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学園祭に火をつけろ!

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学園祭に火をつけろ! 学園祭に火をつけろ!

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4.――ひーろーしょーをみよーう





     ◆

 真っ暗な体育館。ざわつく館内には子供や大人の声が入り乱れている。と、スポットライトが舞台の一点をてらし、佇んでいた衿栖の姿が現れた。
「みんなっー! 元気かなぁー!」
 観客たちが返事を返し、元気な「はーい!」が体育館に響き渡った。
「これから、年増戦隊ロリババァショーが、はーじまーるぞぉー!」
 「はーい」の声の後、衿栖が言葉を続ける。
「良い子のみんなは、携帯電話の電源を切るか、マナーモードに切り替えてねっ! 見ているとき他のみんなの迷惑にならないように、静――」
「うっひゃっひゃっひゃあ、ワタシが怪人サンマグロでぇーす! うっひゃっひゃっひゃ」
 なんと此処で、ルイは出るタイミングを完全に間違えてしまった。
「おっと、怪人が現れちゃったぞ! 司会のおねーさんが注意事項を言ってる最中に怪人が出てきちゃったぞぉ!」
「あ、ごめんなさい………ジャナカッたぁ!!! 悪い怪人はソンナコト気にしないんだもんねーダ! さぁ、悪い子はつれてっちゃうぞー! 好みのタイプの子も、ツレテイキタイナー」
「それはNGだともうぞ怪人っ……………はぁ、ルイさん、大丈夫かしら…………」
 一人暴走を続けるルイは、しかし段取り通りに鳳明を壇上へと連れ去っていく。
「(なになに、ちょっとホント怖いよルイさん…………って、そうだ、ちゃんと台詞言わないと)き、きゃー! た、助けて誰かー!」
「(あれ、なんかちょっと上手になってる)みんな、お友だちが一人、怪人サンマグロに連れ去られてしまったよっ! 早くロリババァを呼ばなきゃ! 声を揃えてみんなで呼ぼう! いくよー、せーのっロリババーァっ!」
 すると舞台の両端から煙が立ち上ぼり、辺り一帯にそれが立ち込める。
「みんなぁ、もっと大きな声で言わなきゃ、ロリババァには伝わらないよっ! せーのっ、ロリババァ、ロリババァ!」
 観客も一体となって、姿なきロリババァの面々を呼び続ける。


「ババァババァ うっさいわぼけぇ!!!!!!!」


 マイク越しにキレながら、ヒラニィが舞台中央に登場し、スポットライトを浴びた彼女がポーズを決めながら台詞をのべる。
「年の数イコール勝利の数――! 深淵よりも深き闇――ババァブラック!!」
 その姿を見た観客たちが歓声をあげた。
「長生きしたって良いじゃない! 澄み渡る高原の香り、爽やかグリーン!!」
 今度はマリアベルが、ヒラニィの横に現れてポーズを決める。
「年功序列は蜜の味! 悪を魔法でぶっ飛ばす、ババァブラック!!」
 マリアベルの更に隣に現れたセラエノ断章もポーズをきめる。が、此処で観客が早くもざわめきだした。そしてその代表として、鈴倉 虚雲(すずくら・きょん)が大声でツッコミを入れる。
「黒、緑の後に黒なの!? ねぇ、黒緑きたら次違う色じゃないのねぇ!?」
 が、彼の言葉などお構い無し。どんどん現れるロリババァ。
「隠居するにはまだ早い! 俺の炎が悪をこがす! 正義の熱血魔法少女ババァレッド!!」
「可愛い子らの未来を掴め! どんな相手も一刀両断! ババァブラック!!」
 ショーを見ているミレイユ・グリシャム(みれいゆ・ぐりしゃむ)が、何やら不思議そうに隣に立っているデューイ・ホプキンス(でゅーい・ほぷきんす)へと訊ねる。
「ねぇねぇデューイ。何でロリババァ黒が多いの?」
「む……いや、我に聞かれても、ちょっとわからんな………」
 目を輝かせながらデューイに肩車されているロレッタ・グラフトン(ろれった・ぐらふとん)は、その問題を全く問題視していないらしい。デューイの頭をポンポン叩きながら「格好いい! 格好いいのだぞ! ろりばばぁ!」と大喜びである。
「こら、やめないかロレッタ」
「デューイパパ、見たか、見たかっ! 格好いいのだぞ!」
「見たから、すまんが叩かんでくれんかね…………」
 同じ会場内――水心子 緋雨(すいしんし・ひさめ)天津 麻羅(あまつ・まら)櫛名田 姫神(くしなだ・ひめ)は観客席にて舞台を見ている。
「いやはや、懐かしいの……ロリババァ」
「あ、そっか。元々麻羅はロリババァだもんね」
「もう卒業じゃからの。あれは」
 遠い目をする麻羅。
「麻羅さん、またやればよろしいのに」
「だから卒業したのじゃて。それとも主がいくか? 櫛名田」
「…………殴りますよ?」
「冗談じゃ」
「まぁまぁ二人とも」
 緋雨たちの隣では同志たちを募ったノール・ガジェット(のーる・がじぇっと)がカメラを持って叫ぶ。
「同志たちよ! この距離ではまだ遠い! もっと近くに行かねばならない!」
「「うぉー!!!!」」
 怒号にも似た声がこだまし、数人の男たちが舞台前へと移動を開始した。
「なんか、あれはあれで面白いのぉ」
 含みをもって麻羅がニヤけ、ノールたちを見ていたことに、誰も気づくことはない。