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“蛍”シリーズ【第七話】、【第八話】、【第九話】、【第十話】

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“蛍”シリーズ【第七話】、【第八話】、【第九話】、【第十話】

リアクション

 ジャタの森 某所
 
「共食いね?」
 ローザは冗談めかして“蛇”に言う。
 彼女の手には先程仕留めたアナコンダの皮を剥ぎ、焚火で焼いたものがある。
 枝に刺したそれをローザが差し出すと、“蛇”はしばらく考えた後に受け取った。
「笑えるジョークじゃねェか」
 
“蛇”との合流と休戦後、ローザは昔所属していた特殊部隊の経験を活かしサバイバル術を実践。
 雨水を濾過して飲料水を作ったり先ほど仕留めたアナコンダの皮を剥ぎ肉を焼くなど、大活躍していた。
 
「なぜ助けた? オレぁ、敵だろうがよ?」
「蛇が蛇に食べられる、冗談みたいなC級映画のワンシーンには興味がなかった。それだけよ」
「笑えるジョークだぜ」
 
 しばし無言で焼きアナコンダを食む二人。
 
「どうやらあっちの方もお目覚めみてェだなァ?」
 八重歯を覗かせて笑う“蛇”。
 彼の目線の先には目を覚ました垂がいる。
 
 駆け寄って彼女の身体の状態を検分するローザ。
 それが終わると、垂は“蛇”に問いかけた。
 
「なぜ助けたんだ? オレは敵だろ?」
 当然の問いかけ。
 だが、それを聞いた途端、ローザと“蛇”は同時に笑い出した。
 
「な、何がおかしいんだよ!」
 思わず声を上げてしまい、慌てて脇腹を押さえて呻く垂。
 そんな彼女を助け起こしにかかったのは、“蛇”と一緒にいた少女――亜美だった。
 
「ここはひとまず休戦して協力する――そこのターミネーターと約束したからなァ」
 いつもの犬歯を剥き出す笑みを浮かべ、“蛇”は焼きアナコンダを食むのを再開する。
 その横でローザは彼に問いかけた。
「聞かせてもらえるかしら?」
「あン?」
「あなた程の兵士がテロリストに身を落としている理由が気になったのよ」
「……ケッ! まアいい。助けが来るまでヒマだしなァ――」
 焼きアナコンダを食べ終えた“蛇”は、串にした枝を焚火にくべると、ゆっくり話し始めた。
 
「オレと亜美はミリオタのサークルにいたんだよ。あの日、オレらのサークルは全員で会場設営のバイトに入ってた。後はテメェ等も知ってんだろうがよォ? あの機体が乗りこんできて、オレと亜美はからくも生き残った。ンで、オレ等はスミスって奴と会ったてワケだ――」