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荒野のピストルランチ!

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荒野のピストルランチ!

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酒場の中はマイペース

 広い酒場の店内。それぞれが思い思いにランチを楽しんでいる。

 あちこちからいろいろは話し声が聴こえてくる。
 例えば、仕事でマスターとの情報取引をしていた佐野 和輝(さの・かずき)アニス・パラス(あにす・ぱらす)スノー・クライム(すのー・くらいむ)

「アニスが人見知りをするので、出来れば一つのテーブルを3人で使わせてもらいたい」
「なら、あそこだな」

 マスターは部屋の隅の方を指さす。
 和輝たちはその指さされた席に着いた。

 またある場所では、世界征服についての思いの丈を語っているドクター・ハデス(どくたー・はです)を対して適当に相槌打ったり、ツッコミ入れながらひたすら注文をしていく紫月 唯斗(しづき・ゆいと)がいた。

「よいかね、諸君! そもそも、この世界は、悪の巨大秘密組織『パラミタン』によって、裏から牛耳られているのだ!」
「あ、ナポリタンとチョリソー、大盛りで」
「パラミタンは、シャンバラ王国や各学校、そして地球の各国政府すらも動かすほどの影響力を持つ、謎に包まれた組織で、その歴史は、人類の誕生にまで遡る!」
「そーだなー、ベーコンとポテトのドリア、大盛りで」
「パラミタ大陸におけるすべての事件も、奴らが背後から糸を引いていたのだ!」
「成程なぁ、チーズとトマトのサラダ、大盛りで」
「だが、彼らパラミタンによる世界統治機構を、いつまでも許すわけにはいかん! 人々は、パラミタンの支配から逃れて、自由にならなければならないのだ!」
「自由にね。マスター、炒飯辛目と麻婆豆腐、それと餃子二皿」

 ハデスが熱弁をふるっていると、ドアが開きクエスト帰りのグラキエス・エンドロア(ぐらきえす・えんどろあ)ロア・キープセイク(ろあ・きーぷせいく)ベルテハイト・ブルートシュタイン(べるてはいと・ぶるーとしゅたいん)が入ってくる。

「マスター、さっき荒野で手に入れてきたこの肉で料理してほしい」
「調理法は?」
「煮込みで」

 グラキエスが持って来た何かの肉を受け取り、奥へ消えるマスター。
 厨房から凄まじい咆哮やら戦闘音が聞こえてくる。

「すごく活きの良い肉が手に入りましたね」
「そ、そうだな……。しかしグラキエス、本当にあれを食べる気か?」
「もちろん! 凄く美味しくて好きなんだ」
「何? 好物なのか!?」

 グラキエスの好物を知った事を喜ぶベルテハイト。

「でもよ、今回の依頼は結構大変だったよな」
「今日も頑張りましたね、エンド。偉いですよ。頑張ってお腹すいたでしょう? もう少ししたら出来あがりますからね」
「キース、グラキエスを撫でるのは私だ!」

 グラキエスを褒め、頭を撫でるロアに負けじとベルテハイトも撫でだす。
 そこへ出来あがった、何かの肉の煮込みを持ってマスターが戻ってくる。

「おぉ! きたきた」
「あ。マスター、これに合うワインをを頼む」

 ワインが出され、グラキエスは腹ペコの子供のようにガツガツ食べ始める。

「さて、食事を更に美味にさせる演奏を始めようか」

 ベルテハイトは古いリュートを取り出し演奏しようとしたところ、マグナ・ジ・アース(まぐな・じあーす)と一緒に来ていたリーシャ・メテオホルン(りーしゃ・めておほるん)が光状兵器の狩猟笛を持って寄って来る。

「ねぇ、あなた今から演奏するのよね? 私も一緒に演奏しても良いかしら」

 リーシャを受け入れ、二人でジョイントすることになった。
 辺りにはうるさくない程度のBGMが響き渡る。

「マスター! 俺、ハンバーグと、ステーキと、豚の角煮な!」
「まったく。クライブ、肉ばかりではバランスが取れませんよ!」
「お前は俺の母親かよ。……い、良いんだよ! 肉は俺のパワーの源だしな! お前こそ、昔から野菜ばっかじゃん!」
「僕は、ベジタリアンだから良いんだよ」

 即席ライブが始まった場所とは別の場所では、幼馴染のクライブ・アイザック(くらいぶ・あいざっく)と一緒にランチを取りにきていたアラン・ブラック(あらん・ぶらっく)が肉食派と草食派とで言い合いになっていた。


「美味しいランチが食べられるから連れてけーとクマラにねだられて来たんだけれど。普段あまり体験できない雰囲気のお店だな」

 辺りを物珍しそうに見ているエース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)

「ランチはオイラの嗜好の時なんだよっ。あっ間違えたっ。至高のひと時なんだよっ!」
「どういう間違いしてんのよ」

 クマラ カールッティケーヤ(くまら・かーるってぃけーや)は言い間違いを自分で修正し、リリア・オーランソート(りりあ・おーらんそーと)がそれに突っ込む。

「そんなことはどうでも良いだろ。俺とリリアにワインを、クマラは未成年だらお酒禁止。あと俺にサーモンのカルパッチョ・ヒレ肉のステーキ・あとサラダも」
「わかってるよー。オレはみっくすジュースとお子様ランチを下さいっ。ちゃんとドライカレーは山にして、頂上に旗立ててネ☆ 唐揚げとしゃきしゃきのキャベツ千切りにマッシュポテトを添えて、デザートはミニゼリー味を変えて3種ぐらい! おもちゃのミニ飛空艇も忘れちゃヤだよ☆」
「リリアはどうするんだ? 何を頼んでも良いんだぞ」
「それなら私じゃがバター頼んでみよっと。以前何かのお祭りで食べたら美味しかったのよ。ふふ。」

 ワインを傾けるエースとリリア。
 じゃがバターとサーモンのカルパッチョ・ヒレ肉のステーキ・サラダを二人でつついている。
 クマラはミックスジュースを飲みつつお子様ランチをあっという間に完食してしまう。しかし、まだ食べたりなさそうな表情をしてメニューを開いた。

「クマラ、お前はどれだけ食べるつもりだ」
「食べ盛りのオイラには、それだけだと物足りないナ」
「育ち盛りって出会ってからお前身長も体重も全く変わってないじゃん」
「マスター! ここのメニューのこっからここまでも!」

 クマラがどんどんメニューを頼んでいく為、テーブルにはぎっしりと料理が並んでいく。

 クマラたちのテーブルがいっぱいになっている中、フレンディス・ティラ(ふれんでぃす・てぃら)に片思い中のベルク・ウェルナート(べるく・うぇるなーと)をデートに誘ってここにやってきた。

「あれ、護衛相手はどこなんですか?」
「……まぁ良いじゃないか。好きな物を頼めよ」
「マスター本当ですか!? で、ではお言葉に甘えまして。お店のマスターさん! 私はその…満漢全席ランチをお願いします!」

 嬉しさの余り超感覚が発動し、尻尾を振りながら注文するフレンディス。

「私、一度中華料理という物を食してみたかったのです」
「……おい待てフレイ。満漢全席でランチとか意味解らねぇぞ!? てぇかそもそもあるのか?」
「あるよ」

 マスターは厨房から満漢全席ランチを持って来る。

「あんのかよ! ……あぁもう良い。マスター、俺に珈琲をくれ」

 満漢全席ランチにどこからツッコミいれたら悩みながらも、珈琲を飲むベルク。
 それでも、彼なりに幸せな一時を過ごしていくようであった。


「おっちゃん、メロンクリームソーダってある?」

 カウンターに着いて早々に挑戦的な顔つきでアキラ・セイルーン(あきら・せいるーん)はメロンクリームソーダを注文する。
 すぐメロンクリームソーダが出てくる。

「やっぱあるよね、これくらい! それじゃ、次は恐竜の肉のステーキ!」

 恐竜の肉のステーキもそう時間はかからず出てきた。

「うん! 厚い肉でボリュームたっぷりしかもうまいね!!」

 もくもくと恐竜の肉のステーキを食べていくアキラ。食べながらも次はどんな無茶ぶりをしようか考えている。