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学生たちの休日13+

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学生たちの休日13+

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    ★    ★    ★

「ふーう、思いっきり食べましたわ」
「ええ、満足です」
 お土産のチョコレートまでもらって、お店から出て来たエリシア・ボックと御神楽舞花が満足そうに言いました。
「あれ? なんか飛んでくよ? あれって、ヴィマーナ?」
 ふと見あげた空に、銀色の飛空艇が飛び去っていくのを見て、ノーン・クリスタリアが指さしました。
「そんな馬鹿な。どれどれ?」
 すぐにエリシア・ボックが見あげましたが、すでに飛空艇は見えませんでした。
「イルミンの方へ飛んでったみたいだったけど……」
 ノーン・クリスタリアが小首をかしげます。
「確かめた方がよろしいのでは?」
「分かりましたわ。イルミンへゴーですわ!」
 御神楽舞花の言葉に、エリシア・ボックが急いで魔女エリシアの移動工房に乗り込んでいきました。

    ★    ★    ★

『――というわけでして。こちらはこちらで捕まえられるようなんとかやってみますが、よければ力を貸していただければと……』
 マルコキアスの中でスープ・ストーン(すーぷ・すとーん)と共に待機していた源 鉄心(みなもと・てっしん)が、テレパシーでテンコ・タレイアに状況を説明しました。
 いったんは退けたコウジン・メレですが、劣勢を挽回するためにメイちゃんたちを襲ってくるのは明白です。とはいえ、たかがイレイザースポーンと言うことで、イルミンスールではあまり危険視されていません。そのため、源鉄心は人手が足りないと考えていたのでした。倒すだけであれば難しくはありませんが、逃がさないように包囲して、なおかつ寄生されているコウジン・メレを無傷で救い出すには、工夫と人手がいると考えたからです。イコンに乗っているのも、いざというときに逃がさないためでした。
『――もしよければ、イコンで迎えに行きますが』
『――それに関してはあ、すでに迎えの者が来たそうでえ、そちらにむかっていると言うことですわあ』
 テンコ・タレイアからは、ちょっと予想外の返事がありました。事態は迅速に動いているようです。
『――じゃあ、テンコさんたちも一緒にこちらへむかっているんですか?』
『――いいえ。私たちはあ、散楽の翁様の御命令で鷽の巣にむかっていたんですけれど……』
 ちょうど、テンコ・タレイアは、タンサ・メルポメネチュチュエ・テルプシコラテンク・ウラニアたちと共に、散楽の翁の命令で鷽の巣がある島の調査にむかっていたのでした。
『――島がなくなってるんですよお』
『――ええっ!?』
 テンコ・タレイアの思念に、源鉄心がなんでと叫びをあげました。
 もともと、鷽の巣があった島は時空転移したヴィマーナ母艦の墜落場所で、そのときに雲海に突き出していた岬が、衝撃で割れて島になった物でした。大きな島はそのまま気流に乗ってしまい、彷徨える島としてパラミタ大陸を周回する軌道に乗ることになります。残った小さい島は、鷽の巣として安定した空域にあったはずなのですが……。
『――わたしたちはあ、引き続きその調査をするので、そちらへは行けません。きっと、散楽の翁様がなんとかしてくださいますから、そちらの指示に従ってください。ではではー』
 そう答えると、テンコ・タレイアが接続を切りました。
「それで、たっゆん殿は来るのでござるのか?」
 サブパイロット席にいたスープ・ストーンが、期待に満ちた目で源鉄心に訊ねました。
「こない」
 ドきっぱりと、源鉄心が言いました。
「な、なぜ、拙者のやる気を粉砕するようなことを……」
 ガックリと肩を落として、スープ・ストーンがイコンの外が映っているモニタを見ました。
 外では、なぜかティー・ティー(てぃー・てぃー)イコナ・ユア・クックブック(いこな・ゆあくっくぶっく)たちが、ミニうさティーやミニいこにゃたちを総動員して、なぜか鍋パーティーを開いています。メイちゃんやコンちゃんランちゃんたちも大神 御嶽(おおがみ・うたき)天城 紗理華(あまぎ・さりか)たちに連れられてパーティーに参加しています。つまりは、陽動作戦です。
 他にも、単純にパーティーという言葉につられてきたのか、たくさんの者たちが集まっていました。
「いいなあ……」
 そうつぶやくと、スープ・ストーンがサブパイロット席で膝をかかえて丸くなりました。
「鳥鍋ですら? もしかして、あれも具材とかですら?」
 パビモン リラード(ぱびもん・りらーど)を見て言うキネコ・マネー(きねこ・まねー)アリアス・ジェイリル(ありあす・じぇいりる)とティー・ティーに蹴り倒されました。
「ふっ、ちゃんと海鮮鍋にして、共食いは回避していますにゃ」
 その点は抜かりがないと、イコナ・ユア・クックブックが勝ち誇りました。
「うむ、美味しいのじゃ!」
 ビュリ・ピュリティア(びゅり・ぴゅりてぃあ)と一緒に、パピモン・リラード、パビモン トレリン(ぱびもん・とれりん)パビモン ナウディ(ぱびもん・なうでぃ)パビモン ミラボー(ぱびもん・みらぼー)たちが、海鮮山菜茸鍋に舌鼓を打ちます。
 どんどん食材が消費されていきますが、同じようなスピードでミニうさティーとミニいこにゃたちが新たな食材を集めてきているのでした。もちろん、世界樹やザンスカールの森中に散らばって食材を集めているミニうさティーやミニいこにゃたちは、斥候の役目も担っています。派手に目立って、コウジン・メレをここに誘い込む作戦です。

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「なんだか、森が騒がしいですね」
 周囲の目が痛い宿り樹に果実から逃げだして、ココ・カンパーニュを森への散策に連れ出した風森巽が言いました。さすがに、ゴチメイの連中は、アラザルク・ミトゥナがなんとか引き止めてくれているようです。
「元気でいいんじゃないの?」
 ココ・カンパーニュの方は、別段ミニうさティーやミニいこにゃたちを気にしてはいないようですが。
「寒くないですか……」
 タイミングを見計らって、風森巽がココ・カンパーニュの首に、自分のしているマフラーの端を巻きつけました。さりげなく、アベックマフラーです。
 どどどどー! うさうさにゃにゃあ!
 そのそばを、ミニうさティー・ミニいこにゃ軍団が走り抜けていきます。やっぱりうるさいです。
「やっぱり、あっちに行きましょうか……」
 そう言うと、風森巽は森の奥の方へ奥の方へと進んで行きました。