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ダイエット大作戦

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終章 『Delight(喜び)は勝者たちに』


「一週間経ちましたわ」
 運動に、食事に、ダイエットに奔走した三人。
「楽しかったね」
「色々災難続きでしたわ」
「だが清々しい」
 疲れているはずなのに顔は明るい。なぜなら、全員理想の姿へと変貌を遂げていたからだ。
 夜には食欲が勝ってダイエットを忘れてしまったりもしたが、結果としてそれ以上の減量に成功していた。
「それでは『静香・雅羅・アリサによるダイエット対決』の優勝者を発表させていただきますわ」
「いよいよだね」
 興奮を抑えきれない静香。
「まあ、私の勝ちよね」
 自信満々の雅羅。
「いや、祝賀会は私のものだ」
 勝利は渡さないと言い切るアリサ。
 ラズィーヤは三人のブレスレットを操作する。
「気付いている方もいらしたようですが、このブレスレットは累計報告をすることが出来ますの。勝敗はこの累計で決まりますわ。それでは、静香さんから聞いていきましょう」
 ブレスレットが今までの増減の合計を告げる。

【桜井 静香 −31キログラム】

「頑張ったよ!」
「意外といい数値を出しましたわね。雅羅さんは?」

【雅羅・サンダース三世 −31キログラム】

「あら、静香と一緒じゃない」
「これじゃ優勝者が複数出てしまいますわ。困りましたわね」
 困ったと言いながら、ニヤニヤ笑いが顔に浮き出るラズィーヤ。
「最後に、アリサさんは?」

【アリサ・ダリン −32キログラム】

「よしっ!」
「優勝はアリサさんでしたか」
 惜しくも負けてしまった二人。悔しさはあるけれど、素直に賞賛の声をかける。
「やったねアリサさん!」
「悔しいけれど祝福するわ。おめでとう」
 コーチをした面々からも歓声が上がる。
「皆のおかげだ。ありがとう」
 殊勝に頭を下げるアリサ。
「これで祝賀会の参加権は私のものだ」
「ええそうですわ。それに特別賞も」
 ここで初めて伝えられる特別賞の存在。
「何だそれは? 聞いてないぞ?」
「言ってませんもの、当然ですわ。でも、参加者の皆様は知っておいでですのよ」
 大会チラシを三人に見せる。そこに書かれていた内容。
『もっとも体重を減らすアドバイスをしたコーチには、優勝者からのほっぺにチューを贈呈いたします』
「こんな賞品があったの!?」
「アリサはこれでいいの!?」
 狼狽する静香と雅羅だが、当の優勝者アリサは涼しい顔。
「別に構わない」
「淡白ですわね」」
「最大級の協力してくれたんだ。礼を返すのは当然だ」
 その言葉を聞いた静香と雅羅は目を合わせ、
『そうだよね』
 アリサの言葉に同意した。
「これが静香さんか雅羅さんでしたら面白いことになっていたかもしれませんのに……仕方ありませんわね」
 小声でこぼすが、気を取り直して受賞を進める。
「さあ、優勝者は寛大に了承してくれましたわ。この賞を受け取るのは――」
 受賞者が前に出る。
「斉藤ハツネさん、天神山保名さん、天神山葛葉さん、斉藤時尾さんですわ」
「多いな」
「彼女たちの助力が一番の功労でしたの。授与をお願いしますわ」
 アリサは最初にハツネの頬にチュー。
「くすぐったいの……」
 保名にチュー。
「ふはは、ありがとうじゃ。今度こそ継承させてやるのじゃ」
「マッサージだけにして欲しいものだ」
 葛葉にチュー。
「あっ、えっ、ど、どうも!」
 頬を紅く染め上げる。
 時尾にチュー。
「ありがとうさね」
 よしよしとアリサの頭を撫でる。
 四人とも嬉しそうな表情。
「特別賞の授与も終わりましたわね」
 この後、勝者たちが向かうのは祝賀会だ。

 そしてやってきた会場。
 豪華絢爛に飾られたホール。テーブルの上に並べられた芳香漂わせる料理の数々。ヴァイシャリー家の裕福さが伺える。
 その一角に『スペシャルメニュー』と書かれた場所があった。
「これは何だ?」
「シャンバラ学生の本格料理人によるダイエットメニューですわ。今大会の締めとしては相応しいでしょ?」
 そこには周りと比べても見劣りしない料理が披露されていた。
「本日のスペシャルメニューを担当したシェフをご紹介しますわ」
 ラズィーヤの呼びかけで、一人の男が姿を見せる。
「包丁を握らせてもらった涼介・フォレスト(りょうすけ・ふぉれすと)だ」
 普段のぼさぼさ髪をコック帽に納め、料理人然としている涼介。家令のスキルが拍車をかけている。
「私の用意した料理のテーマは『美と食』だ。ダイエット大会の祝賀会に相応しい料理。今回のメニューはこれだ」
 料理に視線を向ける。
「スープは『牛蒡のポタージュ』。サラダは『人参と南瓜と蕪とキャベツとブロッコリー、蓮根を使った蒸しサラダ、自家製ゴマドレッシングと共に』。共に食物繊維豊富で美容と健康に適しているんだ。そしてメインに『白身魚の香草焼き』と『チキンソテーきのこソースで』。白身魚は脂分の少ない平目を使用した。最後はデザートに『林檎のソルベ』だ」
 まさにフルコースな内容。
「食事によるダイエットは続けることが基本、美味しくなくては続かない。だから腕によりをかけて作ったんだ。暖かいうちに召し上がれ」
 見ているだけで食欲が増してくる。その上、ダイエットや美容に最適ときた。
「さあ、アリサさん。まずは優勝者が食べないと、誰も箸を付けられませんわ」
「そうだな」
 前菜を一口、口に運ぶ。
「美味い」
「ありがとうございます」
 称賛に一礼する涼介。
「うう、美味しそうなのに……」
「食べられないなんて、拷問に等しいわ……」
 優勝者特典の祝賀会。そこに「勝負は僅差でしたし、参加は許して差し上げますわ」とラズィーヤの計らいでやってきた静香と雅羅だが、条件としてスペシャルメニューを取ることは禁止されていた。
「これはどう考えてもラズィーヤに乗せられたわね……」
「そんなことはありませんわ。禁止したのはスペシャルメニューだけですもの」
「僕たちも食べられたら、特典じゃなくなっちゃうよね」
「そういうことですわ」
 そして、全員に声を掛ける。
「さあ皆様。料理はこれだけではございませんわ。存分にご堪能くださいませ」
「どれから食べるか迷うな」
「僕はあっちにいってみるよ」
「私はデザートを確認してきますわ」
 目移りするほどの豪華料理。皆の食欲は最高潮。
 ここまでの流れは完璧。してやったり顔のラズィーヤ。
「これで料理に舌鼓を打たれ、普段より食べる量が増えますわね。このまま行けば――」
 しかし、それらの行動を思い留まらせる発言をした者が現れる。
「本当にそれを食べるのか?」
 朝霧 垂(あさぎり・しづり)
 アリサと同じく男勝りな口調の彼女。ここへやって来たのは、ラズィーヤの真意が気になったからだ。そして、ようやく見えてきた結末。
「もし食べるのであれば、今まで何をしてきたのか、胸に手を当てて考えるといい」
 今までやってきたこと。
 それはダイエット。
 そして、それに伴う運動や食事制限。
「極端な運動と食事制限を行うと、体は不思議なことに栄養の吸収率を上げてしまう。そこで高カロリーの食事を取るとどうなるか」
 そう、よく言われる『リバウンド』だ。
「もしかして……」
「静香もそう思います?」
「私も同じ考えだ」
 今回の大会。主催はヴァイシャリー家だが、立案はラズィーヤ。彼女の性格をよく考えると見えてくるDの意味。
「ダイエットの邪魔をする(Disturb)こと……」
「この祝賀会も……」
「リバウンドのためとしか考えられないな」
「あらら、気付かれてしまいましたわ」
 真相を明かされたラズィーヤ。
「手の込んだ真似をしたものだ」
 嘆息をこぼす垂。もう一つ質問を投げる。
「特別賞を黙っていたのはなぜだ?」
「お三方がとても可愛らしかったからですわ。それはもう、いぢめたい位に」
「真正のSだ……」
「もうここまで言われてしまうと、リバウンド計画は流石に無理ですわね」
 一番の目的である『前より増えた体重に苦悩する姿』が見られなくなり、残念がるラズィーヤ。
「ですが、大会中に可愛らしくあたふたした姿が見られたので良しとしますわ」
 ラズィーヤは何気なく料理を口に運ぶ。
「美味しいわ」
 その傍らに忍び寄り、アリサは手首にブレスレットをはめた。

【ラズィーヤ・ヴァイシャリー +3キログラム】

「な!?」
 リバウンドを促すため、スペシャルメニュー意外は高カロリーにしてある。
 ダイエットなどしたことがないラズィーヤ。裏返せば、体重に対しての危険察知に疎いともいえる。
 そして、自分には降りかからないであろうと高をくくっていたのが災いした。
「そなたもダイエットするべきだ」
 頭を過ぎる過酷な訓練(Discipline)の数々。
「嫌ですわーーーー!」
 ラズィーヤの叫びが木霊した。


■■■

 ダイエット。
 それは一日にして成りえません。
 重要なのはDaily effort(日々の努力)なのです。


担当マスターより

▼担当マスター

Airy

▼マスターコメント

 ご参加ありがとうございました!
 シナリオ『ダイエット大作戦』を担当させていただきましたAiry(えありー)です。

 リアクションが遅れてしまったこと、深くお詫びします。
 申し訳ございません。

 シナリオガイドから難解な部分が多く、皆様の頭を悩ませたことかと思います。
 それでもこうして多数の方に参加いただけたこと、心からの感謝を申し上げます。
 本当にありがとうございました。

 さて、こうして結末を迎えたわけですが、いかがだったでしょうか?
 単純に人数が多いからといって優勝できる大会なわけではなく、ちょっとしたことがあらぬ方向へと行ってしまう、そんな内容に仕上げました。

 また、頂いたアクションにはさまざまな知識が書かれており、大変参考にさせていただきました。
 面白い内容も多く、騒動がたくさん起きてしまっています。
 読んでいただいた皆様にも、顔を綻ばせてもらえれば幸いです。

 それではまた次のシナリオでお会いできることを願って、締めとさせていただきます。