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モンスターハウスをぶっ潰せ!

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モンスターハウスをぶっ潰せ!

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第一章 贄

 ヴァイシャリーの森の中、不気味に佇む一件の家。
 入ったものが二度と帰らない危険な建物。
 その中の一室は建物と呼ぶにはあまりにも生物的であり、裸で囚われている人たちが触手から養分をゆっくりと吸い取られている様はまさに胃袋という形容が相応しい状態だった。
 綾原 さゆみ(あやはら・さゆみ)アデリーヌ・シャントルイユ(あでりーぬ・しゃんとるいゆ)もその養分の一つとなっていた。
 生まれた時の姿で両手両足を触手に拘束され、口の中を蹂躙する触手が不作法に胃袋まで侵入し、養分を吸い取っていく。
 二人の顔にはすでに生気が無く、抵抗もせずになすがままに触手の侵攻を受け入れていた。
 が、それをまるで面白く無いとでも言うように口から侵入した触手を抜くと、その瑞々しい肌に触手を這わせた。
「んん……ぁ……」
 生暖かく、ぬめりを帯びた触手が腹から胸をめがけてなで回すと、さゆみはくぐもった声を上げて身をくねらす。嫌悪とも快感ともつかない刺激が肌を通って脳髄を揺さぶる。
「……もう……やめてぇ……」
 まるでオモチャのように弄ばれるさゆみを見てアデリーヌは静かに涙を流す。最愛の人を守ることも出来ず、触手の餌となっている自分が憎く、無力さに絶望していた。
 その気持ちを逆なでするように触手はアデリーヌの身体を這い回り、敏感な部分を嬲るように刺激した。
「ふぁ……! うぅ……!」
 もう疲れ切っているのに、いや、疲れているからこそ甘い刺激がアデリーヌに声を上げさせる。
(もう……いやだ……もう、どうにでもしてよ……)
 死さえ受け入れてしまいそうな精神状態の中、部屋に変化が訪れる。
「いやああああ! や、やめてください!」
 肉壁からひり出されるように入ってきたのは泉 美緒(いずみ・みお)だった。まだ捕まったばかりで余力があるのか、触手に全力で抵抗している。
「美緒……」
「さゆみさん!? どうしてここに!?」
「行方不明の子を探してたら捕まっちゃった……。あはは……」
 笑いかけるが笑える状態ではなく、美緒も憔悴しきったさゆみの顔を見て表情を強ばらせる。
「大丈夫ですわ。きっと誰かが助けに……んんっ!」
 美緒が励まそうとした瞬間、三人の口に再び触手が入り込み、肉色に彩られた部屋は再び静寂が支配した。


「摩耶様……ここが先ほど仰っていた楽しい場所……ですか?」
 リリンキッシュ・ヴィルチュア(りりんきっしゅ・びるちゅあ)は森の家を見つめながら神月 摩耶(こうづき・まや)に訊ねた。
「うん、そうだよぉ。ほらほら、お先にどうぞ♪」
 摩耶はリリンの背中を押して館の中に押しこもうとする。
「ちょ、ちょっと摩耶様?」
 なんとか中に入れようとする摩耶にリリンは少しだけ怪しい雰囲気を覚えた。
 それを見て、クリームヒルト・オッフェンバッハ(くりーむひると・おっふぇんばっは)は同行してきたアンネリース・オッフェンバッハ(あんねりーす・おっふぇんばっは)の背中を押した。
「ほらほら、あなたも先に入りなさい?」
「はい、クリム様」
 アンネは疑いもせずにリリンの手を引っ張る。
「さ、リリン様。わたくし達は、主の命令に従うまでですわ」
 そう言って、アンネはリリンを連れて屋敷の中に入る。それに続いて摩耶とクリムが入る。
 瞬間、屋敷のドアが一人でに閉まった。
「なっ! ドアが……! 摩耶様、クリム様……! これはいったい?」
「何でもないのよ、何でもね。うふふふふっ♪」
 クリムがピンク色の唇を薄く吊り上げると、廊下の隅から蛇のように触手が這い出てきた。
 リリンとアンネがその存在に気づいた瞬間。触手は二人の足に絡みつき、吊し上げるように持ち上げた。
「ま、摩耶様まさかこれを知ってて……?」
 リリンが訊ねようとすると、細い触手がリリンとアンネの服を溶かし始めた。
「リリン様! 今、お助けしますわ……!」
 アンネがおもいっきり触手を引っ張ると、それを押さえつけようと二人の触手がキツく絞まり、身動きが取れなくなる。
「あはっ! すごいすごい!」
 服が解けて一糸まとわぬ姿になったリリンを見つめて、摩耶は指先だけでリリンの胸の中心を円を描くように撫でた。
「はぅ……! 摩耶様……こんな状況で……そんなことをしている場合では……」
 冷静に諭そうとするが、リリンの声には嬌声の色が混じり、それを見つめるクリムが頬を上気させながら摩耶の腰を抱いて、美術品を見つめるように触手に絡まれた二人を見つめた。
 白い陶器のようなアンネの肌に痛々しいほど肉色の触手が絡みつき、その大きい胸の間をぬめるように這っていく。
「……あぁ、リリン様。申し訳ございませんわ。でも、此れは此れで……んむほぉぉっ♪」
 快楽にあっさりと負けたアンネがだらしない嬌声を上げ、リリンは顔を真っ赤にして何とか触手から逃れようとする。
「い、嫌です! ま、摩耶様以外のものに肌を触られるなんて……」
「それなら、ボクもいっぱい触ってあげるよ」
 そう言って摩耶は宙づりにされるリリンの胸に吸いついた。
「それじゃあ、あたしも♪」
 イタズラっぽく笑みを浮かべてクリムもリリンの胸を撫でて舌で味わった。
「あぁぁ、摩耶様、クリム様ぁぁ……♪」
 抵抗できない身体に愛しい者の愛撫が加わり、背筋に快感が走って身体を弓なりに反らした。
 二人がリリンの身体を貪っていると、他の触手が摩耶とクリムの背後に忍び寄り──一瞬にして、その身体を捕捉した。
 衣服を溶かされ、豊かな胸が外気に晒されるが二人が恥ずかしがるどころか嬉しそうに笑みを浮かべた。
 足の根元まで触手が伸び、強引に開かされると摩耶の身体はリリンと重ね合わせとなり、二人の身体の間を幾本もの触手が滑り込み、快楽を与えた。
「やぁん♪ リリンちゃん、気持ちいい?」
「ああ……摩耶様……摩耶様ぁ……」
 うなされるようにリリンが声を上げる。クリムとアンネも抱き合わせになり、二人まとめてがんじがらめになった。
「クリム様……!」
「うふふ……アンネ、顔真っ赤にして……可愛い」
 クリムはうっとしたような顔をしてアンネの唇に自らの唇を重ねた。
「あぁ……あむちゅぅ、其処はぁ、んむぅぅっ♪」
 貪るように唇を重ねてくるクリムにアンネは身体の力を抜いて身を任せた。四人は触手に弄ばれ、自らも快楽に身を委ねていると、その身体は徐々に部屋の一室へと引きずられていった。