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終りゆく世界を、あなたと共に

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終りゆく世界を、あなたと共に
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 ――セカイの終りが、訪れる。
 だから、僕は終末を告げる喇叭を鳴らしに行く。

「世界、終わらせる必要あるのか?」
 ギャラルンホルンを手に、世界一高い山の頂を目指して登る堀河 一寿(ほりかわ・かずひさ)に、ランダム・ビアンコ(らんだむ・びあんこ)は問う。
「終末は、新しい『はじまり』のための区切りだからね」
「……だったら、なぜ一寿それを手伝う?」
「それが、僕に託された『仕事』だからだよ」
 そう、一寿は夢で告げられた。
 世界の終末を告げよ、と。
 人々を不安に陥れるかもしれない。
 それゆえに世界に混乱が起きるかもしれない。
 しかし、一寿もまた、世界を構成する一部分にすぎないのだから。
 すっと、ホルンを構える一寿。
 ラグナロクの開始の合図……始まりの喇叭が吹き鳴らされた。

 終末に不安や恐怖を抱く暴徒が、一寿を殴り倒した。
 無抵抗にやられっぱなしで、地面に転がった一寿の手を、ランダムは泣きながら握りしめた。
 ランダムが、自分を見ている。
 不安そうな視線を、一寿は感じる。
 やさしい一寿が、どうして世界の終わりを手伝うのとランダムは聞く。
 暗い場所から呼び出して、明るい世界を見せてくれたことを、深く深く感謝しているのだと告げる。
 ――心配して、くれているのだろうか。
 ああ、優しいのは君だ、と一寿は思う。
「ランダムと一緒、もう嫌なのか?」
「――この生の向こうに、また別の生がある」
 だから、なるべく優しく告げる。
「だから、一度離れたとしても、お互いに忘れなければ、また会えるのだから、心配しないでいいんだよ、かわいいランダム!」

 ――そして、一寿は目を覚ました。
 隣には、ランダムが眠っている。
 目の縁に涙をため、一寿の手を握って。
「……心配してくれたの?」
 一寿は、ランダムを優しく抱きしめた。
「ごめんね」