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学園祭に火をつけろ!

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学園祭に火をつけろ!
学園祭に火をつけろ! 学園祭に火をつけろ!

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     ◆

 店の様子を見ていたのは、ラナロックと共に店に来ていたアキュート、ペト、ウーマの三人と、彼らに誘われて一緒にやって来た聖と璃央。
何故様子を見ているか、と、言うと――こんな感じ。
「おい、ねーちゃん。こりゃ客寄せする必要がねぇんじゃ……ねぇのか?」
「どうするアキュートよ。それがしがこれ程の人の中に入ってしまうと、黄色い声援で店に迷惑が………」
「安心しろよマンボウ。悲鳴はあってもそれはねぇよ」
「お姉さん、ペト、こんな大勢の前で歌うのは流石に緊張しちゃうのです」
「なぁんか、とんでもないとこに来ちゃったみたいだねぇ、こりゃ」
「凄い人だよね。辛うじて並んではいないけど、今にも教室から出てきそうな………」
 活気のある店内を目の当たりにした六人は、即ち入る事を躊躇っていたりする訳だ。先程よりは幾分か人が減り、階段の方まで続いていた列は無くなったが、それでも店内は人で賑わっている。
「何やってんのよ、あんたたち」
 と、呆然としていた彼らの後ろから、セイニィが声を掛けた。彼女と一緒に文化祭を回っていたシャーロット・モリアーティ(しゃーろっと・もりあーてぃ)呂布 奉先(りょふ・ほうせん)セシリア・モラン(せしりあ・もらん)と、美羽、ベアトリーチェも一緒である。
「何て言うか、凄い人……ですね」
「ねっ、言ったでしょ? しかもお昼時の時とおんなじくらい混んでるしね」
「凄いですねぇ、これは誰でも入るの躊躇っちゃいますよ」
 シャーロットがまじまじと店内を覗き、美羽とベアトリーチェがどこか誇らしげにそう呟く。
「まぁ、何にせよ入っちゃって良いんじゃない? て、そう言えばあんた、もう寝てなくて良いの?」
 ラナロックの顔を見たセイニィが思い出したかの様に訊ねると、彼女はお陰さまで、と苦笑ながらに返事を返した。
「ん? セイニィもラナロックのねーちゃんがぶっ倒れたの、知ってんのかい?」
「その場にいたしね」
「なぁ……おい」
 入り口付近で話していた一同に対し、苛立ちを押さえながら奉先が声をかける。
「立ち話すんだったら入ろうぜ。んなとこいたって邪魔で仕方ねぇ…………」
「それは私も賛成です。休憩に来たわけですし、ちょっと休みたいですしね……」
 シャーロットがため息をつきながら呟き、謝りながら店内へと入っていく一同。
「いらっしゃいませ! お好きなお席へどうぞ」
 出迎えた結和に挨拶を交わし、四人がけの席を二つ繋げて座るのは、セイニィ、シャーロット、奉先とセシリア。
セイニィの向かいに座ったのは美羽とベアトリーチェ。更にその横に聖、璃央が座った。
「あら、アキュートさん。あなたたちの分の椅子が――」
 セシリアがキョロキョロしていると、ラナロックが他のテーブルから椅子を引いてやって来る。三つの椅子は恐らくウーマ、ペトの分なのだろう。
彼女の服には未だにペトがついているが、ラナロックは彼女を抱きながら三つの椅子を持ってきた。
「あ、あれ……ラナ先輩、見た目と違って力持ちなんだ」
 思わず唖然とする美羽に一同が笑った。が、何故三つ椅子を持ってきたのかわかっていないアキュートが首を傾げ、彼女に尋ねる。
「俺分とねーちゃんの分なのはわかるが、なんだってあと一つ持ってんだ?」
「私は座りませんわ。これからしっかりお店のお手伝いをしようと思っていますし。なのでアキュートさんとペトちゃん、マンボウさんの分を、と思いまして」
 誰もがツッコミを入れそうになるが、全員がそれを堪えた。ニコニコと席を並べ始めるラナロックと、笑いを堪える一同。
「どうぞ、お座りくださいな」
 『頑張った!』と汗をぬぐった彼女の満面の笑みには敵わず、徐に席につくペトとウーマ。が――
「ペトは主に、皆さんの足しか見えないのです」
「う、うむ! それがしはなかなか快適――だっ! 悪くない! 片側でのみ皆を見れずとも、お嬢さんのお気持ちで何とか……………」
 が、奉先とセシリアが遂にその沈黙を破り、笑い声をあげた。
「だ、ダメっ! この光景はあ――あまりにも……………ぷふっ!」
「あっはっはっは! そのマンボウは置物みたいになってるぞ! 椅子に立て掛けてやんなって! あんまりにもその――あっはっはっは」
「ねーちゃん………その、なんだこいつらは椅子……いいぞ?」
「……………はい」
 しゅんとしたまま、ウーマ、ペトの座っていた席を戻しに行くラナロック。
「何か悪いことしたです………」
「全くだ。折角の気遣いを」
 アキュートの膝の上に座っているペトと、宙に浮いているウーマも心無し残念そうにそう言った。
「と、そうだ。確かねーちゃんたち、バンドとかやってたろう」
 このままの空気が良くないと思ったのか、アキュートが前に座る四人にそう切り出す。
「へぇ、凄いねぇ。音楽か」
「聖も何かやれば良いんじゃない?」
「そうだ、そなたもやってみれば良いではないか」
「遠慮しとくよ。人前で何かやるっつーのはどうもねぇ、慣れないからねぇ」
「聖とやらよ――漢たるもの、何時であろうとも常に自己の限界を越えなければならぬぞ。結果、例え良くない結果になろうと、そこに可能性があれば失敗と言えど無駄ではないのだから」
「何か良いこと言われたよ聖!」
「ん、ぁ………えっと、はい」
「見た目はあれだけどな」
「奉先さん、そう言うことはあまり――」
 言われた本人である聖、パートナーの璃央とそれを聞いていた奉先、シャーロットがリアクションを返すが、アキュートは「相変わらずだな」と良いながら違う方へと視線を向けていた。