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変態紳士の野望

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変態紳士の野望

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二章 ギリギリアウトのキャットファイト


 服が溶けて恥ずかしがる者もいれば、気にしない者もいる。
 そんな人間たちがいるのだからその状況をあえて楽しもうとする輩も出てくるのである。
 神月 摩耶(こうづき・まや)はそんな中の一人だった。
 変態たちが目の前にいるのも気にせずに摩耶は同じように服が溶けてしまったクリームヒルト・オッフェンバッハ(くりーむひると・おっふぇんばっは)にピタリと肌を密着させる。
「ちょ……まや、そんなにくっつかないで……動きにくい」
「ふふふ、いいじゃないクリムちゃん。あそこの人たちに見せつけようよ。ほら……穎姉様とミムちゃんもおいでよ」
 クリムが顔を真っ赤にしていると背後に董卓 仲穎(とうたく・ちゅうえい)が回り込み、摩耶の反対側でミム・キューブ(みむ・きゅーぶ)が抱きついてきた。
「ちょ、二人もなにしてるのよ……!」
 何とか逃れようと身体をよじるクリムだったが、摩耶たちの柔らかい肌が身体を擦るたびに抵抗を止めていく。
 抵抗が少なくなったのを見て、董卓は薄い笑みを浮かべながらクリムの脇の下から手を伸ばして優しい手つきで胸を撫でる。
「あぅ……。や、穎……手つきやらしぃ……」
「うふふ、敏感ねぇ……ほら、あそこの男たちも飢えた獣みたいな目で見てるわよ」
「やぁ……見ないで……・!」
 クリムは董卓を撫でられる度に身体をピクリと反応してしまい、羞恥から頬を染めていく。
 追い打ちをかけるように摩耶はクリムの太ももに手を滑らせる。
「や、やだ! 摩耶、どこ触ってるのよ……!」
「クリムちゃん、ふとももスベスベ〜……ほら、あの人たちにも見せてあげようよ」
 摩耶はクリムの膝の裏に足を入れて強引に座らせると、そのまま力任せに足を開かせた。
 服が無い状態で両足を開かされたクリムは男たちの飢えた目を見てしまい、動かない身体をくねらせる。
「や、や……! これ以上はダメ……・! 恥ずかしくて死んじゃう……!」
 クリムは泣きそうな顔を見せても董卓と摩耶は嬉しそうな笑みを浮かべるだけだった。
「やだ、クリム様ったらはしたない」
 トドメを刺すように耳元で囁いた。
 羞恥心が元々薄いミムは大股を開いているクリムの足の間に入ると、四つん這いになって嬉しそうに腰を振って、身体に抱きついてくる。
「お姉ちゃん、恥ずかしいなら隠してあげるー。お姉ちゃんの肌すべすべで気持ちいいのー」
 ミムはクリムの身体に自身の身体を当てて、全身で撫でるように這い回り、胸に舌を這わした。
「み、ミムまで! あ、ああ……ダメ、こんなのって……はあぁぁ……」
 舌が胸をなぞる度にクリムから甘い声が漏れる。
 その光景を見て、我慢できなくなった男たちが隊列を崩して誘われるように近づいて行った。
「お、おい……隊列を崩すな!」
「いいじゃないか、少しくらい楽しもうぜ……」
 男たちは浮ついたような足取りでクリムたちに近づいていき、
「かかったな……! いけ、リイム!」
 廊下と繋がっている部屋で息を潜めていた十文字 宵一(じゅうもんじ・よいいち)リイム・クローバー(りいむ・くろーばー)をけしかけた。
 宵一はリイムに潜在解放を施すと、リイムの身体能力を向上させ、敵にホワイトアウトを放った。
「うおおっ!?」
 突然のことに変態たちは視界を奪われてその場に立ちすくむ。
 見えなくなった目で周囲を見渡していると、その隙をついてリイムは神狩りの剣で死なないように絶零斬を放った。
「ぎゃああ!」
 突然身体に冷たさと痛みを感じた変態は一斉に鳥肌を立てて倒れていく。
「くそ! どこだ? どこにいる」
 変態たちは敵の気配を感じて拳をデタラメに振り回す。
 素っ裸の男たちが全力で拳を振り回すという奇怪すぎる光景にリイムは尻込みして、後ろに二歩三歩と下がってしまう。
「リイム、大丈夫だ! 敵にはお前の姿は見えてないぞ!」
「うう、気持ち悪いでふ……」
「確かに気持ち悪いが、尻込みしてる場合じゃないぞ!」
 宵一は叫びながら変態たちに氷術を仕掛ける。
 男たちは気温が下がっていく廊下で色々と縮こませながらその場に固まってしまう。
 そこに火炎放射器とパワードスーツを装備した桐生 円(きりゅう・まどか)が宵一と同じ部屋から出てきた。
「ひゃぁ! 汚物は消毒だー!」
 楽しそうに叫ぶ円は変態たちに火炎放射器を向けると、変態たちは炎に包まれる。
「ぎゃあああああああああ!?」
 目の見えないうちに寒さと皮膚を焦がすような熱さを体験した変態たちはまるで踊っているかのように跳ね回る。
 服を着ていないから燃えるものはないが、吐き出される炎からは逃れられず死の舞踏は続いていく。
「お前たちのせいで恋人の服が溶けちゃったんだぞ! 反省しろ! 逃げるのは悪い変態だ! だまって焼かれるのはいい変態だ! 妄想するのは勝手だけど、実際に行動するおバカさんは丸焼きになっちゃえー!」
 メチャクチャなことを言いながら円は変態たちを業火に包む。
「うう、あの人怖いでふ……」
「バウンティハンターの仕事ってのは楽なことばかりじゃ無いってことだ。しっかり覚えときな」
「はいでふ……」
 リイムが何となく変態たちを見てしょんぼりしていると、円も火炎放射器を止める。
 廊下のあちこちにはまだ小さい残り火があったが、それよりも廊下のど真ん中で半焼けになって倒れてる変態たちにどうしても目がいく。
「ま、死なない程度に焼いたから多分大丈夫でしょ」
「戦闘不能になればそれでいいさ。さて、さっさと次を狩りに行こう。リイムにはまだまだ教えないと行けないことがあるからな」
「ふぅん? それはいいけどさ、あそこの人たちはどうするの?」
 円がクリムたちを指さした。
 戦闘している間もまだ四人は楽しんでいたようで、氷術で気温が下がったにも関わらず四人の頬は上気していた。
 それを見て、宵一は咄嗟に目をそらす。
「すまない……部屋にまだ着れそうな服があったはずだから着替えさせてやってくれ」
「うん、了解了解」
 円は軽い調子で了承すると四人に近づいていく。
「はいはい、盛り上がってるところ悪いけど移動するから着替えてね」
 円に言われて四人は残念そうな顔をすると、立ち上がって部屋へと入っていく。
 まともな女の子がいてよかったと宵一は少し安心しながら、五人が部屋から出るのを待った。