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寝苦しい夏の快眠法

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寝苦しい夏の快眠法
寝苦しい夏の快眠法 寝苦しい夏の快眠法

リアクション


■双子の来訪を受けた夢々


「……アイシャ……(現実の先にある未来が、アイシャに幸せでありますように)」
 夢札を貰ったリア・レオニス(りあ・れおにす)が見たいと思う夢は唯一つ。心底愛する女性への愛と祈りを願いながら夢札を使った。

 ■■■

 現在から少しだけ先の未来。

 澄み切った空から一台の小型飛空艇が地上に降り立ち、
「着いたよ、アイシャ」
「はい」
 リアと吸血鬼の少女 アイシャ(きゅうけつきのしょうじょ・あいしゃ)が現れた。
「……(世界生みも成功してアイシャも元気になった。これ以上に幸せな事は無い)」
 リアは広がるシャンバラの緑の森と平原にどこか似た風景の世界にこれまでの事を振り返った。無事に世界生みを成功させた事、大変な事態に陥ったアイシャが元気になった事を。
「……(これが新世界。こうしてリアと共に世界をこの目で見る事が出来て私はなんて幸せ者なんでしょう)」
 すっかり健康体のアイシャはリアに心配を掛け続けた日々を回顧し今の幸せを噛み締めた。
 ふっと爽やかな風が吹き抜け
「……改めて見ると世界はこんなにも素敵なんですね」
 広がる世界に感動するアイシャの美しい長髪を揺らす。
 その姿に
「……」
 隣に立つリアは言葉を失い恋人の姿に見惚れるばかり。心底愛し、待ち続けた恋が成就しただけにアイシャのちょっとした仕草でも愛おしくて堪らない。
「……リア?」
 リアから何の反応も無い事におかしいと思ったアイシャは身長差から上目遣いにリアを覗き込んだ。
「……あ、あぁ、えと、アイシャ、どうした?」
 我に返ったリアの目の前に突然自分を見つめるアイシャが現れ大慌て。
「どうしたではありませんよ。この世界を楽しむのでしょう?」
 アイシャは的外れな事を言い出すリアにむぅと頬を膨らませちょっぴり不機嫌になった。
「あぁ、そうだった。あまりにもアイシャが綺麗で一瞬今日の予定を忘れてしまったよ」
「……もう、リアは」
 気持ちに正直なリアはさらりと恋人を褒めてアイシャの不機嫌を消すどころか頬を赤くさせてしまう。
「……それより昼も近いからそろそろ行こうか」
 リアは身に付けている時計で時間を確認した。
「……えぇ、行きましょう」
 アイシャは時計を見るリアを嬉しそうに見ていた。なぜならリアの時計はまだ恋人ではなかった時にリアの司法試験合格祝いに贈った物だから。
「いつも大事に使わせて貰ってるよ。俺の一番のお気に入りだからね」
 視線を感じたリアは最高の笑顔で答えた。貰った時からずっと大切にしている。何せアイシャに貰った物だから。
「リアはそればっかりですね」
 アイシャは嬉しい呆れを見せた。アイシャを深く愛するリアは口を開いたらアイシャが恥ずかしくなる事ばかり言うものだから。
「それは仕方無いよ。アイシャが……えと、荷物持とうか?」
 リアは弁解でアイシャが言うそればっかりのような事を言いそうになってやめてアイシャの手に持つに話題を変えた。
「大丈夫です。これは大事な私の荷物ですから」
 アイシャは笑顔でリアの厚意を断り荷物を握る手に力を込めた。
「大事な荷物?」
 荷物内容を聞かされていないリアは首を傾げ聞き返した。
「後で分かりますよ。さぁ、行きましょう、リア」
「あぁ、行こう、アイシャ」
 はぐらかすアイシャにリアは聞き出すのを諦めて後のお楽しみにした。
 二人はどちらともなく手を繋いで森の散歩へ。

 森の中。

 しばらく散策をした後。
「……何か出会った時を思い出すなあ……アイシャを見た途端、俺は一目惚れをしてさ」
 リアは歩きながら周囲の木々を見やりながらアイシャと出会ったジャタの森を思い出し苦笑。
「……あの時はまさかこうしてリアと恋人になるとは思いもしませんでした。本当に人生は分からないものですね」
 アイシャはしみじみとなかなかに波瀾万丈な人生を振り返り自嘲気味に言った。
「そうだな。でもアイシャを好きになってよかった」
「私もです。ただ、リアの告白を受けてから随分待たせてしまいましたが」
 リアとアイシャは互いを愛した事を幸せに思い、笑顔を交わした。
 突然、
「アイシャ」
 リアがブルーローズブーケと高級チョコレートをアイシャに差し出した。
 それはまるで
「これはあの時の……」
 アイシャが龍騎士団から逃亡するためにジャタの森に逃げ込みリアと出会ったあの時にそっくり。あの時もブルーローズブーケとチョコを渡された。
「もう一度会えたね」
 リアは恥ずかしさと嬉しさ混じりに微笑んだ。
「……まさか、あの時、リアがあんな行動をするとは思いもしませんでしたよ。嬉しかったですけど」
 受け取ったアイシャは今日と同じ物を貰った時の事を思い出しクスリと笑みを洩らした。普通大変な状況で花束とチョコなんて有り得ない話なので。
 この後、二人は開けた場所で昼食を食べる事にした。

 開けた場所。

「荷物ってお弁当だったんだね。もしかして手作り?」
 リアはようやくアイシャの荷物の正体を知る事が出来た。しかも手作りっぽい感じまでする。
「えぇ、ですからあまり美味しくないかもしれませんが……」
 アイシャが言い切らぬ前に
「いや、すごく美味しいよ。ありがとう、アイシャ」
 リアはアイシャ手作りのお弁当を食べ始めた。真心がたっぷりと入っているためか一層美味しい。
「……そんなに急いで食べなくとも……リア、本当にありがとうございます。これまで様々な事が私の身に起きましたが、あなたは私から離れず気遣い励ましてくれて恋人になった今も……」
 アイシャは割と早い速度で次々と食べ物を口に放り込んでいくリアに呆れた後、急に真面目な表情に変えこれまでの感謝の言葉を伝えた。
「ついつい美味しくて手が止まらなくて……それにお礼を言うのは俺の方だよ。世界一の幸せを貰ったんだから」
 リアが手を止めてにこにこと笑顔で言った時、
「美味しそうなもん見っけ。一つ頂き!」
「これも貰うぜ」
 空気を読まぬ双子のヒスミ・ロズフェル(ひすみ・ろずふぇる)キスミ・ロズフェル(きすみ・ろずふぇる)が現れて何の断りもなく弁当からおかずを一つずつ頂戴した。
「おいおい、どうして二人が俺の夢にいるんだ。こんな素敵な夢を見せてくれて感謝しているから歓迎だけど」
 おかずを頬張る二人にリアは苦笑を浮かべつつ肝心な事を聞いた。もちろん素敵な夢を見るきっかけをくれた事には感謝する。すっかり恋人のいいムードは壊されたが。
「どうしてってつまんないからさ。すげぇ、バカップルだな」
「そういう事。しっかし、随分幸せそうだな」
 双子は肩をすくめながら言う。ラブラブな二人を冷やかす事も忘れない。
「冷やかしは勘弁してくれ。二人も誰かを好きになったら分かるよ」
「……そう言われると……」
 冷やかされたリアとアイシャはすっかり照れてしまった。
「そういうもんかなぁ、キスミ」
「そうじゃねぇの。ヒスミ」
 色恋に興味無い双子はさらりと流すだけ。興味あるのは悪戯だけ。
「迷惑行為でなければ、悪戯については大目に見るし付き合うよ」
「お弁当を食べた後にですが……飲み物はどうですか?」
 リアとアイシャは改めて双子を快く迎えた。アイシャは冷たい飲み物を二人に差し出した。
 この後、双子は飲み物を受け取った上に弁当を楽しんだ後リアとアイシャと共に少しだけ悪戯を楽しんでからどこかに行った。
 双子と別れた後、リアは目覚めが訪れるまでアイシャと過ごした。

 ■■■

 覚醒後。
「……素敵な夢だったな(アイシャのために俺ももっと頑張らないと)」
 リアはこちらの世界のアイシャの幸せを願い、彼女のためにもっと力になりたいと思った。アイシャが幸せになり笑顔でいてくれる事がリアにとって何よりの幸せだから。