校長室
平行世界の人々と過ごす一日
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イルミンスールの街。 「本当にあの二人懲りないなぁ。平行世界の人を呼び寄せる事を考えるなんて……」 小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)はよく知る双子が目の前の有様に関わってると知るやいなや呆れの溜息を吐きながら賑やかな通りを歩いていた。 「でも今回は呼び寄せただけで何もしていないだけだからいいけど……でもまだする前かも……そうなると」 美羽はあれこれと双子の事を考える。それもまた悪戯をしでかすのではと悪い方向に。 「……平行世界の住人が来ているのならあの活発な瀬蓮ちゃんも来ているかも。もし来ていたなら会いたいな」 ふと美羽は活発な平行世界の高原 瀬蓮(たかはら・せれん)の事を思い出し、会いたいと思っていた。 「ちょっと捜してみようかな」 美羽は平行世界の親友を捜してみる事にした。 捜索開始後しばらく。 「こんにちは、瀬蓮ちゃん」 「こんにちは、美羽ちゃん」 通りを捜しながら歩いていた時に美羽は平行世界の元気溢れる格闘少女の瀬蓮に出会う事が出来、まずはと挨拶を交わした。 「何か……あっ、瀬蓮ちゃん、蝶!」 瀬蓮の印象を言おうとした時、美羽は空を飛ぶ大量の蝶を発見した。 「本当だ。色んな色の蝶があって綺麗だね」 瀬蓮も空を仰ぎ、美しい蝶を眺めて感動。 「でも何か嫌な予感がするよ」 美羽は感動だけでなく嫌な予感が疼く。 感動の二人の顔は 「!!」 驚きに変わった。 突然、蝶は弾け花火を打ち上げながら花びらを降らせる。 「わぁっ、綺麗だけどこれは危ないね」 「やっぱり、これはあの……」 瀬蓮と美羽にある予感がよぎった。 また別の蝶が美羽に接近し、何やら爆発の予兆を見せ始める。それに対して美羽が蹴り壊すよりも先に 「美羽ちゃん!!」 瀬蓮のキックが炸裂した。いつもロズフェル姉妹の悪戯を食い止めるキックが威力を発揮。 「ありがとう、瀬蓮ちゃん」 美羽は笑顔で礼を言った。 「どういたしまして」 瀬蓮も笑顔で答える。 しかし、蝶はどんどん飛んで来て空や地上に接近して爆ぜては迷惑を撒き続いていた。 放って置けない二人は、 「瀬蓮ちゃん」 「美羽ちゃん」 互いに顔合わせうなずき合うやいなや制服の超ミニスカートの裾を翻し鋭き蹴りを繰り出して降り立つ危ない蝶を破壊して回った。 時には 「行くよ」 「任せて」 美羽と瀬蓮は同時に蹴りを繰り出した。 その蹴りは 「はぁ(さすが瀬蓮ちゃん、息がぴったり)」 「とぉ(さすが美羽ちゃん、息がぴったり)」 微塵も乱れる事無く飛び交う標的を倒した。 一段落してから。 「何とか片付いたね。後は……」 「犯人をとっちめなきゃね」 瀬蓮と美羽は顔を合わせ笑みを交わした後、蝶を破壊しつつ双子達捜索に駆けた。すっかり二人は意気投合の仲良しさん。世界が違っても親友なのは変わらないようであった。 捜索を開始し、同じ目的を持つ二人と出会い力を合わせる事となった。 イルミンスールの街。 「平行世界の住人が来ているせいか賑やかね」 「そうでありますな」 コルセア・レキシントン(こるせあ・れきしんとん)と葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)は平行世界の住人が混じる賑やかな通りを眺めていた。 「……本当にあの二人は懲りないわね」 コルセアは知る犯人に呆れの溜息を吐き出した。 「むむ、奇妙な蝶が飛んで来るでありますよ」 ふと吹雪は大量にひらりゆらりと空を飛ぶカラフルな蝶に気付いた。 「……嫌な予感がするわ」 蝶を見るなりコルセアは嫌な予感に胸騒ぎを感じる。 その予感は的中。激しい音を立てて蝶は破裂し、花火が咲き乱れ光球や花びらなどを降らせていた。爆発音と咲き乱れる花火で触れた人や蝶が着地した場所で驚かせたり迷惑をばら撒いていた。 「蝶が爆発したでありますよ!」 「……これはやっぱり」 驚く吹雪と妙な蝶に心当たりを抱くコルセア。 その時、 「ヒスナのやり過ぎで爆発が激しいし」 「ヒスミも花火も派手にし過ぎであぶねぇよ」 キスナとキスミ。 「回収すると言っても無理だよね」 「だよな。それに怪我をするほどじゃねぇし」 ヒスナとヒスミ。 蝶の秘密がばれて回収を命じられたところなのだ。 双子達を発見するなり 「やはりあの妙な蝶は双子の仕業でありましたか」 「しかも見た感じでは後片付けをサボっているみたいね。本当に何をやっているんだか」 吹雪はニヤリと不敵な笑みをコルセアは頭に手を当て溜息。 「さて……」 吹雪がお決まりの行動を起こそうとした時、 「お仕置きに行くのでありますな!」 隣から馴染みの声。 「この声はもしや」 勢いよく振り向く吹雪。 その先には予想した人物が立っていた。 「平行世界の吹雪でありますよ!」 振り向いて来た吹雪に平行世界吹雪が名乗った。 「平行世界のコルセアもいるわ」 吹雪に遅れてもう一人のコルセアが近付いて来た。 「初めまして、コルセア」 「えぇ、初めまして」 平行世界コルセアとコルセアは挨拶を交わした。 挨拶を交わした後。 「本日の標的は四人。二人増加であります」 「しかし、今日はこちらも二人分のお仕置きでありますよ」 平行世界吹雪と吹雪はニヤリと顔を見合わせた後、行動を開始した。 「……二人になってもやることは同じね」 コルセアは呆れながら吹雪達の背中を見送った。 「ワタシ達はどうする?」 平行世界コルセアも馴染みなのか仕置きに参加する様子は無い。 「のんびりとお茶を飲みながら見学でもしましょうか」 「そうね」 コルセアと平行世界コルセアは恒例の行事なので仕置きには関わらず、ゆっくりとする事にした。 吹雪達は『歴戦の段ボール術』で潜み歩き、 「……(後片付けをサボっているでありますな)」 蝶の回収をサボって新たな悪戯をしようとする現場に遭遇するなり 「サボるなでありますよ!!」 勢いよく登場して驚かせ逃亡させる。 逃亡が成功し双子達が安心した所で 「自分からは逃げられないでありますよ!!」 平行世界吹雪がタイミング良くゴミ箱から登場し双子達をたっぷりと怯えさせる。初の共同作業というのに吹雪達の息はぴったりで双子の行く所、行く所に現れ双子達の新たな悪さを阻止していた。 双子の仕置きの最中に 「不思議な蝶が飛んで来たんだけど、あの二人の仕業だよね?」 瀬蓮と共に双子達に悪戯を片付けさせるために動いていた美羽と鉢合わせした。ここに来るまでに遭遇した蝶は蹴りで処分している。 「そうでありますよ。現在、四人を絶賛仕置き中であります」 「自分達が二人いるとばれないように実行中であります」 吹雪と平行世界吹雪が即答した。 「四人という事は平行世界の二人もお仕置きしているという事?」 美羽は仕置き人数の確認をする。 「そうでありますよ!」 これまた吹雪は即答。 「私達も協力していいかな! 相手が二倍なら悪戯の影響も二倍。こちらも二倍、ううん、倍の四倍で対抗だよ」 吹雪の答えを聞くなり美羽は吹雪達の仕置きチームに入れて貰おうとする。悪戯っ子はいつもと違い四人、放置するとさらに恐ろしい事になるのは火を見るよりも明らかである。 「いいでありますよ。早速、行くであります!」 平行世界吹雪がチーム代表として美羽達の参加を快く迎えた。 しかし、この隙に双子達は逃亡を図り、吹雪達と美羽達は見失うもすぐさま発見し、とっておきの仕置きをする事に成功した。丁度、別の仕置き人に痛い目に遭わされた後だった。