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【冬季ろくりんピック】雪山モンスター狩り対決

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【冬季ろくりんピック】雪山モンスター狩り対決

リアクション

「あちきらの主な獲物は〜っ」
「猪ねっ!」
「は、はいですっ!」
 レティシア・ブルーウォーター(れてぃしあ・ぶるーうぉーたー)ミスティ・シューティス(みすてぃ・しゅーてぃす)に連れ出されたのは、英照を助っ人に呼んだマグナのパートナーである近衛 栞(このえ・しおり)であった。
「あそこはリブロさんとか英照さんが楽しく戦略を練って展望を想像してニヤニヤしてるし、栞さんもこっちであちきらの手伝い、ねぇ〜」
「はい、掘る掘るぅ〜!」
「が、頑張りますっ!」
 レティシアが用意した落とし穴キットを使って、テキパキと穴を掘り始める2人に倣って、栞も必死に雪を掻き出す。
「寒い雪山に猪鍋――これこそ冬の醍醐味、必須、必需」
「お肉楽しみだよね! 栞さん菜食主義とかじゃないよね?」
「あ、大丈夫です。私もお肉大好きです」
 和気藹々――。
「そう言えば、栞さんのパートナーは?」
「えっと……ちょっと重すぎるので、二次災害を巻き起こしかねないくらい……。だから不参加です」
「あちきらもお肉食べ過ぎて太らないようにしないとねぇ〜」
「今いっぱい運動してるから大丈夫よ」
「罠を作るのって、意外に大変ですね。でも本当にダイエットになりそうです」
 和気藹々――。
 ガールズトークっていいですね、なんて言ってないで、注意してあげろよお前――ととある誰かが注意を促せれば良かったのだが、ここには3人しかいない。
『アッ――』
 落とし穴キットでの罠がついに完了した。
 それは大きな大きなドーナツ型の罠で、その中央には彼女ら3人。
「ちょ〜っと、お喋りに夢中になっちゃったねぇ〜」
「飛ぶ? 飛んじゃう?」
 ミスティはそう提案するが、これは見ようによれば――、
「私達が餌……ですね」
「余計それじゃあマズイよねぇ〜。ちょっと待ってねぇ」
 栞がハッキリと現実を突きつけると、レティシアは2匹のニャンルーを召喚し、トラップの向こう側に放とうとして――地平線に上がる白雪の煙を見た。
 煙を立ち上げるのは向かってくる猪、猪、猪――。
 ニャンルーを穴の向こう側に飛ばして、自分たちが飛んで届かない場合にキャッチしてもらおうとしたのだが、どうやらその暇もないようで、それ以前にニャンルーが見事に竦んで震えていた。
「やるしかないか〜」
 レティシアが構え、それに続きミスティと栞も態勢を整えた。
 迎えるは片手ではきかない突撃猪の群れ――。
 いざ――ッ!
『あ……』
 我が名は『突撃』猪――愚直と言われようとも敵へ突き進み突き飛ばす獣。
 そして、芋づる式に落とし穴に降下していった我らは――美味しく食される肉である――。

 レティシア・ブルーウォーター、近衛 栞組、小型モンスター20点――。



 ――西シャンバラ・洞窟エリア1――



「さて、この東 朱鷺(あずま・とき)が参ったからには――」
 白虎に跨った朱鷺が狭い通路で構成された洞窟エリアを駆け抜けていた。
 そして早々に出会った氷小龍の群れと、鍾乳洞のように尖った柱の森をジグザグに互いに抜けながら追い駆けあっていた。
「遠慮なく狩らせていただきますッ」
 2本の刀を手に持てば自然と力が湧き上がる己の血――。
「フッ――!」
 先行する朱鷺が刀を柱に振るうと、それが綺麗な斜めの切れ目を走らせるとともにズレ落ち、追い駆ける1匹の氷小龍の進路を防ぎ、這うように横たえた身を縦に起こした。
 グォと唸る白虎が、それを合図に大きく弧を描きながらターンすると、自身よりも高く大きい氷小龍に向かって――目の前の崩れ落ちた柱を飛び越え――襲い掛かった。
 氷小龍の爪での攻撃を白虎が払い、もう一方の手を朱鷺の一刀が切り落とし、
「まず1匹ですッ! そして……ッ!」
 二刀目が横薙ぎで龍の首を斬り落とした。
「2匹目ッ!」
 朱鷺目掛けて低空で滑ってきた氷小龍を白虎の上で仰け反りながら避け、すれ違いざまにたてた刃で真っ二つに切り裂いて見せた。
「さて、それでは土産でも見繕い始めますか」
 助っ人として真田 佐保(さなだ・さほ)を呼び寄せきれなかったことも関係なく、白虎の首筋を力強く撫でながら、朱鷺はそんな余裕を見せて、仲間達への土産として残りの氷小龍を呆気なく切り結んだ。

 東 朱鷺、小型モンスター10点――。



 ピッ――!
 カウントが20:00から19:59へとダウンを開始し、これより中盤戦へと差し掛かろうとしていた。