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“蛍”シリーズ【第七話】、【第八話】、【第九話】、【第十話】

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“蛍”シリーズ【第七話】、【第八話】、【第九話】、【第十話】

リアクション

 同時刻 紅生軍事公司 大連支社 イコン整備施設

「これは……“フリューゲル”……!」
 ティーに連れられ、格納庫へとやってきた航と理沙。
 驚く航の眼前にあったのは、修復を完了した漆黒の“フリューゲル”だった。
 この機体も、禽竜と同じく様変わりしている。
 
「ああ。あんたの機体も改修させてもらったよ」
 エールヴァントが航に告げる。
「ありがとよ」
「お礼なら図面を引いたアカーシ博士とこの機体に言ってよ。どっちも、あんたの為に頑張ったんだからさ」
「ああ、忘れねえよ」
「なら速く行って。あんたとこの機体――シュバルツ・グリューヴルムヒェン“フリューゲル・ラーベ”を待っている人達がいるんだ」
 頷く航。
 その背に声がかけられる。
 
「そういうこった。速えとこ、迅竜に合流しようぜ」
 航が振り返ると、そこにいるのは鳳竜の前に立つ垂だ。
 航と目配せすると、垂は素早く鳳竜へと乗り込む。
 
 航も漆黒のパイロットスーツ――理沙を纏い、生まれ変わった愛機へと乗り込む。
 コクピットに身体を滑り込ませ、そこで航は気付いた。
「複座式……?」
「はい。『SSS』がただの鉄板となった今、今までのコクピットでは動かないそうなので、通常のものに換装したんです。『SSS』が入ってた分、スペースに余裕もあって丁度良かったそうですし」
「そうか。そういうことか――え?」
 はっとなって横を向く航。
 声のした方にいたのはティーだった。
「だから、私が一緒に乗ってサポートします」
 
 漆黒の機体のハッチが閉まる。
 そして、格納庫に垂とライゼの声が響き渡った。
 
『朝霧垂――』
『ライゼ・エンブ――』
『『――鳳竜、行くぜ!』』
 
 二人の声と同時に起動した鳳竜。
 それに呼応し、背部のパーツが展開する。
 巨大な柱状のパーツが可動し、変型を経て展開していく。
 柱状のパーツは折りたたまれていた骨組みとターボファンエンジン。
 扇子のように展開した骨組みの先には各々ターボファンエンジンが取り付けられている。
 その数、十六基。
 合計十六基のターボファンエンジンを背負うその姿は、さながら扇形の翼を広げる鳳凰のようだ。
 
 続いて漆黒の機体のパイロットも声を上げる。
『羽鳥航』
『ティー・ティー』
『シュバルツ・グリューヴルムヒェン・“フリューゲル・ラーベ”、出る!』
 
 パイロット達の声を聞き、牡丹がコンソールを操作して天井を展開する。
 開いた天井から覗くのは、曇り一つ無い、澄み渡る蒼空。
 その空に向けて、二機は飛び立った。