リアクション
7 フレイムタン
倒れたイレイザーの傍で、喜んで走り回るフレイムたん。
(ありがとー! みんなありがとー!)
ダークサイズもチームサンフラワーも多くが傷つきつつ、ほっと一息つく者、崩れるように座りこむ者。
ダイソウと向日葵は立ち上がり、フレイムたんに問う。
「さあ、フレイムたんよ」
「君はどんなギフトなの? どっちを所有者として認めるの?」
(うわーい。おさんぽー)
『聞けよ!』
イレイザーを倒した瞬間から、フレイムたんは嬉しそうにぐるぐる走りまわって話を聞かない。
フレイムたんの走る速度が上がっていき、同時にその周囲の温度も急激に上がっていく。
すぐにフレイムたんの身体が外を出歩いた時のように炎を纏い始め、高熱の対流が渦巻き始める。
「あっち! あっち!」
誰も彼もがあまりの熱に回転するフレイムたんから退避する。
直後、フレイムたんの身体が濃密な炎の柱に姿を変え、イレイザーが背後にしていた壁に直撃する。
炎の柱は、ぶつかった壁をその熱で溶かし始める。
ということは、あの炎の柱は岩石を溶かす超々高温度である。
これでは本当に死んでしまうと、全員『亀川』の傍まで退避する。
炎の柱『フレイムたん』は、あっという間に壁を溶かしきり、その向こうには新たな空間が見えてくる。
壁が大きく口を開けたところで、ようやく『フレイムたん』は炎の柱から子犬の姿に戻る。
(おさんぽいこー! フレイムタンにおさんぽいこー!)
「フレイムタン『に』? どういうことだ?」
(ボク、フレイム! フレイムたんって呼んでいいよ。ボクはフレイムタンに続く扉を開く鍵、フレイムたんだよ!)
「フレイム、タン……?」
フレイムたんの名前から、誰もが武器のギフトに違いないと思い込んでいた。
が、その実フレイムたんの名前の由来『フレイムタン』とは、この火山帯の遺跡の最深部から続く長い広い地下通路『フレイムタン』のことだった。
そして、フレイムタンを閉ざす厚い岩壁を開く鍵が『炎の柱フレイムたん』である。
「フレイムたん……武器じゃねえのか……」
疲労困憊で座り込む面々をフレイムたんは、
(早くおさんぽいこー。フレイムタンにおさんぽー)
と、尻尾を振って催促し続けるのであった。
大熊誠一郎です。
最後までありがとうございした。
大変お待たせして申し訳ありません。
ダークサイズシリーズで最も沢山のキャラクターで、ダイソウトウがなかなかボケられないという。
今回で、火山帯の遺跡から奥につながる地下通路「フレイムタン」が現れました。
一方、通路を開く鍵のギフトだったフレイムたん。
この先には何が待ち受けているのでしょうか。
ダークサイズの冒険も、まだまだ続くとよいですが……
では、また次回お会いしましょう。
ジークダークサイズ