リアクション
○ ○ ○ (ここにお宝でもかくしてたのかァ?) 神楽崎優子を脳内で嫁にしている男、吉永 竜司(よしなが・りゅうじ)は、アルファより先に鍾乳洞を訪れていた。 焔狼盗賊団の団員の一部がダークレッドホールに飛び込み、その後他の団員がこの辺りで発見されたと聞き、竜司はここにお宝が在る可能性が高いと考えた。 団員が減ったことによる、隠し財宝に奪い合いとか、それがマジックアイテムで、その影響で丸焼けになったとか。 (舎弟達が調べに来るかもしれねえからな。先に大荒野のイケメンであるオレが調べておかねえとな!) お宝目当てではない。……全然ないわけではないが。 イケメンを名乗るものとして、舎弟が焔狼盗賊団員のような目に遭ったりしないよう、危険がないかどうか、調べておこうと思っての事だ。 お宝を発見したら? 勿論、舎弟をひきつれて再び探索に訪れるつもりだ。独り占めはしない。山分けだ! ……などと考えながら、竜司は鍾乳洞を調査していく。 銃型HCでマッピングをし、魔界コンパスで方角を確認しながら進む。 また、光学迷彩で姿を隠し、殺気看破の能力で探りながら、慎重に奥へと進んでいく。 (観光用に整備はされてねえからな……) 足下に気を付け、魔法のはしごを用いて、更に下へ、奥へと下りていく。 (ん? ……なんだか、怪しいような気がするぜェ?) 竜司は、トレジャーセンスで感じ取った。 とはいえ、これ以上先には進めない。 なぜなら、この先には明かりが全く射し込んでいないからだ。 しかし万が一、財宝を守るボスいたら明かりをつけたら見つかってしまう。 (暗視スコープを用意すべきか……) 迷う竜司だったが――。 突然、辺りが明るくなった。 光術による明かりだ。 竜司は大岩の後ろに隠れて、息を潜める。 ……明かりで辺りを照らしながら現れたのは、アルファだった。 光術の明かりにより、暗闇の先が良く見えた。 どうやら、道は狭くなっていき、行き止まりになっているようだ。 慎重に進んでいくドラゴニュートの彼女に、声をかけるかどうか竜司は迷う。 そっと彼女の後を付ければ、危険にさらされることなく調査が続けられるだろう。 だが、イケメンと自負する彼には出来ない話だ。 更に奥に進んだ彼女を追い、声を掛けようとしたその時。 くるりと、アルファは振り向いて。 そのまま地上へと戻っていった。 (なんだァ? なんだかおかしかったような……?) 竜司も彼女を追って、鍾乳洞の外へと向かった。 地上に出たアルファは、突如ファイアストームを放った。 自分、に。 炎が異常なまでに激しく広がっていく。 「なにやってんだァ!?」 竜司は、炎の中に飛び込んで彼女を抱えて、オアシスへと走った。 |
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