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十人十色に百花繚乱、恋の形は千差万別

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十人十色に百花繚乱、恋の形は千差万別
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第四十五篇:霧丘 陽×フィリス・ボネット
「あれ? 蒼空学園? ワープでもしたのかな? とにかく荷物も置いてきちゃったみたいだし戻らないと!」
 気が付いたら蒼空学園の廊下に立っていた霧丘 陽(きりおか・よう)は急いで走り出した。すると――。
「うわっ!」
「きゃっ!」
 急いで走ったせいか、廊下の曲がり角から歩いてくる少女と陽はぶつかってしまった。
「わぁっ! ごめんなさい!」
 すると、少女は恥ずかしそうに告げた。
「転校してきたばかりで、道に迷ってしまったんです」
 すると、陽は自分の胸を叩いて快く言う。
「じゃあ僕が道案内してあげるよ」
 そして、陽は少女の顔を見てふと思う。
(なんだかどこかであった様な気がする子だけど、なんだかかわいい……ってなに考えてるんだろう僕は)

 数分前、蒼空学園のロッカールーム。
 フィリス・ボネット(ふぃりす・ぼねっと)はなぜか全裸で立っていた。
 陽を連れ戻しに『本』の中に入ったものの、気が付いたら全裸でロッカールームに立っていたのだ。
「何で全裸なんだ。さっさと着替えねぇと」
 とにかく、何か服を調達しようと、フィリスは眼前のロッカーを開けた。
「何で女物の服しかないんだ? しかたねぇ!」
 だが、入っていたのは女物の服だけだ。已む無く、それを着るフィリス。
「さっさと家に帰って服を取りに行く! この格好だったら多分ばれないぜ。女呼ばわりされるのは頭が痛いがとにかく迅速に――」 そう叫ぶと、フィリスはロッカールームを飛び出して全力疾走した。そして――。
「うわっ!」
「きゃっ!」
 急いで走ったせいか、廊下の曲がり角から歩いてくる少年と陽はぶつかってしまった。
(うぐっ!誰だ!陽!? や、やばい!ばれない様に何とかしてはぐらかさねぇと!)
 ひとまずごまかそうと、フィリスは恥ずかしそうな顔で少年――陽に告げた。
「転校してきたばかりで、道に迷ってしまったんです」
 そして、道案内をしてくれることになったものの、陽は無意識のうちにフィリスと手を繋いできた。
 顔を真っ赤にするフィリス。
「ご、ごめん……つい。恥ずかしかった、よね?」
 だが、フィリスの口をついて出たのは、本人すらも予想だにしない言葉だった。
「このままで……いいです」
 緊張に高鳴る胸を押さえながら、フィリスは胸中に呟いた。
(手をつなぐな! 恥ずかしさで胸が張り裂けそうだ! でもばれるのが怖い。ばれてないみたいだしこの機会に陽が俺に対してどう思ってるのか聞いてみてもいいな)
 そして、フィリスは陽に問いかけた。
「陽さんのパートナーってどんな人なんですか?」
 すると、陽は楽しそうに答える。
「え?一人目のパートナーってどんな人かって? 前向きで、明るくて、僕にはないものを持ってる気がしてすごくうらやましい。あこがれてるよ。でもがさつで乱暴で頭が悪いのがちょっとなぁ……」
 楽しそうに答える陽の言葉を聞きながら、フィリスの気持ちは複雑だった。
(うらやましいなんて思われてるのか少し嬉しい。でもがさつで乱暴で頭が悪いってどういうことだ! ぶっ飛ばすぞ!)
 そして、意を決したようにフィリスは口を開いた。
「がさつで乱暴で頭が悪くて……悪かったな!」
 いつも通りの口調で言うフィリス。その時、陽は自分が手を繋いでいるのが誰なのかを理解した。
「ってえぇ!? フィ、フィリスだったの!? ごめんなさい!悪口言うつもりはなかっただんだ!」
 そこで陽はふと気になって疑問を口にする。
「あれ? じゃなんで手を繋いだときに「やめて」って言わなかったの? うぇー。男同士だし、今思うと吐き気が……なんで銃向けてるの!? うわぁあああ!?」
 陽に銃を向けながら、フィリスは胸中に一言呟いた。
(でも、もう少し手をつないでいたかったな)