焼肉を振舞うことはできなかった。

げんだと共に行動した面々――契約者の介入もあり、げんだを守りきれなかったどころか自らもそれなりにダメージを受けた。げんだを襲撃に来た面々とは痛み分けといったところか。再起可能。


TO BE CONTINUED…?

担当マスターより

▼担当マスター

名も無き詩人

▼マスターコメント

 参加者の皆様、お疲れ様でした。
「荒野の大乱闘!」のリアクション、いかがでしたでしょうか。
 どうやら公開予定日に少々間に合わなかったようです。大変申し訳ございませんでした。

 参加者の皆様の投票をもちまして、NPC高島要とパートナーのアレックス・レイフィールドの所属校が「パラ実」と決まりました。
 よって今後、この2人が登場するシナリオは、基本的にパラ実、及びキマク、シャンバラ大荒野が舞台のものとなります。ただし学校の抽選については、そのシナリオごとに優先順位が変わります。ご了承ください。

 また要の性別も「女」と決まりました。
 よって今後は、「基本的に中性的な見た目であるため、一見男か女かわからないが、よく見れば女としての特徴が多いため女とわかる」という扱いとなります。制服もパラ実セーラー服となります。

 さて今回のシナリオの結果、NPC高島要がいきなりD級になってしまいました。とはいえ彼女自身は四天王制度にそれほど興味があるわけではないので、まあ話のネタの1つとして考えていただけましたら幸いです。
 他にも四天王称号を獲得したPCさんが数人おられます。称号を使って立場を演出するもよし、はたまた無視しちゃうのもよし、ご自由に活用してください。


 それではまた縁がございましたら、別のシナリオにてお会いいたしましょう。
 お相手は「名も無き詩人」が担当させていただきました。