リアクション
16ターン
『さあ、天城一輝選手、ゴールに近づいてきます。その走りは、少しも衰えません。
今、ゴール!!
天城一輝選手、堂々の単独優勝です。
さあ、第2位は……。
おおっと、神代明日香選手、土壇場で再び綺雲菜織選手を抜いた。このままゴールできるのか!?
ハーリー・デビットソン選手、すばらしい走りで、その綺雲菜織選手とならびます。これは、2位以降がまったく分からなくなってきました。
続く選手たちは、一斉にパラミタ天然伊勢エビ君の前に飛び込んでいきます。はたして、無事突破できるのか』
「ふふん、ボクにかかれば、こんな怪物なんてへっちゃらさ」
カレン・クレスティアが、しっかりとパラミタ天然伊勢エビ君の動きを見定めて加速した。ぎりぎり、パラミタ天然伊勢エビ君のハサミが届かない場所を通りすぎようとする。
だが、そのとき、突然の突風が、カレン・クレスティアの乗る空飛ぶ箒を横に流した。
「えっ、えっ、えー!!」
よってきたカレン・クレスティアを、パラミタ天然伊勢エビ君のハサミがクリーンヒットする。そのままポーンとカレン・クレスティアがコース外に吹っ飛ばされていった。
「今です、御主人様!」
カレン・クレスティアをパラミタ天然伊勢エビ君の方へと風術で流したテディ・アルタヴィスタが、皆川陽をうながした。カレン・クレスティアがやられているうちに、安全に皆川陽がパラミタ天然伊勢エビ君の腋を通りすぎる。
『おおっと、ここでおしくもカレン・クレスティア選手リタイアです。まだまだ気を抜けません、このレース』
「そのとおり。ケイ、右だ!」
パラミタ天然伊勢エビ君の殺気を感じた悠久ノカナタが叫んだ。
カレン・クレスティアを吹っ飛ばしたハサミが、まっすぐに振り落とされる。緋桜ケイが、タイムウォーカーを操って、ひらりとそれを躱した。
『緋桜ケイ選手、無事にパラミタ天然伊勢エビ君を突破しました。
さあ、後続の選手たちはどうでしょうか。
南鮪選手、チアボーイたちのダメージから立ちなおり、パラミタ天然伊勢エビ君にむかって走ってきます』
「このまま引き離されたりしないんだから」
「イルカさん、頑張ってくださいですぅ!」
ここが勝負時と、秋月葵が空飛ぶ魔法↑↑で、自分と魔装書アル・アジフの身体を浮かべてパラミタイルカの背びれにしがみついた。少しでも軽くなってパラミタイルカの負担を減らそうという作戦だ。魔装書アル・アジフの励ましに、パラミタイルカが最後の力を振り絞る。
『秋月葵選手、南鮪選手をぴったりとマーク。
さあ、ラストの笹野朔夜選手は……、おおっとこれはどうしたことか。足取りが少しおかしい』
「だから、一気に走るんです!」
『――いや、だからこそ、ここは慎重に』
「もう、少し黙ってい……はあう!?」
ここに来て意見の不一致で揉めていたため、笹野桜がうっかりと大渦の中に飛び込んでしまった。
「め、目が、回るるるるる〜」
そのまま振り回されて渦の中心まで運ばれていき、笹野朔夜(笹野桜)の姿が海中に消えた。
★ ★ ★
『ついに、天城一輝選手が1位でゴールしました。
けれども、2位以降はまだまだ分かりません。
新たに、二選手もリタイアしています。
はたして、この新ジェイダス杯、どのような結末を迎えるのでしょうか』
1 ゴール 天城一輝
2 △神代明日香
3 ▼綺雲菜織 彩音・サテライト
△ハーリー・デビットソン
5 △
カレン・クレスティア リタイア
6 ▼皆川陽 テディ・アルタヴィスタ
7 緋桜ケイ 悠久ノカナタ
8 南鮪
9 秋月葵 魔装書アル・アジフ
10
笹野朔夜 リタイア