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海で楽しむ遊びと仕事

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海で楽しむ遊びと仕事

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 オルフェリア達と別れた後。
「何か疲れたよなぁ」
「だよな」
 お菓子を食べ切っても双子はまだ散歩をしていた。
 その時、
「双子、双子、こっちだ」
 双子を手招きする孝明の声。
「!!」
 足を止め、声のする方を確認するなり背を向け、そのまま通り過ぎようとする。
「おい、何見なかったフリをしているんだ」
 孝高のツッコミが鋭く双子の背中に突き刺さり、
「……」
 双子は肩をビクつかせながら急停止。
「大丈夫なのだ。ほら、我たちとスイカを食べたり遊んだりするのだ。わたぼちゃんもいるのだ。それに白もこちゃんが双子ちゃんに会いたかったのかついて来たのだ」
「ピキッキュ、ピキュピキュ!(双子のお兄ちゃん、わたぼとスイカを食べよう!)」
 双子の心のケア担当に薫とわたぼちゃんが優しく話しかける。薫の横には白もこちゃんがいた。
 そして、
「ヒースーミ、キースーミ」
 双子を見て白もこちゃんが口と表情を動かさず喋り出した。
「!!」
 驚いた双子はちろりと背後を振り返るが、熊親子がいるためか近付かない。
「ほらほら、何もしないからおいで」
 孝明は双子の反応を面白がりながら手招きをする。
「……」
 双子は無言で薫達に近付いた。
「ほら、一緒にスイカ割りをしないか? こういう風に短剣を突き立てて」
 孝明は魔術師殺しの短剣を取り出したかと思ったらスイカに突き立てた。それもにこやかな顔で。
「おい、それわざとか!!」
 ヒスミが悲鳴じみた声を上げ、スイカを指さした。感じ取る必要のないものを感じ取った模様。
「え? 違う?」
 孝明は軽く首を傾げながら返答する。本当に知らないのかわざとなのか表情では読み取れないが、双子は完全にわざとだと受け取っていた。
「オレ達の頭をそのスイカのようにかち割るという脅しか!!」
 キスミは青い顔で声を荒げる。すっかり脅しだと思っている。
「いやいや、君たちの頭を割るつもりはないからね?」
 孝明は笑って短剣を抜いて片付けながら言った。
「……被害妄想が激しいな」
 原因は自分達だと知りつつ孝高は双子を見てぽつりとつぶやいた。
「わたぼちゃん、スイカを割って食べようなのだ」
 薫は何とかこの場を和ませようと頑張る。
「ピッキュ、ピキュキュウ(わたぼが、スイカを割ってあげるね)」
 わたぼちゃんは『サイコキネシス』で綺麗に人数分割って渡した。
「ありがとな」
 双子は、わたぼちゃんに礼を言い、スイカを持って薫とわたぼちゃんの近くに座り、頭上を飛び回ったり周りを歩き回りながらふんふんとにおいを嗅ぐ白もこちゃんを目で追っていた。
「ほら、良かったら白もこちゃんにもスイカを食べさせてあげて欲しいのだ。きっと喜んでお礼を言ってくれるかもしれないのだ……滅多に聞けない人間語で」
 薫はにこにこと双子の好奇心を刺激する。今までの事から双子が何に興味を持つのかは知っている。
「人間語って、さっきのやっぱり白もこちゃんだったのか」
「喋るのかよ」
 双子は好奇心に目を輝かせ、スイカを食べさせるのだった。
 白もこちゃんはスイカにくいつき、
「ふーたーご、ありがと」
 礼を言った。
「おわっ、口動いてなかったぞ」
「すげぇ」
 双子は楽しそうに白もこちゃんを眺めていた。
 そこに
「ピキュピキュウ、ピーキュ(双子のお兄ちゃん、わたぼにもスイカ食べさせて)」
 わたぼちゃんが可愛らしくやって来て双子の膝に乗った。
 そして、
「ピーィ(あーん)」
 口を開けておねだり。
「ほら」
 何を言っているのか分からぬが行動で察した双子はスイカを食べさせた。
「ピキュピキュ(ありがとう)」
 わたぼちゃんは嬉しそうに鳴いてすりすりした。
「このもふもふすごいよなぁ」
「ロボットだっていうの忘れるぜ」
 双子は嬉しそうにわたぼちゃんを優しくもふもふした。
「実はわたぼちゃん、海が初めてなのだ」
 薫は微笑ましそうに双子の様子を眺めながら言った。
 途端、
「本当かよ。スイカ食べるだけじゃもったいないじゃん!!」
「だよな。いくらスイカが夏を象徴してるって言っても遊ばねぇと!!」
 双子は血相を変えた。
「おい、また新たな騒ぎを起こすつもりか」
 孝高が厳しい声で釘を刺す。ようやく騒ぎが収まったのにまた問題を起こされてはかなわないので。
「起こしたらその時は……ね?」
 孝高と違って孝明は穏やかな物言いだが、目の奥はそうではなかった。
「!!!」
 下手な事をしたらスイカのように割られると察知した双子は硬直した。
「心配無いのだ。孝高と孝明さんはここでお留守番するのだ。でも我は一緒に行くのだ。それで何するのだ?」
 薫は必死に双子を励ました。ただし監視として付いて行く事は忘れない。
「……浜辺で遊ぼうかと」
「……ボートを借りたりとか」
 双子は先ほどの怯えが抜けないまま小さな声で答えた。
「ピキュピキュッ!(全部しよう!)」
 わたぼちゃんは楽しそうに鳴いた。
「わたぼちゃん、全部したいと言ってるのだ。ほら、遊ぶのだ」
 薫は笑顔でわたぼちゃんの言葉を伝えた。
 わたぼちゃんの言葉を聞いた途端、
「おう、行くぞ」
「よし、ボート借りて来る!」
 双子は元気に遊ぶ準備をしに行った。
 そして、戻って来るなり薫とわたぼちゃんと一緒に海を楽しんだ。
 孝高と孝明はスイカを食べながら双子から目を離さず、監視し続けていた。