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 第6章 契約者はヒーロー!

■□■1■□■ 最後までド派手に!

セレスティアーナが救出されたことで、
像賊たちはいよいよ逃げはじめる者、
最後に一矢報いようと暴れる者と、大混乱に陥っていた。

蒼空学園の
安芸宮 和輝(あきみや・かずき)
クレア・シルフィアミッド(くれあ・しるふぃあみっど)は、
安芸宮 稔(あきみや・みのる)の指示に従い、
ナイトフライアーで、逃げようとしたセンチネルやクェイルの前に回り込んで倒していた。

(本当はもう一機、動かせるといいんですが……。
しかたないので、自衛は自分でしましょう)
稔は、そう考え、指揮に徹していた。

「やはり、第二世代機との違いは、歴然としていますね」
和輝がつぶやく。
和輝たちも、イコン戦は初めてだったが、
当然、像賊などよりはずっと訓練を重ねているし、
プラヴァー・ステルスであるナイトフライアーの前に、
センチネルやクェイルは敵ではなかった。

「極力被害が出ないように、速攻で行きましょう」
「はい、シルフィー」
クレアに和輝はうなずき、追撃を再開した。


イルミンスール魔法学校の、
赤城 花音(あかぎ・かのん)
リュート・アコーディア(りゅーと・あこーでぃあ)
インフィニティーは、飛行形態から人型形態に変形して、
像賊の鎮圧を行っていた。

「セレスティアーナ代王が救出された今、
もう像賊に遠慮する必要はありませんね。
一気に行きましょう!」
「うん!
あ、それと、個人的に宣伝もしたいな♪」

リュートにうなずいた花音は、広告を表示させる。


『ニルヴァーナ基金の設立』
新世界!ニルヴァーナに新しい学校が設立されるんだよ!
開設される「音楽科」では、ニルヴァーナ基金を設立したいんだ!
音楽科生が創る音楽の収益が、新学校のために役立てられる予定!
みんなの応援!よろしくお願いいします☆♪
音楽科生:赤城 花音(あかぎ・かのん)



「これ以上、悪いことしたらダメだからね!」
花音は、撃破した像賊に呼びかけて回った。

「ちょっと拍子抜けなくらいかもしれませんね」
「でも、このくらいすれば、もう悪いことする人も減ると思うな」
「そうですね。
では、メインパイロットとして、
最後まで、このミッションを完遂して見せます!」
リュートと花音はそう言葉を交わし、
インフィニティーは飛翔していった。


そして。
天御柱学院の
桐生 理知(きりゅう・りち)と、
北月 智緒(きげつ・ちお)
ヒポグリフは、
辻永 翔(つじなが・しょう)
アリサ・ダリン(ありさ・だりん)
イーグリットとともに、一機ずつ像賊を撃墜していた。

理知と翔は恋人同士である。
二人の絆の力も相まって、像賊の撃破は順調に進んでいた。

そこに、
セレスティアーナ救出の知らせを受けて、
理知が提案した。
「ここって、再開発地区だし、一般の人はいないんだよね?
新しく建てる邪魔になっちゃうし、一気に壊しちゃおうよ!」
「い、いいのか? ほんとに?」
恋人の発言に戸惑う翔だが。

「うんうん、
敵のアジトを破壊すれば、そこに新しい建物が建つし。
街のみんなが利用できる場所にしたいね」
智緒も言い、
ヒポグリフは、
大形ビームキャノンを構えた。

「智緒、思いっきり行くよー!」
「了解よ!」
ヒポグリフのビームキャノンは、
建物の基礎の部分を破壊して、
再開発ビル群は、轟音を立てて崩れていった。

「ほ、ほんとにいいのか、これ」
「翔。理知を怒らせないようにな」
呆然と突っ込む翔に、アリサが助言した。

「これで、新しい建物ができて、
空京がもっと発展するといいね。
正義は勝つ!」
イコン用まじかるステッキを振って、
ポーズを決める、ヒポグリフであった。


★☆★

そのころ、
空京大学の
夜月 鴉(やづき・からす)のパートナー、
魏延 文長(ぎえん・ぶんちょう)は。

「皆頑張る気満々やなぁ。
わても何か頑張らなアカンし、兎に角まずはカメラに見切りと。定番やな」

と、広告を背負って、
画面に見切れていた。


湯浅 忍です。

母さん……

ボケ倒したり、ハリセンで引っ叩かれたり、
ちびっこと戯れたり、変な組織(?)に絡まれたり、
全力で逃げたり、パートナーに殺されちゃったりもしてるけど、
俺は元気です。
あと、尊敬する人とか出来ました。

それから、あの奇妙なカラスは未だにうちに居付いてます。



「って、個人的なお手紙やん!
よし、こうなったら、段ボールのロボットの衣装で、
皿回しや!
そしたら、違和感で目立つやろ!」

と、風の吹きすさぶ瓦礫の上で、魏延は皿回しを続ける。

「おおっとお!
最後まであきらめない!
目立つことをあきらめない!
そんな契約者もいるのよ!」
「最後まで目が離せないぜ! 『ボンバー』!!」
リカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)
ヴィゼント・ショートホーン(びぜんと・しょーとほーん)が、
その様子を実況する。

すると、
ティラノサウルスのキャロリーヌが、
息遣い荒く、魏延に接近していった。

「え?」
振り向くと、そこに、ティラノの口が。

「おおっとお、キャロリーヌのディープキスよ!」
「ティラノなので口の中にまるごと入ってるぜ!!」

キャロリーヌに愛されつくしてしまう、魏延であった。